アサヒ飲料株式会社は、2025年4月13日から10月13日まで大阪・関西万博会場内「静けさの森」に、太陽光発電+ナトリウムイオン電池(NiB)で外部電源を一切使わずに稼働する自動販売機「未来につなぐ自販機」を1台設置しています。
オフグリッド運用の意義
本機は、太陽光パネルで得た電力をNiBに蓄え、夜間や曇天でも自販機を稼働できる完全オフグリッドシステムです。外部からの電力供給を必要とせず、CO₂排出ゼロの運用を実現しています。
- 太陽光発電:会場敷地内の専用パネルで年間約2,000kWhを発電
- NiB蓄電容量:約10kWh(車載用バッテリーをベースに最適化)
- 連続稼働時間:天候不問で最大48時間程度の連続運用が可能
技術概要:ナトリウムイオン電池とCO₂吸収材
ナトリウムイオン電池(NiB)の特長
- リチウムを使わず、豊富なナトリウム資源を活用
- 採掘・精製に要するエネルギーがリチウムイオン比で約20%低減
- 耐寒性・安全性に優れ、運用温度範囲は−20〜50℃
CO₂吸収材搭載で「排出ゼロ」を保証
- 自販機内蔵の独自フィルターが稼働時に発生するわずかなCO₂を吸着
- 月間約1kgのCO₂を吸収・固定化し、カーボンニュートラル以上の効果を発揮
実機仕様と運用体制
- 車体/外装:屋外耐候性ABS樹脂、UV耐性塗装
- 操作パネル:耐水性タッチパネル+視認性高いLED照明
- 遠隔監視:IoTモジュールで充電状態・売上・気象データをリアルタイム連携
- 保守・管理:ロケットバッテリー社による月次点検+ソフトウェア自動アップデート
環境・社会的インパクト
- カーボンフットプリントの低減
外部電源不要+CO₂吸収材で、年間約2.4トンのCO₂削減効果を期待 - 地域資源の有効活用
太陽光+NiBによる脱炭素モデルを示すことで、自治体や商業施設への横展開が見込まれる - 教育・啓発効果
会場来訪者が実際に利用しながら「自然エネルギーのみで動く社会」を体感できる
応用可能性と今後の展開
- 商業施設・観光地:電源インフラの乏しい場所への導入
- 災害時応急電源:緊急時にモバイルバッテリーとして活用
- 公共交通拠点:駅前やバスターミナルへの設置で待合室電源を兼用
- 将来的な省コスト化:NiBのサイクル寿命向上と太陽光パネル効率改善で、トータルコストを従来比30%低減へ
今後、アサヒ飲料は会期終了後も実証データを基に量産モデルの開発を進め、2027年までに累計50台以上の導入を目指す計画です。
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