創業の背景とグローバル展開
株式会社セイコーウェーブは、2010年4月に創業し、東京都立川市に本社を置く技術系企業です。同年、アメリカ・ケンタッキー州に関連会社SEIKOWAVE INC.を設立し、日米共同による研究開発と市場展開を行っています。創業者である新村稔氏は、大手電機メーカーでの経験をもとに、米国の光学技術者と連携しながら、革新的な3次元計測技術の開発を進めてきました。特に、米国ケンタッキー大学からの技術支援を受けて、初期段階の製品開発が大きく前進しました。
主力技術と製品の特長
セイコーウェーブの中心的な技術は、非接触・非破壊で3次元的な形状を測定する装置と、それに対応する損傷評価ソフトウェアです。これらの製品は、構造物の腐食や減肉などを高精度で可視化・数値化することができ、客観的で信頼性の高い評価が可能です。とくに、石油・石油化学プラントにおける配管や圧力容器の検査で高く評価されています。
製品は、WES2820やAPI579といった国際規格にも準拠しており、測定から解析・評価までを一貫して実施できる点が特長です。現場での使いやすさと信頼性の高さから、実務においても多くの導入実績があります。
新製品「3DSL-Vega」の登場
2025年1月には、新型の3Dスキャナー「3DSL-Vega」を発表しました。この製品は、ハンディタイプでPC接続を必要とせず、直射日光下でも安定して計測できるという優れた特性を備えています。そのため、橋梁やプラント設備など屋外での点検作業にも適しており、機動力の高い作業を実現しています。持ち運びがしやすく、操作も簡便であるため、現場作業員の負担軽減にも寄与しています。
幅広い事業領域と顧客層
セイコーウェーブの事業は、3Dスキャナーの開発・販売を中心に、計測業務の受託や損傷評価ソフトウェアの開発・提供まで多岐にわたります。顧客層も幅広く、石油・化学業界の大手企業や、非破壊検査会社、大学・研究機関などに導入されています。また、橋梁やトンネル、上下水道施設などの社会インフラにおいても、同社の技術が劣化診断や維持管理に活用されています。
高精度な計測技術と社会貢献
同社が開発する3次元計測技術の核には、「構造化光」という先端技術があります。これは、物体表面に格子状の光を照射し、その歪みをカメラで解析することで、表面形状を精密に再現する方式です。この技術により、従来の目視検査や打音検査に比べて、はるかに精度の高いデータ取得が可能になります。その結果、構造物の安全性を数値で評価し、長寿命化や事故予防に大きく貢献しています。
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