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BREEAM認証は日本で普及する?英国発の環境性能評価

更新: 2026/03/22
省エネ・節約
BREEAM認証は日本で普及する?英国発の環境性能評価

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BREEAMは1990年に英国で開発された世界初の建築物環境性能評価制度です。世界90カ国以上で60万件超の認証実績があります。日本ではCASBEEが主流です。BREEAM認証の取得は外資系不動産や国際テナント向け物件に限られています。

主要な環境性能評価制度の比較

メリット

  • BREEAMは1990年開発の世界初の建築物環境性能評価制度で、世界90カ国以上60万件超の認証実績を持ち、国際ESG投資家・欧米系多国籍企業テナントへの訴求力はCASBEEやLEEDをしのぐ場面がある
  • 環境認証取得ビルは非取得ビルと比較して賃料プレミアムが3〜7%高く空室率も低い傾向にある(損保ジャパンリスクマネジメント・2025年レポート)。ESG投資の拡大で認証の資産価値向上効果は年々高まっている
  • BREEAMはエネルギー・水・資材・廃棄物・生態系など10カテゴリの総合評価制度であり、単なる省エネ認証にとどまらない建物ライフサイクル全体の持続可能性を可視化できる包括的な枠組みとして機能する

デメリット・注意点

  • 日本での認証件数は数十件程度と極めて少なく、CASBEEが自治体の建築行政と連動して大規模建築物への届出義務を持つ一方、BREEAMは行政上のメリットが存在せず、大部分の国内建物にとって取得動機が薄い
  • 認証コストは100〜500万円程度でCASBEE(50〜200万円)より割高な上、評価員の多くが海外在住のため日本での評価に追加費用が発生し、英語資料準備・国際基準との照合という実務負担も大きい
  • 評価基準が英国の気候・建築慣行を前提としており、日本の高温多湿な気候や木造住宅の伝統と合致しない項目があることに加え、JLLの2024年レポートでも日本の環境認証取得の90%超がCASBEEとDBJ Green Buildingに集中している
ポイント
  • BREEAMは世界90カ国以上60万件超の認証実績を持つ英国発の建築物環境性能評価制度。外資系テナントが入居する商業施設や国際規格を求める不動産開発で需要がある
  • 日本ではCASBEE(国内向け)とLEED(北米発、国際認知度高)が主流。BREEAMは外資不動産・ESG投資家向けのニッチな用途で普及が進む
  • 認証取得には費用(数百万円規模)と英語での資料準備が必要。国際テナントを誘致する必要がある場合に限り費用対効果が生まれる

世界には複数の評価制度が存在し、それぞれ特徴が異なります。

制度名発祥国開始年認証件数(世界)日本での普及度
BREEAM英国1990年60万件超低(数十件程度)
LEED米国1998年約20万件中(増加傾向)
CASBEE日本2001年約7,000件(国内)高(自治体連動)
BELS日本2014年数万件高(省エネ特化)

BREEAMの評価基準と仕組み

BREEAMは10カテゴリで建物の環境性能を総合評価します。

エネルギー、健康・快適性、交通、水、資材、廃棄物、土地利用・生態系、汚染、経営、イノベーションの10分野です。評価結果はPass(合格)からOutstanding(最高)までの5段階で格付けされます。

エネルギー効率の評価比重が高く、LED照明の効率や空調システムの省エネ性能が重要な評価項目となります。

日本でBREEAMが普及しにくい理由

建築物環境認証を選ぶための3ステップ
  1. 1
    テナント・投資家の要求を確認する

    国内法人テナントが中心ならCASBEE、欧米系多国籍企業や国際ESG投資家が対象ならLEEDまたはBREEAMが適切。認証の目的を明確化してから選定する。

  2. 2
    認証コストと取得期間を試算する

    CASBEE:数十万円、LEED:数百万円、BREEAM:数百万円(英語資料準備含む)。取得期間は設計段階から1〜3年。用途に合わない高コストな認証を選ぶのは非合理的。

