2025年4月21日、京都府向日市のJR向日町駅前に、府内初の脱炭素技術スタートアップ向け支援拠点「ZET-BASE KYOTO」がオープンしました。
これは、気候変動に対応するゼロ・エミッション技術(ZET)を開発する企業向けにオフィスと共用ラウンジを提供し、経営・資金調達のアドバイスを行う施設です。
ZET-BASE KYOTO の概要
立地と施設構成
- 場所:京都銀行向日町支店・東向日町支店の新築ビル3階
- オフィス数:7室(半導体・バッテリー・再エネ関連の創業間もないスタートアップ向け)
- 共用スペース:ミーティングルーム、イベントスペース、ラウンジなど
- 入居開始:2025年5月予定
背景と狙い
2023年に京都府・向日市・京都銀行・JR西日本が連携協定を結び、脱炭素まちづくりを掲げる「ZET-valley(ゼット・ヴァレー)構想」を発表。向日市の企業集積地という強みを生かし、国内外で競争力を持つスタートアップを育成します。
「ZET」の意味と地域特性
- ZET(Zero Emission Technology):CO₂や廃棄物といった排出を抑制・削減する技術
- 向日市の強み:電子・光学部品メーカーのニデック等、大手企業が集積
- ネーミング:米シリコンバレーに続くイノベーション拠点を目指し命名
向日市長の安田守氏は「竹林が広がる地域特性を逆手に取り、技術革新で脱炭素を実現する」と述べ、行政・企業・金融機関が一体となった支援体制を強調しました。
まちづくりを支えるインフラと住宅計画
向日町駅前では、2028年度に府内最高層となる38階建てタワーマンションが竣工予定。都市型住宅の増加により、起業家や技術者のライフスタイルを支える環境が整いつつあります。
京都フィナンシャルグループの支援強化
100億円出資枠の設置
- 昨年9月:京都キャピタルパートナーズがスタートアップ向けに100億円の投資枠を創設
100億円の「ベンチャーデット」融資枠
- 今回:傘下の京都銀行が追加で100億円を設定し、事業成長をサポート
京都FGの土井伸宏社長は「脱炭素ビジネスを創出し、社会課題の解決につなげる」と力を込めました。
環境配慮型ビルとEV導入
- ZEB認証取得予定:施設の省エネ・創エネを両立し、実質エネルギー使用量ゼロを実現する「ZEB(ゼブ)」認証を、2025年5月に申請・取得予定
- EV営業車の導入:支店行員が使用する営業車を電気自動車とEVバイクに切り替え、全支店で初の取り組み
これにより、拠点自体が脱炭素モデルとなり、入居企業や地域住民に対する強いメッセージとなります。
今後の展望
「ZET-BASE KYOTO」は、向日市を含む京都府全体での脱炭素まちづくりを加速させる要となります。企業支援拠点としての機能を充実させるとともに、国内外への情報発信拠点としても期待されます。スタートアップの成長を後押しし、地域経済と環境保全が両立する新たなイノベーション・エコシステムの創出を目指します。
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