36社が温室効果ガス削減と売上拡大を両立──JEMA「GXレポート」

36社が温室効果ガス削減

日本電機工業会(JEMA)は、会員企業61社・グループを対象にした2023年度の気候変動対策進捗調査をまとめた「JEMA-GXレポート」を公開しました。報告によると、温室効果ガス(GHG)排出量を前年から削減しつつ、売上高を伸ばす「デカップリング」を実現した企業は36社に上り、前年度比10社増の顕著な成果を示しました。

デカップリング達成企業の特徴と成果

同時達成のスコープと基準

報告書では、「デカップリング」を、事業所レベルでのスコープ1・2(燃料および電力消費に伴うGHG排出)排出量削減と売上高増加の同時達成と定義。公開情報が得られる54社の平均データを20年度から23年度にわたり比較したところ、36社がこの条件をクリアしました。

成果の具体例

  • トップパフォーマー:一家は23年度に売上高を25%以上増大させながら、排出量を5%以上削減。
  • 高い削減率:別の企業はGHG排出量を20%以上低減しつつ、売上を10%超伸長。
    こうした事例は、経済成長と環境対策の両立モデルとして業界内で注目されています。

エネルギー原単位の改善状況

売上高1億円あたりのエネルギー消費量を示す「エネルギー原単位」に着目すると、20〜23年度間で37社が10%以上の改善を達成。うち2社は50%超、1社は40〜50%の大幅改善を記録し、いずれも省エネ技術の導入や生産プロセスの最適化を通じたCO₂排出削減を進める一方で、事業拡大を実現しました。

中間目標を上回る24社の取り組み

JEMA会員のうち23社は、自主設定した中間目標(年4%削減ペース)を上回る達成率を記録。前回調査から4社増となり、温室効果ガス排出削減へのコミットメントが着実に強化されていることがうかがえます。中には、年10%超の削減ペースで進む企業も含まれ、業界の底上げに寄与しています。

再生可能エネルギー導入の拡大が鍵

デカップリングや中間目標達成に最も大きく貢献した施策として、再生可能エネルギーの活用が挙げられています。導入企業数は前年度から12社増の46社に達し、全会員の約75%が何らかの再エネ調達に取り組んでいます。2023年度の再エネ総使用量は74億kWhに膨らみ、2020年度比で6倍増。平均再生エネ比率は22.9%と、環境配慮型電力へのシフトが急速に進行中です。

業界初の報告会で知見を共有

JEMAは2025年5月23日に東京・四ツ谷のコモレ四谷タワーで「JEMA-GXレポート2023」報告会を開催。東京大学の高村ゆかり教授、政策研究大学院大学の竹ケ原啓介教授を招き、業界内外へ最新の取り組み状況と事例を発信します。企業間の横連携やベストプラクティス共有を通じ、さらに多くの企業の脱炭素実現を支援する狙いです。

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