東京電力ホールディングス(以下、東電HD)は2025年6月20日、東京都と共同で江東区の中央防波堤外側埋立処分場において、太陽光発電由来の再生可能エネルギーを活用した「グリーン水素」の製造施設を整備すると発表しました。このプロジェクトは、東京都産業労働局の公募事業として同月12日に正式採択され、2025年度中に基本設計を行い、2027年度中の着工、2028年度中の運転開始を目指しています。
グリーン水素とは:製造段階からCO₂フリーのエネルギー源
今回整備される設備では、太陽光発電による再生可能エネルギーを活用し、水の電気分解によって水素を製造します。水素は燃焼時に二酸化炭素(CO₂)を排出しないエネルギー源ですが、「グリーン水素」はその製造過程においてもCO₂を一切排出しない点が特徴です。これにより、真に持続可能なエネルギー循環の実現が期待されます。
設備構成と供給体制
施設には、太陽光発電システムのほか、水素製造装置や、水素を効率的に移送・貯蔵するための圧縮装置なども導入される予定です。また、原料となる水と再エネ電力の安定供給体制も同時に構築され、設備全体として高効率かつ環境負荷の少ない運用が可能となります。
再エネの課題に対する水素の可能性
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候や季節による発電量の変動が避けられないという課題を抱えています。一方で、水素は長時間・大容量のエネルギー貯蔵が可能なため、電力の変動を平準化する手段として注目を集めています。今回のプロジェクトは、再エネ活用の柔軟性を高め、安定的なエネルギー供給体制の構築に寄与する取り組みです。
既存事業の知見を活用したプロジェクト推進
東電グループはこれまで、山梨県甲府市の米倉山において、東レ、東光高岳などと連携し、太陽光発電と水素製造を組み合わせた事業を展開してきました。今回のプロジェクトでも、その技術的ノウハウや実証結果が活かされることで、都市部での水素利活用モデルの構築が加速する見込みです。
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