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V2Hのデメリット5つとメリット|元が取れる家・向かない家を試算【2026年】

更新: 2026/10/22執筆: Japan Energy Times 編集部
電気自動車
V2Hのデメリット5つとメリット|元が取れる家・向かない家を試算【2026年】

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V2Hの主なデメリットは、初期費用が大きいこと、V2Hに対応した車でないと使えないこと、車が家に無い時間は使えないことの3つです。ほかに、充電と放電のたびに電力の一部が失われることと、車の電池の充放電の回数が増えることがあります。元が取れるかは、太陽光発電の有無と車が家にある日数で決まります。本体と工事を税抜130万円と置いた当サイトの想定で試算すると、太陽光が無く夜の安い電気をためるだけの家は、元を取るのに30年以上かかります。

先に結論

向いているのは、戸建てで太陽光発電があり、V2Hに対応したEV・PHEVが昼も家にある家です。条件の良い家(卒FITの太陽光の余りを毎日10kWh車にためられ、東京都の助成で最大100万円を受ける場合)なら、当サイトの試算では約4年で元が取れます。同じ条件で助成を受けない場合は約14年です。車を平日に通勤で使う家や、太陽光が無い家は、家庭用蓄電池と比べてから決めてください。

V2Hの5つのデメリット

V2Hは、EV・PHEVの電池の電気を家で使うための機器です。導入前に知っておきたいデメリットは次の5つです。

デメリット1:本体と工事の初期費用が大きい

V2Hは、本体の購入費に加えて設置工事費がかかります。費用は機種と家の工事の条件で大きく変わるため、施工業者の見積もりで本体と工事の内訳を比べてください。

国のV2H補助金は受付を終えていて、いま使えるのは自治体の制度です(下の「補助の要点」)。費用と補助の詳しい額はV2Hの導入費用と補助金の記事にまとめています。

デメリット2:V2Hに対応した車でないと使えない

V2Hは、CHAdeMO規格の急速充電口から家に電気を送る仕組みで、V2Hに対応した車でしか使えません。日産の新型リーフ、トヨタのbZ4X、三菱のアウトランダーPHEVは、各メーカーがV2Hへの対応を案内しています。

CHAdeMOの急速充電口がある車でも、V2Hに使えるとは限りません。たとえばヒョンデのIONIQ 5は、公式ページで外部給電をV2L(AC100V・最大1,600W)として案内していて、V2Hの案内はありません。対応するかは車種と年式で違うため、買う前にV2H機器のメーカーの対応車種一覧で年式・型式まで確かめてください。

デメリット3:車が家に無い時間は使えない

V2Hは、車が家に停まっていて機器につながっている間しか働きません。車で出かけている間は、電気代の削減にも停電の備えにもなりません。

昼に太陽光の余った電気を車にためられるのは、昼に車が家にある日だけです。当サイトの在宅パターン別の試算では、平日に通勤で車を持ち出す家は、V2Hを入れても太陽光の自家消費率がほとんど上がりません(太陽光の自家消費率を上げる方法)。

デメリット4:充電と放電のたびに電力の一部が失われる

V2H機器はDC(直流)とAC(交流)の変換を行うため、充電と放電のたびに電力の一部が失われます。失われる分は、ためた1kWhの得から引かれます。

得に占める損の割合は、夜の電気(得は1kWhあたり7.90円)では大きく、太陽光の電気(27.26円)では小さくなります。失われる割合は機器と使い方で違うため、候補の機種の仕様表で確かめてください(この記事の試算には含めていません)。

デメリット5:車の電池の充放電の回数が増える

V2Hで毎日充電と放電をくり返すと、走行だけの場合より電池の充放電の回数が増えます。V2Hでの充放電が電池の容量保証の扱いにどう関わるかは、車のメーカーの保証書を見て、分からなければ販売店に聞いてください。保証の期間と基準は、下の「V2Hは何年持つ?」の節の表に載せています。

V2Hのメリット:停電の備え・電気代・充電の速さ

V2Hのメリットは、EVの大きな電池を家の電源として使えることです。停電の備え・夜の電気・太陽光の電気・充電の速さの4つがあります。

メリット1:停電のとき、EVの電池で家に電気を送れる

EVの電池の容量は車種によって大きく違い、下の表の車種では日産サクラの20kWhから日産アリアの91kWhまであります。1日の使用量を全世帯の平均(1日約10.7kWh)と置くと、大きい電池の車なら6日以上の電気をまかなえる計算です。

車種電池の容量(総電力量)停電で使える日数の目安
日産サクラ20kWh約1.7日
三菱アウトランダーPHEV(2024年10月の改良以降)22.7kWh約1.9日
日産リーフ(新型 B5/B7)55kWh/78kWh約4.6日/約6.5日
トヨタbZ4X(G/Z)57.72kWh/74.69kWh約4.8日/約6.3日
日産アリア66kWh/91kWh約5.5日/約7.6日
計算の前提(当サイトの試算)

