株式会社国際協力銀行(JBIC)は、2025年1月10日、住友商事株式会社および株式会社INPEXが出資するインドネシア法人PT Supreme Energy Muara Laboh(SEML)との間で、ムアララボー地熱発電拡張事業に対し、約1億3,800万米ドルのプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結しました。
この融資は、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社百五銀行、アジア開発銀行(ADB)との協調融資であり、総額は約3億7,000万米ドルに達します。民間金融機関の融資部分には、株式会社日本貿易保険(NEXI)による保険が付されます。
発電能力の倍増と地域電力供給への貢献
本プロジェクトでは、既存の約85MWの発電能力に加え、約83MWを増設し、総発電能力を約170MWに拡大します。新たな発電ユニットは2025年3月に着工し、2027年の商業運転開始を予定しています。
発電された電力は、インドネシア国営電力会社(PT PLN)に2052年まで売電される計画であり、スマトラ島の約90万世帯に相当する電力供給が見込まれています。
日本政府の脱炭素戦略との連携
本融資は、日本政府の「インフラシステム海外展開戦略2025」や「2030年を見据えた新戦略骨子」に基づき、カーボンニュートラル・脱炭素移行への支援として位置づけられています。また、日本政府が提唱する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」や、インドネシア政府との間で合意された「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の趣旨にも合致しており、インドネシアのエネルギー移行政策を金融面から支援するものです。
インドネシアの再生可能エネルギー導入計画
インドネシア政府は、2021年10月に発表した電源開発計画(RUPTL 2021-2030)において、2025年までに電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を23%、2050年までに31%とする目標を掲げています。また、2030年までの新規電源開発量の50%以上を再生可能エネルギーとし、そのうち地熱発電は全体の約8%を占める計画です。
日本企業の技術と知見の活用
住友商事は、インドネシアのPT Inti Karya Persada TehnikおよびPT Wasa Mitra Engineeringとともに、EPC(設計・調達・建設)契約を受注し、富士電機製の蒸気タービン・発電機を含む地熱発電設備一式を納入します。これにより、日本企業の技術と知見を活かした高品質なエネルギーインフラの構築が進められています。
JBICの今後の取り組み
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、アジア開発銀行をはじめとする国際機関と連携しながら、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していく方針です。
コメント