YKK AP株式会社は2025年4月25日、ペロブスカイト太陽電池を活用した建材一体型太陽光発電(BIPV)の早期社会実装に向け、技術開発を加速するための実証実験を羽田イノベーションシティ(HICity)敷地内で開始しました。実証期間は2025年4月25日から10月20日までを予定しています。
羽田での実証実験の概要
今回の実証実験は、これまでの秋葉原や札幌での実証とは異なり、一般公開を行わず、データ収集に特化した形で実施されます。特に、内窓と外窓の両方にペロブスカイト太陽電池を設置し、同一環境下での発電性能の比較を行う点が特徴です。これにより、建材一体型太陽光発電の実用性や効率性に関する詳細なデータを取得し、技術の高度化を図ります。
実証実験ラボの仕様と目的
実証実験ラボ「HANEDA ZERO BOX」は、長さ7.2m、幅2.5m、高さ3.7mの2台で構成され、以下のような太陽電池モジュールが設置されています。
- 内窓:ペロブスカイト太陽電池(1,200mm×2,400mm)4枚、(600mm×1,200mm)6枚
- 外窓:ペロブスカイト太陽電池(1,200mm×2,400mm)4枚、(600mm×1,200mm)6枚
- バルコニー部:ペロブスカイト太陽電池(600mm×1,200mm)5枚
- 中央部デッキ部分:多結晶シリコン太陽電池(520mm×734mm)4枚
- 屋根:単結晶シリコン太陽電池(990mm×1,650mm)6枚、(1,054mm×1,616mm)6枚
実証実験では、以下の比較評価を行い、建材一体型太陽光発電の性能を検証します。
- 外窓と内窓に設置したペロブスカイト太陽電池の発電比較
- シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池の発電比較
- 垂直設置と屋根上設置の場合の発電比較
これらのデータを蓄積・解析することで、建材一体型太陽光発電の技術開発を進め、社会実装に向けた課題の解決を目指します。
過去の実証実験と今後の展望
YKK APは、これまでにも建材一体型太陽光発電の実証実験を実施してきました。2024年には秋葉原で「Akiba ZERO BOX」を用いた実証実験を行い、都市部での発電性能を検証しました。2025年2月には札幌市で「SAPPORO ZERO BOX」を活用し、雪国での発電性能や耐久性を評価しました。
これらの実証実験を通じて得られた知見を活かし、羽田での実証実験では、より実用的なデータの収集と技術の高度化を図ります。YKK APは、今後も建材一体型太陽光発電の開発を進め、カーボンニュートラルの実現に貢献していく方針です。
コメント