横引シャッターの未来を紡ぐ——市川慎次郎社長の経営哲学と事業承継

創業者の挑戦と「横引シャッター」の誕生

1970年、中央シャッターは市川文胤氏によって創業されました。当初は上下式シャッターの修理を主に行っていましたが、他社製の横引シャッターの修理依頼を受ける中で、その動作の悪さに着目。これを改善すべく、上部に吊るす「上吊式横引シャッター」を開発しました。この新しいシャッターは、従来の下部レール式に比べてゴミ詰まりがなく、スムーズな開閉が可能となり、特許も取得しました。しかし、当時は大手企業から「一町場の下請け会社からは買わない」と断られることもありました。それでも諦めず、1986年に横引シャッターを設立し、特殊シャッター専門のメーカーとしての道を歩み始めました。

特殊シャッターの進化と実績

横引シャッターは、上吊式の特性を活かし、最大54mの開口部を1枚でカバーするシャッターを開発。曲線にも対応できるため、建物のデザインに柔軟に対応できます。この技術は、原子力発電所や大手自動車メーカーの開発工場など、特殊な施設でも採用されています。また、駅の売店やショッピングモールのテナントなど、日常生活の中でも多く使用されています。

社長・市川慎次郎氏の経営哲学と事業承継

2011年、創業者の急逝により、36歳で社長に就任した市川慎次郎氏は、父の意志を継ぎながらも、自身の経営哲学を築いてきました。「創業者の意思を継がない社長はダメ」という信念のもと、社員を家族のように大切にし、多様な人材を積極的に採用しています。また、事業承継については、長男に30年計画でバトンを渡す準備を進めており、まず10年間で土台を作り、次の10年で実際にバトンを渡し、最後の10年で新しい働き方を模索する計画を立てています。

徳川家に倣った30年計画の事業承継

市川氏は、長男への事業承継を「徳川家」の例にたとえて語ります。
「徳川家康が“初代”として江戸幕府を築き、“秀忠”が土台を固め、“家光”が花を咲かせたように、我が家も三代で完成を目指す。」
この言葉には、事業承継を単なる「引き継ぎ」ではなく、歴史と意志の継承として捉える哲学が表れています。

横引シャッターの特長

曲線や複雑な形状にも対応

横引シャッターは、直線だけでなく曲線やS字形状にも対応可能です。これにより、建物のデザインやスペースに合わせた柔軟な設置が可能となり、美観を損なうことなく防犯・防災対策が行えます。

軽い力での開閉が可能

上下開閉式シャッターに比べ、横引シャッターは軽い力で開閉できるため、高齢者や女性でも扱いやすく、日常のストレスを軽減します。

メンテナンス性と耐久性

横引シャッターは、部品の摩耗や故障が少なく、長期間にわたり安定した性能を維持します。また、同社は自社で部品の製造・供給を行っており、迅速なメンテナンス対応が可能です。

製品ラインナップ

株式会社横引シャッターでは、以下のような多彩な製品を取り揃えています:

  • 防火・防煙シャッター
  • 電動門扉
  • シースルーシャッター
  • パイプカーテンゲート
  • フォールディングゲート
    これらの製品は、住宅や商業施設、公共施設など、さまざまな用途に対応しています。

SDGsとエネルギー問題への取り組み

横引シャッターは、SDGsに対して独自の視点を持っています。「お金儲けに直結していない」としながらも、地球にクリーンなことは素晴らしいと評価。実際に、自社の本社にLED照明を導入し、節電設備を整えるなど、環境への配慮を行っています。また、太陽光パネルを自宅に設置し、足立区の共同購入に参加するなど、地域と連携した取り組みも行っています。

今後の展望とビジョン

横引シャッターは、今後も「仲間と楽しく働き豊かになる」という理念のもと、創業者の意思を継ぎながら、新しい働き方やDXの推進を目指しています。また、特殊シャッターの技術をさらに進化させ、国内外の多様なニーズに応える製品開発を進めていく予定です。市川社長は、「社員一人ひとりが会社の未来を背負っている意識で会社を盛り立てて欲しい」と語っています。

ぜひシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする