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【2026年版】卒FIT後の選択肢|売電・蓄電池・V2Hを徹底比較

太陽光発電
【2026年版】卒FIT後の選択肢|売電・蓄電池・V2Hを徹底比較

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住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT買取期間は、再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)第3条で10年と定められています。買取期間を満了すると、固定価格での売電は終了し「卒FIT」となります。資源エネルギー庁の試算では、2026年度末までに住宅用太陽光の累計卒FIT件数は170万件以上に達する見込みです(資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応」資料)。

卒FIT後の選択肢は、放置すれば大手電力の8.5円/kWh前後で自動継続されますが、新電力に切り替えれば11〜14.6円/kWhでの売電も可能です。さらに蓄電池・EV充電に振り替えて自家消費に切り替えると、買電単価30〜40円/kWhを「節電」として打ち消せます。この記事では2026年5月時点の最新買取価格表、4タイプの判断フローチャート、大手電力5社の自動移行ルール、確定申告の論点までを一気通貫で整理します。

住宅の屋根に設置された太陽光発電パネル

卒FIT(FIT満了)とは|2026年5月時点の制度と通知の流れ

卒FITとは、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に基づく10年間の固定価格買取期間が満了することを指します。住宅用太陽光発電(10kW未満)が対象で、2019年11月から累計件数が急増しています。

卒FITの根拠法

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(通称FIT法)第3条で、住宅用太陽光(10kW未満)の調達期間は10年と定められています。10kW以上の事業用太陽光は20年です。買取期間中の単価は経済産業省が年度ごとに告示します。

FIT買取価格の推移(2012〜2025年度)

住宅用太陽光(10kW未満・余剰買取)の調達価格は、制度開始の2012年度42円/kWhから2025年度の15円/kWhまで段階的に下落しました。卒FITを迎える世帯の多くは、当時の高単価で売電してきた家庭です。

FIT適用年度調達価格(10kW未満)卒FIT到来年度
2012年度42円/kWh2022年度
2014年度37円/kWh2024年度
2016年度31円/kWh2026年度
2019年度24円/kWh2029年度
2022年度17円/kWh2032年度
2025年度15円/kWh2035年度

2026年度に卒FITを迎えるのは、主に2016年度(31円/kWh)に設置した家庭です。買取価格は8〜14円/kWh前後に下がり、年間売電収入は半額以下になります。

満了通知のタイミング(4ヶ月前と1ヶ月前)

FIT満了の通知は、買取電力会社から発電事業者(住宅オーナー)に対し、満了日の4ヶ月前と1ヶ月前の2回送付するよう経済産業省が事業者に求めています(資源エネルギー庁ガイドライン)。郵送が一般的で、契約者の登録住所に届きます。

タイミング通知内容するべきこと
満了 6〜4ヶ月前満了予告通知(買取期間満了日・設備ID・現契約条件)選択肢の検討開始・他社プランの情報収集
満了 1ヶ月前最終通知(自動移行先プラン or 自家消費への切替案内)新電力切替の最終判断・申込手続き
満了日FIT契約終了・卒FITプランへ自動移行 or 新電力へ切替新メーターの設置確認(必要な場合)
通知が届かない場合の確認方法

通知書を紛失した場合や、引っ越しで届かない可能性がある場合は、現在の売電先電力会社に「FIT満了日を確認したい」と連絡してください。設備IDがあれば即座に確認できます。またFIT・FIP制度の事業計画認定情報公表用ウェブサイトでも設備情報を検索できます。

卒FIT後の4つの選択肢と料金表【2026年5月最新版】

卒FIT後の対応は、大きく4タイプに分類できます。それぞれの初期費用・年間メリット・適性をまず一覧で把握してください。

選択肢初期費用年間メリット目安適する家庭
① 大手電力で売電継続0円年 3.4万円
(8.5円/kWh × 4,000kWh)
日中不在・面倒な手続きを避けたい
② 新電力に切替て売電0円年 4.4〜5.8万円
(11〜14.6円/kWh × 4,000kWh)
少しの手続きでメリット最大化
③ 蓄電池で自家消費100〜200万円年 8〜15万円
(買電30円→0円の節約)
在宅時間長・10年以上住み続ける
④ EV/V2Hで充電40〜100万円(V2H機器)年 5〜10万円
(ガソリン代相殺+電気代圧縮)
EV保有・買い替え予定・通勤距離長
2026年5月時点の結論

追加投資ゼロで年間1〜2万円増やすなら②新電力切替が最適解です。10年以上住み続ける予定で在宅時間が長いなら③蓄電池で自家消費が経済合理性で最大です。EVを保有または購入予定なら④V2Hが最もメリットの絶対額を稼げます。

【独自フローチャート】あなたに最適な卒FIT後の選択肢を5問で判定

競合上位サイトには「ライフスタイル別の判断基準」はありますが、Yes/Noで分岐するフローチャートはほぼ存在しません。JET独自に5問の判定フローを設計しました。

質問YesNo
Q1. 10年以内に引っ越し or 売却の予定がある→ ① or ②(売電継続型)→ Q2へ
Q2. EVを保有 or 5年以内に購入予定→ ④ V2H導入を検討→ Q3へ
Q3. 平日昼間に家族の誰かが在宅している→ ③ 蓄電池で自家消費→ Q4へ
Q4. 初期費用100万円以上を出せる→ ③ 蓄電池(夜間消費)→ Q5へ
Q5. 比較サイトでの申込・書類記入が苦にならない→ ② 新電力に切替→ ① 大手電力で自動継続

このフローチャートは「経済合理性」と「手間の許容度」の2軸で判定する設計です。判定結果が複数該当する場合は、上から順番(Q1→Q5)に優先してください。Q1で「Yes」なら短期回収しない蓄電池は避けるべき、というロジックです。

判定結果別の年間収支シミュレーション(4人家族・5kW太陽光・年間発電量5,500kWhの場合)

同じ家庭が4つの選択肢を取った場合、年間収支がどう変わるかを独自試算しました。買電単価は東京電力エナジーパートナー従量電灯B第3段階40.49円/kWhを基準としています。

選択肢売電収入買電削減初期費用
(10年償却)
年間純メリット
① 大手電力で売電継続(8.5円)+34,000円
(4,000kWh売電)
0円0円+34,000円
② 新電力切替(13.5円)+54,000円0円0円+54,000円
③ 蓄電池で自家消費(7kWh)+8,500円
(残1,000kWh)
+121,470円
(3,000kWh × 40.49円)
-150,000円
(150万÷10年)
-20,030円
④ V2H+EV充電+12,750円+101,225円
(2,500kWh × 40.49円)
-80,000円
(80万÷10年)
+33,975円
※蓄電池がマイナスに見える理由

10年償却で計算すると蓄電池は初期費用負担が重く、単年度収支ではマイナスになりがちです。ただし蓄電池の実寿命は15年のため、11〜15年目は償却ゼロで年12万円以上の純メリットが残ります。15年トータルでは+45万円前後の黒字となり、長期視点で初めて投資回収が見える選択肢です。10年で家を売却・引っ越しする可能性がある世帯には不向きです。

選択肢①②|大手電力 vs 新電力の買取価格徹底比較(2026年5月実測)

売電継続を選んだ場合、買取単価は契約先によって最大1.7倍変わります。10エリアの大手電力と主要新電力の卒FIT買取価格を一覧で整理しました。

日没を背景にした太陽光パネルと送電線

大手電力10社の卒FIT買取価格(2026年5月時点)

エリア大手電力会社買取価格備考
北海道北海道電力8.0円/kWh「再エネ電気買取サービス」
東北東北電力9.0円/kWh「FIT満了後買取プラン」
東京東京電力EP8.5円/kWh「再エネ買取標準プラン」(税込)
中部中部電力ミライズ7.0円/kWh「カテエネ卒FITプラン」
北陸北陸電力8.0円/kWh
関西関西電力8.0円/kWh「再エネおとくプラン」
中国中国電力7.15円/kWh
四国四国電力7.0円/kWh
九州九州電力7.0円/kWh「再エネ買取プラン」
沖縄沖縄電力7.5円/kWh

主要新電力の卒FIT買取価格(2026年5月時点)

事業者買取価格対応エリア買取方式
スマートテック「スマートFIT」14.6円/kWh東京固定
エネクスライフサービス「卒FITでんきプラス」13.5円/kWh全国固定
Q.ENEST「エネまかせ」14.59円/kWh
(2025年2月平均)
全国市場連動
TERASELでんき11.5円/kWh全国固定
auでんき11.0円/kWh全国固定
東京ガス「太陽光買取プラン」10.5円/kWh東京・関東固定
大手と新電力の差額

東京電力エリアで大手8.5円 vs スマートテック14.6円なら、年間4,000kWh売電で差額24,400円になります。10年継続すれば24万円超です。切替手続きは申込書1枚+検針票で完了し、工事費・違約金は基本的に発生しません。

固定買取型 vs 市場連動型の選び方

新電力の卒FITプランは、買取単価が一定の「固定買取型」と、JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格に連動する「市場連動型」の2種類があります。

固定買取型のメリット
  • 毎月の売電収入が予測しやすいです
  • 市場価格暴落リスクを回避できます
  • 家計管理がしやすく初心者向けです
市場連動型のメリット・注意点
  • 夏・冬の電力ひっ迫期は高単価になります
  • 東京エリアの2022〜2024年実績では固定型より高値傾向(新電力ネット調べ)
  • 市場暴落時は数円/kWhまで下がるリスクがあります

新電力ネットの公表データによると、東京電力エリアで2022〜2024年の3年間は市場連動型が固定型を平均1〜3円/kWh上回りました。ただし2020年12月のJEPX高騰時は逆に固定型有利だった事例もあり、3年〜5年の中長期視点で見ると変動幅は大きいです。リスク許容度が低い家庭は固定型、攻めの運用ができる家庭は市場連動型を選択するのが原則です。

選択肢③|蓄電池を導入して自家消費に切り替える場合の独自試算

卒FIT後に蓄電池を導入すると、昼間に発電した余剰電力を夜間や雨天時に使い切れます。買電単価30〜40円/kWhと売電単価8〜14円/kWhの差額が、そのまま家計のメリットになります。

蓄電池導入の投資回収シミュレーション(7kWh・150万円の場合)

項目金額備考
蓄電池本体+工事費150万円7kWh標準モデル(2026年5月相場)
国・自治体補助金-30万円DER補助金等。自治体により0〜60万円
実質負担額120万円
年間自家消費増(3,000kWh)+121,470円3,000kWh × 40.49円/kWh(東京電力第3段階)
年間売電収入減-25,500円余剰減 3,000kWh × 8.5円
年間純メリット+95,970円
投資回収年数約12.5年120万 ÷ 9.6万円/年
買電単価を高く設定している理由

東京電力エナジーパートナー従量電灯Bの第3段階料金は2025年10月時点で40.49円/kWhです(120kWh超〜300kWh)。卒FIT世帯は太陽光があってもなお月400kWh以上消費する家庭が多く、削減対象は第2〜第3段階の高単価ゾーンになります。第1段階単価で計算する競合シミュレーションは過小評価になりやすいです。

蓄電池導入で「やめたほうがいい」と判断するケースもあります。判断チェックリストは蓄電池はやめたほうがいい?導入判断の決定版ガイドで詳しく解説しています。

選択肢④|EV充電・V2Hに振り替える場合の年間メリット

電気自動車(EV)を保有している家庭、または5年以内に購入予定の家庭は、太陽光発電の余剰電力をEV充電に充てるのが選択肢になります。さらにV2H(Vehicle to Home)機器を導入すれば、EVから家庭に電力を戻すことも可能です。

V2H導入の経済メリット(試算)

項目金額備考
V2H機器+工事費80〜100万円ニチコン・三菱・パナソニック等
国・自治体補助金-30〜50万円CEV補助金・自治体上乗せ
実質負担額50〜70万円
年間ガソリン代削減+50,000円
(年1万km・燃費15km/L換算)
ガソリン175円/L想定
年間電気代削減+50,000円
(夜間電力→太陽光に置換)
年間純メリット+100,000円
投資回収年数約5〜7年

V2Hは蓄電池より初期費用が安く、しかも車の購入費用は「移動手段」として別予算で確保できる点が強みです。EVを買う予定がある家庭にとって、V2Hは蓄電池より投資効率が高い選択肢になります。EV充電費用の詳細はEV DAYS(東京電力エナジーパートナー)でも実例が公開されています。

何もしないとどうなる?大手電力5社の自動移行ルール

卒FIT後に何もしなかった場合、買取電力会社の自動移行プランに移行します。事業者によって価格・契約期間が異なるため、契約者番号と現契約を確認しておく必要があります。

大手電力自動移行プラン買取単価契約期間
東京電力EP再エネ買取標準プラン8.5円/kWh(税込)1年自動更新
関西電力再エネおとくプラン8.0円/kWh1年自動更新
中部電力ミライズカテエネ卒FITプラン7.0円/kWh1年自動更新
九州電力再エネ買取プラン7.0円/kWh1年自動更新
北海道電力再エネ電気買取サービス8.0円/kWh1年自動更新
「何もしない」が最悪のパターンになるケース

新電力との差額が大きいエリア(特に東京・関東・関西)では、何もしないことで年間20,000〜25,000円の機会損失が発生します。10年で20万円以上です。1ヶ月前の最終通知を見落とすと自動移行され、その後も切替は可能ですが、移行後30日以内であれば「クーリングオフ的に解約」できる事業者もあるため早めの判断が重要です。

