JERAが冬期限定のLNG調達契約を豪ウッドサイドと基本合意

LNG調達契約を豪ウッドサイド

国内最大の火力発電主体であるJERAは2025年6月20日、オーストラリアのエネルギー大手ウッドサイド・エナジー・グループと、液化天然ガス(LNG)を冬期に限定して調達する基本合意を締結しました。2027年度から5年間、12~2月の3か月間に毎年20万トン(累計100万トン)を供給する内容です。

契約形態と調達の柔軟性

今回の契約は半年間の期間ではなく、例年12~2月の冬期のみを対象とする“季節型”LNG契約としては国内初の取り組みです。契約方式はDelivered Ex Ship(DES)です。これは取引先であるウッドサイドが船を手配して日本へ直接届け、荷揚げ地を固定する方式となっています。

冬の電力需給逼迫に対応する新スキーム

経済産業省(METI)エネルギー資源開発課のYuya Hasegawa課長は、この契約を「温暖な冬でLNG需要が低下しても、供給を見送れる柔軟性を持たせた画期的な手法」と評し、日本企業が同様の契約を検討するモデルとなる可能性を示唆しています。

LNG調達戦略の多様化と今後の動向

JERAはLNG調達において、従来の長期契約に加え、季節契約やスワップ取引など調達形態の多様化を推進しています。すでに韓国ガス公社(KOGAS)との相互融通(スワップ)契約を行っており、安定供給体制の強化を図っています。

世界的な再エネ転換との調和戦略

今回の契約は、6月18〜20日に東京で開催された「LNG Producer‑Consumer Conference 2025」において発表されました。同会議では、IEAや国連環境計画(UNEP)も参画し、LNGの温室効果ガス削減技術や転換可能性に向けた国際協調が議論されました。

日本政府のエネルギー政策との整合性

日本政府は、増大する電力需要の中でLNGを“エネルギー転換期の現実的な燃料”と規定し、METIの第7次エネルギー基本計画でも2030年以降の安定調達策としてLNGが位置づけられています。JERAの契約多様化は、こうした国策とも合致した動きだと評価できます。

ぜひシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする