九州電力の再生可能エネルギー部門を担う子会社、九電みらいエナジー(福岡市)は、長崎県五島市沖の「奈留瀬戸」にて、商用規模の潮流発電(出力1,100kW)の実証運転を2025年5月に正式に開始しました。これは日本初の1,000kW級潮流発電機の商用接続事例で、水深約40mの海底に設置されています。
日本で初となる1MW級発電機を設置
このプロジェクトは環境省の「潮流発電による地域の脱炭素モデル構築事業」(2022〜2025年度)における取り組みの一環です。出力1,100kWの潮流発電機は、国内初の1MW級商用機として改造・設置され、本年2月に据え付けが完了しました。
経済産業省の使用前検査に合格し(2025年5月23日付)、これから送電網へ連系され、五島市へ電力を供給する実証フェーズに入りました。
想定される発電量と環境効果
年間発電量は約241万kWhと試算されており、800世帯分の年間電力使用量に相当します。 この潮流発電の特長は、潮の満ち引きにより予測しやすい安定的な電力供給が可能である点にあります。
技術改造と実証プロセス
設置された発電機には、流れに応じて方向を変える「ヨー制御」や流速に応じて羽の角度を調整する「ピッチ制御」が導入されており、国内の海洋条件に適合した改良が行われました。 実証期間は2025年度末までで、発電性能や耐久性、海洋環境への影響などのデータ収集が行われます。
日本における潮流発電の役割と今後の展開
今回の成果は、2021年度〜2023年度に実施された500kW級潮流発電機の検証に続くもので、日本における1MW級潮流発電の実用化における重要な一歩と言えます。
九電みらいエナジーは、今後この実証実験から得られる知見を活用し、商用化とビジネスモデルの構築を進め、離島・沿岸部を中心とした国産海洋再生可能エネルギーの拡大モデルを目指します。
コメント