卒FIT後の確定申告・税務の注意点

卒FIT後も売電収入が発生する場合、税務上の取り扱いは原則としてFIT期間中と変わりません。ただし収入額が大幅に減るため、申告不要となるケースが増えます。

  • 住宅用太陽光(10kW未満)の売電収入は雑所得として扱われます
  • 給与所得者で雑所得が年20万円以下なら、確定申告は不要です(所得税法第121条第1項)
  • 自営業者・年金生活者の場合は雑所得20万円以下でも住民税の申告が必要なケースがあります
  • 2026年度卒FIT世帯の典型例(年間売電34,000円〜58,000円)は、ほぼ全員が雑所得20万円以下となります
  • 蓄電池・V2H設置時の取得税控除(住宅省エネ2024キャンペーン等)は別途確認してください

FIT期間中は売電収入が高額で確定申告していた家庭でも、卒FIT後は売電収入が年5万円前後まで下がるため、給与所得者は確定申告が不要になるケースが大半です。ただし、住宅ローン控除や医療費控除で確定申告する場合は、売電収入も併せて申告する必要があります。詳細は税理士または最寄りの税務署で確認してください。

卒FIT後の選択肢に関するよくある質問

FIT満了の通知はいつ届きますか?

満了日の4ヶ月前1ヶ月前に、買取電力会社から郵送で届きます。設備ID・現契約条件・自動移行プランの案内が記載されています。引っ越しや住所変更で届かない可能性がある場合は、現在の売電先電力会社のサポートに連絡してください。

新電力に切り替えると工事費はかかりますか?

原則として工事費は不要です。スマートメーターが設置済みの世帯はそのまま、未設置の場合は電力会社が無料で交換します。違約金も大半のプランで発生しません。ただし「契約期間2年・解約金あり」の新電力もあるため、契約前に重要事項説明書を確認してください。

蓄電池は卒FIT後すぐ導入しないと損ですか?

すぐに導入する必要はありません。新電力に切り替えて年4〜5万円の売電収入を確保しつつ、蓄電池の価格動向と補助金の動向を1〜2年見極めるのが合理的です。蓄電池の価格は2023〜2026年で毎年5〜10%ずつ下がる傾向にあり、補助金も拡大傾向です。

太陽光発電の発電量が落ちていますが、卒FIT後も使い続けるべきですか?

パネルの劣化率は年0.5%前後で、10年経過時点の発電量は新品の95%程度です。15〜20年使い続けても発電効率は85〜90%維持します。買取単価が下がっても、自家消費に切り替えれば1kWh=40円相当の節約効果があるため、撤去するのは過去最悪の選択です。

FIT満了後に売電をやめたら、どうなりますか?

発電した電気は系統に流れず、家庭内で自家消費されます。余剰分は捨てられる(パワーコンディショナーが出力を絞る)状態になります。蓄電池がなければ昼間の余剰電力は活用できないため、売電を完全停止する選択肢は経済的に最悪です。最低でも大手電力の自動継続プラン(7〜8円/kWh)は維持するのが基本です。

蓄電池とV2Hはどちらを優先すべきですか?

EVを保有している、または5年以内に購入予定ならV2Hを優先してください。V2Hは初期費用50〜70万円(補助金後)で投資回収5〜7年と、蓄電池(120万円・回収12.5年)より効率が良くなります。EV予定がない家庭は蓄電池7kWh以上が選択肢です。

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卒FIT通知を受け取ったら取るべき3つのアクション

満了4ヶ月前から始める準備ステップ
  1. 満了通知書を保管し、現契約条件を整理する

    4ヶ月前の通知書には設備ID・満了日・自動移行先プランが記載されています。捨てずに保管してください。契約者名・住所・FIT登録年度(買取単価)も併せて把握しておくと、新電力切替の手続きが10分で完了します。

  2. エリア別の新電力買取単価を比較する

    スマートテック・エネクスライフサービス・Q.ENEST・TERASELでんき等の主要新電力サイトで、自分のエリアの買取単価を確認してください。大手電力との差額が年20,000円以上なら切替を検討、5,000円未満なら手間に見合わないため自動継続でOKです。資源エネルギー庁の卒FIT FAQも併せて確認してください。

  3. 在宅時間とEV予定から将来の自家消費比率を決める

    10年以上住み続ける予定で平日昼間在宅が長い世帯は、蓄電池またはV2H導入を中長期で検討してください。1〜2年は新電力切替で売電収入を確保しつつ、補助金・機器価格の動向を見ながら導入タイミングを決めるのが合理的です。資源エネルギー庁では年度ごとの補助金情報を随時更新しています。

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カテゴリ:太陽光発電