NTTファシリティーズ、日本郵船、ユーラスエナジーホールディングス、三菱UFJ銀行、横浜市の5者は共同で、浮体式係留施設を活用した「洋上浮体型グリーンデータセンター」の実証実験を開始します。2025年3月27日に覚書を締結し、横浜市・大さん橋ふ頭にミニフロートを設置し、実際にサーバー運用を行いながら耐環境性と安定稼働を検証します。
実証フィールドと設備構成
新たに導入されるミニフロートは、全長25m・幅80mの鋼製プラットフォームで、太陽光発電設備(出力44kW)と蓄電池システム(出力80kW/容量358kWh)を搭載します。さらに、コンテナ型データセンターを併設し、GPUラック4基分の演算装置を収容。最大電力負荷は約20kWを見込み、現地で発電した再生可能エネルギーのみを電源とする完全オフグリッド運用を実現します。実証期間は約1年間で、2025年秋の稼働開始後、環境試験を経て撤去予定です。
参加各社の役割と技術協力
- NTTファシリティーズ:データセンターのシステム設計・構築および海上運用における安定化技術の検証
- 日本郵船:浮体プラットフォームの係留運用ノウハウと海上安全管理
- ユーラスエナジー:太陽光発電および統合エネルギーマネジメントの提供
- 三菱UFJ銀行:プロジェクト資金調達支援と商業化モデルの検討
- 横浜市:大さん橋ふ頭のフィールド提供と地域連携窓口
これにより、陸上の電力網に依存しない自立型データセンターの実現性を、国内有数の港湾施設を舞台に実証します。
海洋環境下での耐久性試験
塩害や潮風、波浪による振動といった厳しい海洋環境が、太陽光パネルや蓄電池、サーバー機器に与える影響を詳細に測定。特に、太陽光モジュールの防錆処理、蓄電池の温度管理、コンテナ内部の湿度・塩分濃度制御など、実運用を想定した複合検証を実施します。これらのデータをもとに、長期稼働に向けたメンテナンス頻度や予防保全プログラムを策定します。
技術的成果と事業化への布石
今回の実証で得られる知見は、大規模な洋上浮体型データセンター構築の技術基盤となります。将来的には、洋上風力発電所の近傍に数十MW級、サーバー数千台規模の浮体プラットフォームを配置し、産業データセンター機能を担う構想が描かれています。再生可能エネルギーとデータ処理設備が一体化することで、陸上系統の制約を受けずにクリーン電力を最大限活用できる新たな分散型インフラが期待されます。
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