日数=電池の総電力量×90%÷1日10.72kWh。1日の使用量は、環境省の令和5年度の調査の全世帯平均(年3,911kWh)を365日で割った値です。電池の90%を使えるとしたのは当サイトの仮定で、変換で失われる分は別に見込んでいません。実際に使える量は車種と機器で違い、太陽光発電の発電量は含みません。

日産は新型リーフB7の使用可能電力量を75.1kWhと公表していて、この値を90%を掛けずにそのまま割ると約7.0日です。

メリット2:夜の安い電気をためて昼に使える

時間帯別の料金プランなら、単価の安い時間にEVを充電し、高い時間に家へ放電した分だけ電気代が下がります。東京電力エナジーパートナーのスマートライフSは、午前1時〜午前6時が27.86円/kWh、それ以外が35.76円/kWhで、差は7.90円/kWhです。

1日10kWhを入れ替えると、10kWh×7.90円×365日=約2.9万円/年です。差額は地域とプランで大きく違います。

メリット3:太陽光の余った電気を夜にも使える

太陽光発電がある家は、昼に余った電気を車にためて、夜に家で使えます。固定価格の買取期間が終わった家(卒FIT)では、売る単価と買う単価の差が大きいため、時間帯の単価差より得が大きくなります。

東京電力の卒FITの買取(再エネ買取標準プラン)は8.50円/kWhです。夜に35.76円/kWhで買う電気を置き換えると、1kWhあたり27.26円の得になります。

メリット4:普通充電より速く充電できる

充電の出力が6kWのV2H機器なら、200V・3kWの普通充電の約2倍の出力で充電できます。帰宅してから翌朝までの短い時間でも、多くの電気を車にためられます。充電の出力は機種ごとに違うため、比べるときは候補の機種の仕様表を見てください。

V2Hが向いている家・向いていない家

V2Hが向いているかは、太陽光発電の有無・車が家にある日数・車種・建物の4つで決まります。

V2Hが向いている家
  • 太陽光発電がある(卒FITならなお得が大きい)
  • V2Hに対応したEV・PHEVを持っている
  • 昼も車が家に停まっている日が多い
  • 戸建住宅に住んでいる
家庭用蓄電池と比べてから決めたい家
  • V2Hに対応していない車を持っている・車を持っていない
  • 平日は通勤などで車が家に無い
  • 太陽光発電が無い
  • 集合住宅に住んでいる

建物では、東京都の助成は都内の戸建住宅だけが対象で、集合住宅と二世帯住宅は対象外です。太陽光が無い家は、得になるのが時間帯の単価差の分だけなので、次の試算で元が取れる年数を見てから決めてください。

V2Hは元が取れる?パターン別の試算

元が取れるまでの年数は、条件の良い家(卒FITの太陽光の余りを毎日10kWhためられ、東京都の助成を受ける場合)の約4年から、太陽光が無い家の30年以上まで開きます。差が出るのは、1kWhをためて使ったときの得が、太陽光の電気では27.26円、夜の電気では7.90円と大きく違うためです。

元が取れるまでの年数 税込143万円(税抜130万円)の例 卒FITの太陽光・車が毎日家に 約4.3年 都の助成100万円・負担43万円 卒FITの太陽光・車が毎日家に 約14年 助成なし・負担143万円 卒FITの太陽光・週末だけ家に 約15年 都の助成100万円・負担43万円 太陽光なし・夜の電気だけ 約32年 都の助成50万円・負担93万円 太陽光なし・助成なし 約50年 負担143万円 ※当サイトの試算・1日10kWh 東京電力スマートライフS・卒FIT 変換で失われる分は含まない
V2Hの元が取れるまでの年数(当サイトの試算・2026年10月22日時点の単価)

試算の前提と式

本体と工事を税抜130万円(税込143万円)と置いた例で、実際の費用は見積もりで変わります。東京都の助成は、税抜の額をもとに計算されます。実質負担は、実際に払う税込の額から助成を引いて出しています。単価は東京電力のスマートライフSと再エネ買取標準プランの値で、燃料費調整額と再エネ賦課金は含めていません。

