大阪市鶴見区が挑む未来~SDGsと環境活動で築く持続可能なまちづくり~

大阪市鶴見区が挑む未来

鶴見区は大阪市の最東部に位置し、区民一人ひとりが安心して暮らせる環境づくりを目指しています。令和5年度の運営方針では、福祉、安全、子育て、情報発信に加え、持続可能な開発目標(SDGs)や環境保全への取組みを重点施策として掲げ、地域全体で環境・防災・福祉を高める具体策を実施しています。本記事では、鶴見区ならではの取り組み事例や、環境教育、企業との連携事例を詳しく解説します。

目次

鶴見区の基本方針と取り組みの背景

鶴見区運営方針にみる持続可能なまちづくり

令和5年度の鶴見区運営方針(案)では、「つながり、ふれあい、みまもり、支えあう、誰一人取り残さない、安心して暮らせるまち」を実現するため、行政、住民、そして地域企業が一体となって多岐にわたる施策を展開しています。特に環境面では、以下の点が重視されています。

  • 環境にやさしいまちづくり
    SDGsの普及と周知活動を通じ、区民への環境意識の醸成を図るとともに、地域の美化活動や緑化推進、花づくり活動などを推進しています。
  • 防災・安全対策の強化
    地域防災力の向上や大規模自然災害への備えとして、防災訓練や安全フェスタなど、区民参加型の環境活動が行われています。

SDGsの浸透と環境政策

鶴見区は、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、区民や事業者へSDGsの意義を分かりやすく伝えるための施策を推進しています。

  • 「つるりっぷ版SDGsゴール」など、区民にSDGsの各ゴールを身近に感じてもらう工夫が施され、広報紙「広報つるみ」などでも定期的に特集が組まれています

鶴見区の先進的環境活動事例

なにわECOスクエア ― 環境学習と地域交流の拠点

大阪市環境局が管理する「なにわECOスクエア」は、鶴見緑地内に位置する環境活動推進施設として、環境学習講座や各種ワークショップを実施しています。

  • 概要と目的
    なにわECOスクエアは、区民や学校児童に自然環境への理解を深めてもらい、環境保全の大切さを体感する場です。公式サイトによると、自然体験観察園や環境学習プログラムを通じ、未来のエコリーダー育成に寄与しており、再生可能エネルギーや生物多様性の保全についての実践的な学びが得られます。
  • 教育プログラムとイベント
    なにわECOスクエアでは、季節ごとの環境学習講座や、子どもたち向け体験プログラムが開催されています。例えば、鶴見緑地公園周辺で行われる清掃活動や、地域協議会と連携した環境イベントは、区民の環境意識を向上させるとともに、持続可能な社会への参加を促進しています。

連合城北地区協議会による環境行動

連合城北地区協議会は、鶴見区を含む関係自治体が合同で実施する環境行動の一環として、2021年11月27日に鶴見緑地公園にて清掃活動を行いました。

  • 活動内容と成果
    この活動では、合計56名(大人49名、小人7名)が参加し、鶴見緑地公園周辺の歩道、路側帯、中央分離帯などを中心にゴミ拾いを実施。その後、情報拡散のためSNS「ピリカシステム」を活用し、地域全体へ環境保全の取り組みの効果を伝えました。
  • 地域連携の意義
    連合城北地区協議会の取り組みは、コロナ禍という困難な状況下でも、地域の連携を深め、住民が自発的に環境保全活動に参加するきっかけとなっており、今後も継続して実施される計画です。

民間企業と地域のSDGs実践プロジェクト

鶴見区内では、地元企業がSDGsに基づく取り組みを推進しています。たとえば、株式会社GODOグループや光伸株式会社は、以下のような活動を行っています。

  • 株式会社GODOグループの取り組み
    同社は、環境問題に取り組む企業として、ペーパーレス化の推進や、LED照明の採用による省エネ対策を強化。これにより、企業活動を通じた環境負荷の低減と持続可能なエネルギー活用を実現しています。
  • 光伸株式会社のSDGsへの取り組み
    光伸株式会社は、特殊印刷や機器のメンテナンスを通じ、環境保全製品の提供に取り組んでいます。これらの企業活動は、SDGsの各ゴール(たとえば「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」)に直結しており、地域社会への貢献が評価されています。

