株式会社Eサーモジェンテック(本社:京都市、代表取締役:岡嶋道生)は、BiTeベースの柔軟熱電発電モジュール「フレキーナ」を活用し、産業排熱のうち大量に廃棄される水蒸気排熱とガス排熱から、コスト性能比に優れた電力回収を可能にする独自の熱電発電チューブ技術を開発しました。これらの成果は、6月15~19日に仙台で開催される「ICT/ACT 2025」にて発表されます。
低温排熱活用の背景
世界的な脱炭素要請の高まりの中、300℃以下の低温排熱の利活用が注目されています。EサーモジェンテックはNEDO助成を受け、従来のセラミック基板モジュールに替わるフレキシブル構造の「フレキーナ」(特許第5228160号)を2021年に開発。既存の電子冷却用途から、低温排熱を実用レベルで電気エネルギーに変換する技術実装に成功し、1,000社以上から引き合いを得ています。
水蒸気排熱用二重管熱電発電チューブの開発
川崎重工業との共同で、175℃の飽和水蒸気(0.8MPaG)と20℃冷却水を内外管に流し、1.6m二重管1本あたり200Wの出力を確認。30本搭載の熱交換器試作では6kW出力を実証しました。チューブ外径Φ31.8mm、内外管間に「フレキーナ」を密着装着する独自工法で、高い熱回収効率と安定した発電を実現しています。
焼成炉排ガス用集熱コア内蔵チューブの試作
350℃・400㎥/hの焼成炉排ガスを対象に、圧損・熱抵抗を最適化した集熱コアを内蔵し、外側に「フレキーナ」を装着。Φ130mm×42cmチューブ1本で100Wを発生し、4本並列のシステムで400Wを確認しました。可動部なしの構造で低維持費を実現し、排熱量に応じたスケールアップが可能です。
フレキーナの特長と社会実装
- 1ユニット6kW/16本構成1.6kW出力(別途空冷版開発中)
- 可動部なしで省メンテナンス・省スペース
- 投資回収目標5年、発電ユニット耐用20年
- 幅広い熱源規模に対応可能なスケーラビリティ
これらの技術を活用し、工場や地域の排熱をVPP(仮想発電所)システムに組み込む分散型電源としての活用も視野に、既に複数企業とPoCを進行中です。
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