国際的な非営利グループ「We Mean Business Coalition」が発表した2025年調査によると、日本国内の経営者112名のうち96%が「化石燃料から再生可能エネルギーを基盤とした電力システムへの転換を望む」と回答しました。また、そのうち25%が「5年以内」、39%が「10年以内」の実現を求めるなど、迅速なエネルギーシフトへの期待が高まっています。
調査概要と日本の回答傾向
- 調査主体:We Mean Business Coalition(国際的気候・エネルギーNGO連合)
- 対象国:世界15カ国
- 回答者数:1,477名(日本:112名、約7.6%)
- 主な問い:「企業として主力電源を再生可能エネルギーに切り替える時期」など
日本の経営者回答では、96%が「再生可能エネルギーを主力にすべき」と強く支持し、内訳では「5年以内」と答えたのが25%、「10年以内」が39%でした。残の約32%は「具体的な時期よりも、中長期的な移行を重視したい」との立場を示しています。
経営者が再エネ転換を求める背景
3E+Sの企業視点
日本政府のエネルギー基本計画で示される「3E+S(安全性・安定供給・経済効率性+環境適合)」に、50%以上の経営者が賛同。再エネ導入によるエネルギー安全保障強化を重要視しています。
石炭火力フェードアウトの期待
調査回答の**60%**が「2035年までに石炭発電所の段階的廃止(フェードアウト)を望む」と回答。気候リスク管理や国際競争力維持の観点から、特に重厚長大な産業分野での脱炭素加速を期待しています。
政府方針との整合性
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度までに再生可能エネルギー比率を40~50%へ引き上げ、火力発電比率を30~40%に低減する方向が打ち出されました。これに呼応する形で民間企業のニーズも明確化し、政策と市場動向が歩調を合わせる状況が生まれています。
再エネ移行の実務的ハードル
- インフラ整備:再エネ主体にシフトするには、グリッド強化やスマートメーターの普及など設備投資が不可欠。
- コスト管理:再エネ電力の長期電力購入契約(PPA)やグリーン電力証書の活用により、価格変動リスクを抑制する仕組みづくりが求められています。
- 事業認定:電力自由化以降、企業向けの選択肢は増えたものの、再エネ証書の品質や追加性の担保が企業内ガバナンス上の課題となっています。
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