バイオマス発電の現状と課題
日本のバイオマス発電は、2012年の固定価格買取制度(FIT)の導入を契機に急速に拡大し、2023年度には発電電力量の約4.1%を占めるまでに成長しました。しかし、国内の木質バイオマス燃料の供給量には限界があり、輸入木質ペレットへの依存度が高まっています。特に、ベトナムからの輸入が多いものの、近年では認証偽装問題が明らかになり、合法性や持続可能性に対する懸念が高まっています。そのため、持続可能性が科学的に裏付けられ、トレーサビリティが確保されたカナダ産木質ペレットへの注目が集まっています。
カナダ産木質ペレットの特徴と認証制度
カナダ産木質ペレットは、国際的な森林管理団体であるFSCや、カナダ規格協会(CSA)、持続可能な森林イニシアチブ(SFI)など、複数の認証を受けています。これらの認証は、合法的かつ持続可能な森林管理を証明するものであり、木質ペレットの供給源である森林そのものの持続可能性を守ることが求められています。さらに、欧州やアジアに輸出を行うカナダの木質ペレット生産者は、持続可能なバイオマスプログラム(SBP)による第三者認証も取得しており、国際的な基準に適合しています。
カナダの森林管理と持続可能な供給体制
カナダの森林面積は約3億4,800万ヘクタールで、世界有数の森林大国です。年間の伐採面積は全森林面積の約0.2%程度であり、伐採によって森林が失われることはありません。木質ペレットの原料は、製材工場で加工した後の廃材や林地残材から製造されており、バイオマス燃料のためだけに中・上級の木が伐採されることはありません。また、各州政府は定期的に総合的な木材供給量の審査を実施し、適切な伐採量を決定しています。さらに、法律により伐採後の植林が義務付けられており、森林の再生が確保されています。
日本への輸送とGHG排出量の削減
カナダ産木質ペレットの輸送において、輸出港から輸入港までの航海距離がGHG排出量に大きく影響します。西部カナダのプリンスルパート港から日本までの航海距離は約4,600海里であり、同じ北米大陸に位置するアラバマなどからの輸送と比較しても半分程度の距離となっています。これにより、GHG排出量の抑制が期待できます。さらに、カナダでは原材料の採取時や処理工程におけるGHG排出量を削減する工夫も積極的に行われており、ライフサイクル全体でのGHG排出量の削減が図られています。
日本企業にとってのカナダ産木質ペレットのメリット
カナダ産木質ペレットは、持続可能な森林管理とGHG排出量の削減に貢献するクリーンエネルギー源として、バイオマス発電の燃料としての利用が期待されています。特に、日本への輸送距離が短く、GHG排出量の削減が期待できる点は大きなメリットです。また、複数の認証を受けており、合法性や持続可能性が確保されているため、環境への配慮が求められる企業にとって、信頼性の高い選択肢となります。
コメント