JERAは2025年4月9日、米CFインダストリーズ(イリノイ州)、三井物産とともに、米ルイジアナ州アセンション郡で進めてきた「ブルーポイント」低炭素アンモニア製造プロジェクトについて、最終投資決定(FID)を発表しました。総事業費は約40億米ドル(約6,000億円)で、JERAが35%、CFインダストリーズが40%、三井物産が25%を出資します。
プロジェクト概要と生産・供給計画
- プロジェクト名:ブルーポイント(Blue Point)
- 立地:米ルイジアナ州アセンション郡
- 出資比率:JERA 35%、CFインダストリーズ 40%、三井物産 25%
- 総事業費:約40億米ドル(約6,000億円)
- 年間生産能力:約140万トンのアンモニア(2029年稼働開始予定)
- 用途:発電および一般産業向けに、欧州・日本を含むアジア市場へ供給
本計画では、天然ガスから水素を生成し、その水素を窒素と反応させてアンモニアを製造。生成過程で排出されるCO₂は回収・貯留(CCS)し、「ブルーアンモニア」として輸出・販売します。
JERAと三井物産の戦略的狙い
JERAの脱炭素ソリューション展開
JERAは約49万トンを引き取り、発電用途だけでなく製鉄・化学などの一般産業向けにも低炭素アンモニアを販売します。LCF(低炭素燃料)バリューチェーン統括部長・加藤雄一郎氏は「ブルーポイントを起点に、水素・アンモニアのトータルサプライチェーン構築を加速し、産業全体の脱炭素化を支援する」と語っています。
三井物産のエネルギー・トランジション戦略
三井物産は中期経営計画の重点領域「グローバル・エネルギー・トランジション」として本プロジェクトを位置づけています。既存のLNGビジネスに加え、アンモニアや再エネ関連事業を強化し、汎用燃料ヘの脱炭素シフトをリードする方針です。
米国パートナーの役割と現地経済への波及
- CFインダストリーズ:長年のアンモニア・LNG事業で培った技術・運営ノウハウを提供。
- 雇用創出:約1,000人規模の現地雇用を見込む。
- 地域経済への貢献:CCS技術導入による産業基盤強化や、米国政府の雇用促進政策との整合性も高く評価されています。
なお、関税や建設費高騰リスクについては「米国の通商政策動向を注視するが、現段階で明確な影響額は未定」としています。
環境配慮と事業継続性
本プロジェクトで回収・貯留するCO₂量は年間約100万トン規模見込み。これにより、従来型アンモニア製造と比べて大幅な排出削減を達成し、グローバルな脱炭素目標に貢献します。
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