非破壊検査(NDT)は、構造物や部品の内部を壊すことなく確認できる検査技術であり、航空機のエンジンや自動車、宇宙機器、橋梁、道路、造船、パイプライン、そして重工業まで、あらゆる分野で製品や構造物の品質保証に欠かせない存在です。
その中でも、長年写真技術を磨いてきた富士フイルムが提供する非破壊検査装置は、他社にはない高精細な画像性能と、環境・業務効率の面でも革新的なアプローチを実現しています。本記事では、富士フイルムの非破壊検査技術の強みと活用事例、今後の展望について詳しくご紹介します。
富士フイルムが誇る非破壊検査装置の特徴
富士フイルムは、かつて写真用フィルムで世界をリードした企業。その画像技術の蓄積は、非破壊検査の分野にも存分に活かされています。
まず注目すべきは「画像のクオリティ」。富士フイルムの非破壊検査用X線フィルム「IXシリーズ」は、極超微粒子で構成されており、細部まで高い解像度で表現できます。これにより、微小な溶接不良や内部の欠陥も視認可能。検査員が直感的に判断しやすく、かつ確実な検査が行える点が最大の特徴です。
また、デジタルX線検査システム「DynamIx HR²」や「DynamIx FXR」は、撮影から画像確認までをデジタルで完結し、現像作業やフィルムの保管が不要になります。検査工程の短縮や人的ミスの削減にもつながり、業務効率を大幅に改善します。
環境配慮とSDGsへの貢献
従来のアナログ検査では、フィルムや現像薬品の使用が避けられず、環境への負荷も問題となっていました。特に、フィルムは一度使用したら廃棄しなければならず、温度管理や薬品処理など手間とコストがかかっていたのです。
これに対し、富士フイルムのデジタル検査装置は、完全なフィルムレス化により環境負荷を大幅に削減。薬品も使用しないため、作業環境の安全性が高まり、評価されています。こうした取り組みは、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも高く評価されています。
AIを活用した次世代ソリューション
富士フイルムは、画像技術に加えAI技術の導入にも積極的です。たとえば、JR東日本と共同で開発した新幹線トンネルのひび割れ自動抽出AIは、非破壊検査とAIを融合させた先進的な事例。2025年度から全面導入予定となっており、安全性と効率性の両立を実現しています。
さらに、富士フイルム自身もAIを用いた検査データの分析ソリューションを実用化しており、現在は一部の顧客で試験運用中。今後、こうした技術が普及することで、技術継承の課題や熟練検査員の減少に対しても、有効な解決策となるでしょう。
まとめ:非破壊検査の未来を切り拓く富士フイルム
富士フイルムの非破壊検査装置は、画像の鮮明さ、操作の簡便さ、環境負荷の軽減、そしてAIによる高度な分析と、あらゆる面で他社との差別化を図っています。
重工業はもちろん、半導体や電子部品などの微細な検査にも応用可能であり、大手企業から中小企業まで幅広いニーズに応えることができます。
今後も、非破壊検査における「安全」「迅速」「正確」「持続可能」を実現するソリューションとして、富士フイルムの活躍が期待されます。
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