株式会社ホクトセブン(本社:東京都港区)と株式会社ネイス(本社:東京都新宿区)は、共同で開発を進めていた過熱水蒸気熱処理プラント「ReGar」を令和5年12月18日に完成させたことを発表しました。
SDGs対応を視野に入れた製品開発の背景
国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)は世界が抱える環境・社会・経済課題の解決を目指すものであり、その中でも以下の3つの問題に注力する必要があります:(1)汚染や有害物質の排出を伴う非クリーンエネルギーの使用、(2)非持続的なエネルギー利用や廃棄物増加を促す生産体制、(3)環境負荷の高い生産・流通・消費方法および資源の乱用。「ReGar」はこれらの課題を解消し、脱炭素社会・循環型社会・分散型社会への移行を一貫したテーマとして設計されたプラントです。
「ReGar」の技術概要と仕組み
「ReGar」は、過熱水蒸気を用いて廃棄物を熱分解処理し、高温の蒸気のみで炭化・油化を行う熱処理炭化装置を基盤に開発されました。具体的には、従来ゴミとして処理されていた有機系廃棄物(プラスチック類や木材など)を燃焼せずに熱分解し、水分や油分を排出させながら、炭化・油化を進めます。この工程では無酸素下で熱分解を行うため、ダイオキシンなどの有害物質を発生させずに処理が可能です。
CO₂削減と資源循環への貢献
「ReGar」を導入することで、これまで産業廃棄物として処理が必要だった廃棄物を有価物に変換できます。生成された油化物は不純物が少ない再生油として活用でき、炭化物は含水率の低い良質なバイオマス発電用燃料などに利用可能です。結果として、従来の焼却処理に比べ大幅なCO₂削減が実現し、カーボンニュートラルへの貢献や脱炭素社会の推進役としての役割を果たします。
また、廃タイヤや廃ソーラーパネルといったリサイクルが難しい廃棄物についても処理可能なため、資源の再利用を推進できる点も大きな特長です。埼玉県富士見市に設置されたパイロットプラントでは、排出される生成物のテスト・成分分析を実施中です。各工場や店舗から排出される廃棄物は多様であるため、有害物質、炭化物、油化物、メタルなどを最適に処理するためのデータ収集・分析を継続的に行い、環境負荷の抑制と資源有効活用を推進しています。
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