飛雄商事株式会社の挑戦と理念
飛雄商事株式会社は、東京都東村山市に本社と自社工場を構える、日用品・化学製品の開発型メーカーである。1985年の創業以来、同社は他社にはない独自性のある商品づくりにこだわり、安全で環境に優しい製品を数多く世に送り出してきた。
商社からメーカーへの転換
創業当初の飛雄商事は商社としてスタートし、約10年間は中間流通業を中心に展開していた。しかし、ある通信販売会社の社長から「こういう製品を作れないか」と依頼されたことをきっかけに、自社で製造を手がけるようになる。そこから徐々に受託製造を拡大し、現在では完全なメーカー業として、企画・開発から製造・販売までを自社で一貫して行う体制を整えている。
飛雄商事の製品哲学
飛雄商事の製品には、大きな特徴がある。それは「他社製品を模倣しない」「市場にないアイデア商品を開発する」ことだ。例えば、同社の代表的な商品であるカビ取り洗剤は、塩素系ではなく乳酸をベースとした処方で作られている。これにより、塩素系のような漂白作用がなく、カーテンや絨毯、畳といったデリケートな素材にも安全に使用できる。肌に触れても安心という点から、「究極的には自分にかけても大丈夫」とまで言われるほどの安全性を誇る。
環境に優しいクリーニング製品
また、洗濯槽クリーナーにおいても、従来の塩素系から酸素系にシフト。酸素の力で洗浄することで、においが少なく、使用中の不快感が軽減されるだけでなく、環境への負荷も抑えることができる。排水溝用の「もこもこ泡クリーナー」は、酸素発泡によって大量の泡が発生し、排水溝の奥や側面までしっかり洗浄・除菌する画期的な商品である。こうした製品群は、見た目やにおいだけでなく、実際の効果を体感できる点でも消費者の信頼を集めている。
「使いたい」と思える製品作り
飛雄商事は、商品を開発する際に必ず「自分たちが使いたいと思うか」を問い、従業員自身が納得できる製品を作るというポリシーを持つ。これは、ただ単に市場ニーズに応えるのではなく、品質や使い心地、安全性といった本質的な価値を追求する姿勢の表れである。
高い製造能力と柔軟なOEM対応
自社製品だけでなく、OEM製造も幅広く手がけており、塩素系の商品も含め、他社ブランド製品の製造を受託している。特に、同社の製造能力は高く、年間100万本の生産が可能という、小ロット(数千~数10万)と大ロット(数100万~1,000万)の中間を埋める稀有な存在である。さらに、1リットルが主流の市場において、4〜5リットルといった大容量製品の製造にも対応できる設備を整えている。
こうした柔軟な対応力と高い技術力は、様々な原料やパッケージ形態に対応することで実現されている。嘔吐物処理キットのように、特殊なニーズに応じた製品も開発・製造されており、消臭や除菌といった効果を実感できるように工夫されている。
品質重視の戦略とネット販売の親和性
さらに、同社は「価格競争を避ける」戦略を採っており、品質や独自性で勝負するマーケット戦略を構築している。これにより、他社が容易に模倣できない製品を生み出し、差別化されたブランド価値を確立している。また、市場調査をもとにした商品開発では、「環境に優しいもの」「人にとって安全なもの」に対する需要が高まっているという結果に着目し、そのニーズに応える商品づくりを進めている。
インターネット通販との相性も良く、商品の特性を丁寧に伝えることで顧客からの理解と信頼を得ている。とがった特徴を持つ製品は、従来の店頭販売よりもネット販売での訴求が効果的であり、同社の製品は今後もこのチャネルでの展開が主力になると見込まれる。
総じて、飛雄商事株式会社は、独自の視点と高い技術力で他社との差別化を図る、日本国内でも稀有な製造業者である。今後も「自分たちが本当に使いたいと思える商品」を軸に、安全性、環境配慮、そして機能性を備えた製品の開発を通じて、より多くの消費者に信頼される存在であり続けるだろう。
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