日産自動車は2025年3月6日、英国の調査機関Economist Impactに依頼した都市部在住18~30歳の若年層を対象とするモビリティ選好調査の結果を発表しました。世界5大陸15都市、合計3,750人の回答を集計したところ、現在のEV所有率が23%である一方、10年後のEV所有意向は33%以上に達し、内20%超が「今後5年以内にEVを運転する」と回答したことがわかりました(Nissan Press Release, 2025) 。
所有実績と将来意向
現在、回答者のうち23%が実際にEVを所有していますが、そのうち34%(新興国都市では44%、先進国都市では31%)が「今後5年以内にEVを運転したい」と回答しました。特に中国・上海やブラジル・サンパウロ、メキシコシティなど大気汚染、渋滞問題が深刻な都市では、EVへの関心が顕著に高まっていました (Economist Impact Survey, 2025) 。
この結果は、若年層が環境改善だけでなく、都市生活の快適性や経済性にもEVを結びつけ始めている傾向を示しています。調査では「バッテリー性能」「充電インフラ」「購入コスト」という3大課題が普及の鍵として挙げられ、特に新興国都市では「電池性能」、先進国都市では「高コスト」が導入ハードルと認識されていました (Nissan EV Report, 2025) 。
技術革新への期待と社会的価値
回答者の40%以上が次世代EV技術に「大きな期待」を寄せており、単なる移動手段を超えたライフスタイルツールとしての可能性を認識しています。特に注目されたのが、V2X(Vehicle-to-Everything)技術による非常時の電力供給や、再生可能エネルギー由来電力を蓄電・外部デバイスに共有できる新機能で、半数近くが「災害時の停電対策になる」と回答しました (Economist Impact Survey, 2025) 。
こうした「クルマを暮らしのエネルギーハブとする」発想は、EVの新たな社会的価値を示しており、日産はこれを受けてエネルギーマネジメントシステムの強化や、充電ステーションのスマート化を推進しています (Nissan Sustainability Initiatives, 2025) 。
充電インフラとコストパフォーマンス改善策
日産は、調査結果を踏まえ「バッテリー性能」「充電インフラ」「コストパフォーマンス」の3分野で以下を強化すると表明しました:
- バッテリー技術の高度化:次世代全固体電池やシリコンアノード採用による航続距離の延伸
- 急速・超急速充電ネットワーク拡充:高速道路サービスエリア・都市中心部への400kW超充電器配備
- コスト低減プログラム:リース・サブスク商品「e-Pass」を拡充し、初期投資負担を軽減 (Nissan Mobility Strategy, 2025) 。
これにより、若年層が抱える「初期費用の高さ」や「充電待ち時間」といった懸念を具体的に解消し、都市部での日常利便性をさらに高める狙いです。
持続可能なモビリティ社会への貢献
調査では、回答者の60%以上が「EVは気候変動対策の一環」と理解し、多くがSDGs目標への貢献意識を示しました。日産は自社のRE100達成計画や、二次電池のリサイクルネットワーク構築といった取り組みと連携し、EVの普及がクリーンエネルギー社会の実現に直結することを強調しています (Nissan Corporate Responsibility Report, 2025) 。
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