2025年4月11日、ENEOS、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、マツダの6社は、大阪・関西万博会場内で来賓および関係者向けに運行する乗用車全車両に、ENEOSが開発した合成燃料を最大混合率で用いたガソリンを搭載すると発表しました。会期中の4月13日から10月13日まで、完全オフグリッド型EVだけでなく、内燃機関車両のCO₂排出低減に向けた取り組みも並行して進められます。
実証プラントで量産された合成燃料の特長
ENEOSが2024年9月に中央技術研究所(千葉県)内に完成させた実証プラントでは、再生可能エネルギー由来の水素と大気中から回収したCO₂を原料に、独自の触媒反応で液体合成燃料を合成。従来の化石由来ガソリンと同等のエネルギー密度を保持しつつ、ライフサイクル全体で最大90%のCO₂排出抑制が可能と評価されています。
提供車両と混合率
- 来賓向け車両(トヨタ、マツダ提供):主にハイブリッドモデルを採用し、合成燃料を10%、20%、30%と段階的に混合
- 関係者向け車両(スズキ、SUBARU、ダイハツ提供):小型ガソリン車を中心に、最大50%混合ガソリンを実装
- 燃料供給方式:会場内の専用燃料ステーションに合成燃料混合タンクを設置、運行前に専用ノズルで給油
これにより、会期中に消費される燃料のうち、合成燃料が占める割合は最大で約30万リットルに達すると見込まれます。
合成燃料導入の意義と期待効果
合成燃料は製造時に再エネ電力を利用し、原料の水素もグリーン水素を前提とするため、化石燃料と比較しCO₂排出量を大幅に削減できます。既存のガソリン車インフラを活かしつつ、内燃機関車両の脱炭素化を加速できる点が、大阪・関西万博での実証に最適と判断されました。また、多様な車両で燃料適合性を検証することで、将来的な一般普及の課題抽出や技術改善にもつなげられる狙いがあります。
技術検証と安全性評価
各自動車メーカーは事前に合成燃料混合ガソリンのエンジン性能テストを実施。スズキは軽乗用車で10%〜30%混合時の燃焼効率変化を測定し、SUBARUは水平対向エンジンの耐ノッキング性、ダイハツはパワートレインへの影響評価を完了しています。全社が走行性能や排ガス規制適合性、安全性に問題がないことを確認済みです。
運行管理と環境データの公開
会場内の運行管理システムでは、各車両の走行距離、燃料混合比率、CO₂削減量をリアルタイムでモニタリング。Expo2025公式ウェブサイトにて、月次レポートを公開し、合成燃料適用によるCO₂削減実績を透明性高く報告します。
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