  3. 3
    環境性能の改善計画を立てる

    断熱・再エネ設備・BEMS(エネルギー管理システム)の導入が評価項目の核心。認証は「結果の証明」であり、まず建物の省エネ性能を高めることが先決。

日本でBREEAM認証が少ない理由は3つあります。

第一に、CASBEEが自治体の建築行政と連動しているためです。多くの自治体が大規模建築物にCASBEE評価の届出を義務付けています。BREEAMを取得しても行政上のメリットがありません。

第二に、評価基準が英国の気候・建築慣行を前提としていることです。日本の高温多湿な気候や木造住宅の伝統と合致しない項目があります。

第三に、認証コストです。BREEAM評価員の多くは海外在住であり、日本での評価には追加費用がかかる。

日本でBREEAMが選ばれるケース

BREEAM認証を取得するのは限定的なケースです。

外資系不動産ファンドが保有する物件では、グローバルな投資家への説明にBREEAMやLEEDが求められます。三菱地所はサステナビリティ戦略の一環でLEED・BREEAM等の環境認証取得を推進している(三菱地所ESG報告)。

ZEH住宅の普及が進む住宅分野では、BELSの方が実用的な認証として機能しています。

LEEDとBREEAMの違い

LEEDは米国発の制度で日本でも認証が増加しています。

項目BREEAMLEED
評価方式地域適応型(国別基準)グローバル統一基準
日本での認証数数十件約200件(増加中)
主な取得者外資系不動産外資系+国内大手
認証コスト高い中程度

JLLの2024年レポートでは、日本のグリーンビルディング認証取得数は年間400〜500件超で、90%以上がCASBEEとDBJ Green Building認証です。LEEDは着実に増加しているが、BREEAMの伸びは限定的です。

環境認証が建物の価値に与える影響

環境認証を持つ建物はテナント誘致と資産評価で優位性があります。

損保ジャパンリスクマネジメントの2025年レポートによれば、環境認証取得ビルは非取得ビルと比較して賃料プレミアムが3〜7%高いです。空室率も低い傾向にあります。ESG投資の拡大で環境認証の重要性は年々高まっています。高効率モーターの省エネ効果など、設備面の改善も認証取得に寄与します。

あわせて読みたいZEH住宅の建築費用はいくら高い?価格差と費用対効果を分析 あわせて読みたい高効率モーターとは?IE3・IE4規格の省エネ効果を解説

よくある質問

Q: BREEAMとCASBEEはどちらを取得すべきか?

国内のみで運用する建物ならCASBEEで十分です。海外投資家やグローバルテナントを対象とする場合はLEEDまたはBREEAMを検討します。

Q: BREEAM認証の取得費用はいくらか?

評価規模や建物タイプにより異なるが、100〜500万円程度が目安です。CASBEEの評価費用(50〜200万円)と比較して割高です。

Q: 日本でBREEAMの認証件数は増えるのか?

大幅な増加は見込みにくい。CASBEEが自治体と連動し、LEEDが国際認知度で優位な中、BREEAMが日本で独自のポジションを確立するのは困難です。

Q: 住宅向けのBREEAMはあるか?

BREEAM Domesticという住宅向け評価があります。ただし日本の住宅市場ではBELSやZEH認定の方が補助金と連動しており、実用的な選択肢です。

Q: 環境認証を取ると固定資産税は安くなるか?

環境認証そのものでの税制優遇はありません。ただしZEH基準を満たす住宅は住宅ローン減税の優遇を受けられます。

環境認証の選び方と日本市場の展望

BREEAMは世界的な実績を持つ優れた制度だが、日本市場ではCASBEEとLEEDが主流です。環境認証の取得を検討する際は、投資家・テナントの国際性と自治体の要件を基準に選ぶべきです。住宅を新築する場合は建築基準法の省エネ要件を確認し、ZEH認定やBELSの取得を優先することを勧めます。

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カテゴリ:省エネ・節約