政府への提言・レポート
Japan Energy Timesは、再生可能エネルギーを中心とした政策領域において、現場の知見とデータに基づいた提言活動を行っています。本ページでは、政府・自治体・関係省庁に向けた政策提言書、意見提出、調査報告等を公開し、持続可能なエネルギー政策の形成に資する知的基盤の提供を目指します。業界関係者、政策担当者、研究者の皆様にとって、議論と意思決定の一助となる情報発信を継続してまいります。
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要約
日本の気候変動対策目標(2030年に温室効果ガス46%削減、2050年にカーボンニュートラル達成)には、経済の基盤を支える町工場の取り組みが不可欠です。しかし、町工場はエネルギーコスト高騰と老朽設備の非効率性という二重の課題に直面しています。多くの町工場では資金・人材不足により省エネ設備投資や再エネ導入が遅れており、約9割の中小企業が燃料価格高騰で経営影響を受けています。また設備年齢は中小企業で8.5年と、大企業の6.4年を大きく上回り、エネルギー効率低下を招いています。主な課題としては、エネルギーコスト高と価格転嫁の困難、老朽設備によるエネルギー非効率、資金・人材・ノウハウ不足、地域分散型エネルギー活用の遅れ、企業文化の保守性などが挙げられます。
政策提言として、省エネ・再エネ投資への資金支援強化、専門的技術支援と人材育成の充実、老朽設備の計画的更新促進、地域単位のエネルギー共同利用支援、サプライチェーンを通じた大企業との連携強化、カーボンプライシングの活用などが考えられます。町工場の脱炭素化は環境対策にとどまらず、エネルギーコスト削減や競争力強化につながるものです。短期的なコスト対策と長期的なグリーントランスフォーメーションをバランスよく進め、日本の産業競争力強化と地域経済の持続性確保に貢献することが重要です。
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要約
日本政府は2050年カーボンニュートラル実現に向けて、2030年度に電力の36~38%を再生可能エネルギーで賄う目標を設定していますが、2023年度の再エネ比率は26%程度にとどまっています。残りの約12ポイントを数年で引き上げるには多くの課題を克服する必要があります。再エネ導入の主な課題として、まず電力系統の容量制約があります。「空き容量ゼロ」と称される送電線の逼迫により新規案件が接続できない問題や、再エネ適地と需要地のミスマッチによる出力制御が発生しています。これを解決するには送電インフラの増強と運用ルール改革が必要です。次に、発電コストと採算性の問題があります。日本の再エネ発電コストは国際平均と比べ高く、特に太陽光発電の設備コストは世界平均の約2倍です。風力発電も欧州に比べコストが高く開発リードタイムも長いため、コスト低減と技術革新が重要です。また土地利用と地域合意形成も課題です。狭い国土で大規模設備の適地確保は容易ではなく、環境や景観への影響懸念から住民反対も起きています。適切なゾーニングと地域への利益還元が必要です。
政策提言としては、送電網の強化と運用効率化、競争的導入によるコスト低減、土地利用計画と環境調和型開発の推進、事業者育成と競争環境整備、FIT/FIP制度の最適化、PPA・自己託送の促進、電力市場改革、カーボンプライシングの導入などが挙げられます。再エネ主力電源化は気候危機対策であると同時に、次世代産業創出と地域振興の契機でもあります。政府には長期的視野に立った政策推進で「脱炭素化による経済と環境の好循環」を実現する責務があります。
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要約
日本の2050年カーボンニュートラル目標達成には、中小企業、特に「町工場」の脱炭素化が不可欠です。中小企業は日本の企業数の99.7%を占め、日本全体の温室効果ガス排出量の約1~2割を占めています。町工場の排出は主にエネルギー起源CO2であり、電力由来の間接排出(Scope2)と自家燃料燃焼による直接排出(Scope1)があります。しかし、多くの町工場は自社の排出量すら把握できていません。商工会議所の調査では、排出量を測定している中小企業は全体の25%に過ぎません。町工場における脱炭素化の主な障壁は、資金面(設備投資費用)、技術・人材面(専門知識や担当者の不足)、制度面(情報不足や手続きの煩雑さ)です。また取引先からの要求対応も増えつつあります。脱炭素技術としては、省エネ運用改善、設備の高効率化・電化、再生可能エネルギー導入、燃料転換、カーボンオフセットなどがあります。しかし導入には様々な障壁があります。
これらの課題に対する政策提言として、脱炭素支援ワンストップ窓口と専門家派遣の全国展開、補助金・低利融資・税制優遇などの資金支援、カーボンプライシングの中小企業配慮型設計、排出量見える化と開示促進、大企業との連携支援、GX人材育成、地域脱炭素プロジェクトへの参画支援などが挙げられます。これらを通じて町工場がエネルギーコスト削減や競争力向上などのメリットを享受しながら、自律的に脱炭素化を進められる環境整備が重要です。
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