地域型農園によるSDGs自然農園事業「あわい農園」

鶴見区の近隣地域では、都市型農業を通じた地域循環型の取り組みも進んでいます。

  • あわい農園の特徴
    あわい農園は、都市の中に設けられたSDGs自然農園として、子どもたちに農園体験を通じた食育や自然環境の重要性を伝え、福祉や働き支援にも連携する取り組みを行っています。
  • 農と福祉の融合
    農園体験を通して、子どもたちは自然と食、そして地域とのふれあいを学びます。また、地域のボランティアや支援団体と連携して、社会的弱者の就労支援につなげるなど、環境と福祉の両面から地域の持続可能な未来を形成する事例となっています。

住民参加型環境啓発とデジタル情報発信の取り組み

鶴見区は、行政だけでなく、デジタルサイネージやSNS、広報紙を通じて、SDGsや環境情報を区民に広く発信しています。

  • デジタルサイネージの活用
    区役所内や公共施設に設置されたデジタルサイネージでは、最新のSDGs情報や環境施策、イベント案内などが随時更新され、区民がリアルタイムで情報を得られる仕組みが整っています。
  • 広報紙「広報つるみ」の発行
    広報紙では、SDGsポスターコンクールの入賞作品の紹介や、各種環境イベントのレポート、地域内の環境啓発イベントについて詳細に報じています。これにより、区民の意識向上とともに、地域全体での持続可能な取り組みが醸成されています。
鶴見区の主要環境施策一覧表
鶴見区の主要環境施策一覧表
施策名 内容 主な実施団体 関連SDGs
なにわECOスクエア環境学習プログラム 環境学習講座や子ども向け体験プログラムの実施。 季節ごとの自然体験観察や環境保全の実践的な学びの場を提供。 大阪市環境局、 鶴見区役所 13 4 17
連合城北地区協議会清掃活動 鶴見緑地公園周辺の清掃活動を実施。 2021年11月には56名が参加し、SNS「ピリカシステム」を活用した情報発信も行った。 連合城北地区協議会、 地域ボランティア 13 11 17
企業のSDGs実践
(GODOグループ)
ペーパーレス化の推進やLED照明の採用による省エネ対策。 企業活動を通じた環境負荷の低減と持続可能なエネルギー活用。 株式会社GODOグループ 7 8 12
企業のSDGs実践
(光伸株式会社)
特殊印刷や機器メンテナンスを通じた環境保全製品の提供。 SDGsの各ゴールに直結した地域社会への貢献活動。 光伸株式会社 7 9 12
あわい農園
SDGs自然農園事業
都市型農業を通じた地域循環型の取り組み。 子どもたちへの食育や自然環境教育、福祉や就労支援との連携。 あわい農園、 地域ボランティア、 支援団体 8 12 11
環境啓発とデジタル情報発信 デジタルサイネージやSNS、広報紙を通じたSDGsや環境情報の発信。 SDGsポスターコンクールの実施や、環境イベントのレポート配信。 鶴見区役所、 広報つるみ編集部 4 17 11
出典:鶴見区公式情報および関連団体ウェブサイトより作成

今後の展望と鶴見区の役割

鶴見区では、行政、住民、民間企業、NPO法人が連携しながら、以下のような将来的な施策展開が期待されています。

  • 持続可能なまちづくりのさらなる深化
    令和5年度の運営方針や、広報紙での特集記事を通じ、鶴見区は引き続き防災、福祉、子育て、SDGsの各取り組みを徹底。これにより、区全体の魅力向上と安心安全な生活環境の実現を目指します。
  • 地域内外でのSDGsモデルケースの拡大
    なにわECOスクエアや連合城北地区協議会の環境行動、企業のSDGs取組みなどをモデルケースとして、他の自治体や地域企業への横展開を図り、全国的なSDGs達成に向けた事例として注目されています。
  • デジタル技術を活用した情報発信の強化
    最新のデジタルサイネージやSNS、オンライン広報を通じ、区民や広域のステークホルダーへの情報提供を一層充実させ、透明性の高い行政運営と市民参加を促進しています。

最後に

大阪市鶴見区は、行政の運営方針に沿った環境保全・SDGsへの取り組みを、なにわECOスクエアをはじめとする先進施設や、連合・地域協議会、さらには地域内企業との連携によって着実に推進しています。防災や福祉、子育て支援と密接に連動した環境施策は、区民が安心して暮らせるまちづくりへの礎となり、また、全国の自治体にとっても参考となるモデルケースとして高く評価されています。今後も、鶴見区は持続可能な未来の実現に向けて、環境と社会経済の好循環を築き、全区民が主体的に参加できる取り組みを推進し続けます。

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