  1. 夜の電気をためる1kWhの得:35.76円−27.86円=7.90円
  2. 太陽光の電気をためる1kWhの得:35.76円−8.50円=27.26円
  3. 1年の節約=1kWhの得×10kWh×日数(毎日は365日・週末だけは104日)
  4. 元が取れるまで=実質負担(税込)÷1年の節約
家のパターン(実質負担)1年の節約元が取れるまで
卒FITの太陽光あり・車が毎日家にある・都の助成100万円(負担43万円)約9.9万円約4.3年
卒FITの太陽光あり・車が週末だけ家にある・都の助成100万円(負担43万円)約2.8万円約15年
卒FITの太陽光あり・車が毎日家にある・助成なし(負担143万円)約9.9万円約14年
太陽光なし・夜の電気だけ・都の助成50万円(負担93万円)約2.9万円約32年
太陽光なし・夜の電気だけ・助成なし(負担143万円)約2.9万円約50年

太陽光の電気を毎日10kWhためられるとしたのは、発電量と季節を見ていない上限寄りの置き方です。固定価格の買取期間中の家は売る単価が高いため、太陽光の電気をためる得は小さくなります。

同じサイトのほかの記事とは試算の置き方が違うため、年数や上がり幅の数字は一致しません。導入費用と補助金の記事は153万円の例と年3,000〜4,000kWh、自家消費率の記事は1日8kWhで計算しています。

補助の要点(国と東京都)

国のV2H補助金(令和7年度補正)は、2026年8月27日に交付申請の受付を終えました。電気自動車を買うときの補助金(CEV補助金・車両)は別の制度です。

東京都の「令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業」は、本体と工事の費用(助成対象経費)の1/2・上限50万円です。太陽光発電・EV(PHEV)・V2Hが実績報告のときにそろう家は、全額・上限100万円になります。受付は2027年3月31日17時までです。

  • 機器の契約の前に事前申込をするのが原則で、設置後に交付申請(兼実績報告)を出します
  • 設置した日に、国の補助の対象になっている機種であることが条件です
  • 区市町村の補助は自治体ごとに違い、埼玉県熊谷市のように設置後に申請する制度もあります
あわせて読みたい 【2026年版】V2Hの導入費用と補助金|国の受付終了後の実質負担を独自試算

V2Hは何年持つ?車の電池の容量保証

車の電池の容量保証は、下の2車種で8〜10年です。卒FITの太陽光があり助成を受けない家の約14年や、太陽光の無い家の30年以上は、この期間より長くなります。試算の中で保証の期間内に元が取れるのは、卒FITの太陽光の余りを毎日ためられ、東京都の助成を受ける家(約4.3年)だけです。

車種容量保証の期間保証の基準
日産リーフ新車登録から8年または16万km容量計が9セグメントを割り込む
トヨタbZ4X新車登録から10年または20万km容量が70%を下回る

bZ4Xの10年20万kmは、メーカー保証の8年16万kmに、BEVバッテリーサポートプラスの2年4万kmを加えたものです。どちらも、期間はどちらか早い方までです。

V2H機器本体の保証の年数と条件は、メーカーと機種によって違います。保証の年数と、保証を受けるために必要な手続きは、見積もりのときに販売店に聞いておきます。

あわせて読みたい 【2026年】EVバッテリーの交換費用と寿命|サクラ・リーフ・BYDほか車種別の保証

V2Hと家庭用蓄電池はどちらがいい?

V2Hに対応した車が昼も家にあるならV2H、車が無いか平日に家に無いなら家庭用蓄電池が合います。違いは、電気をためる場所が車か家かです。

比べる点V2H家庭用蓄電池
電気をためる場所EVの電池(容量は車種による)家に置く蓄電池(容量は機種による)
使えるとき車が家にあり、つないでいるときいつでも(残量の範囲)
車V2Hに対応したEV・PHEVが要る要らない
国の補助受付終了(2026年8月27日)DR補助は公募終了(2026年5月29日)

蓄電池をやめたほうがいい家の条件は、次の記事にまとめています。

あわせて読みたい 蓄電池はやめたほうがいい?導入判断の完全ガイド【2026年版】

よくある質問

Q. V2Hを使うと、車で走れる距離は減りますか?

家に放電した分だけ、翌朝に走れる距離は減ります。どこまで放電するか(電池の残量の下限)は車種とV2H機器によって違うため、走行に使う分をどれだけ残せるかは、機器と車の取扱説明書で確かめてください。

Q. 設置工事にはどれくらいかかりますか?

工事の期間は、分電盤の改修が要るかなど家の条件で決まるため、現地を見た施工業者に聞くと分かります。見積もりを頼むときに、着工から完了までの日数も出してもらうと、業者どうしで比べられます。

Q. トライブリッドとV2Hは何が違いますか?

トライブリッドは、太陽光発電・蓄電池・EVの電気をまとめて制御するタイプです。EVへの充電の出力はV2H単体・トライブリッドとも機種ごとに違うため、候補の機種の仕様表で比べてください。

導入を決める前に確かめる3つのこと

V2Hを入れるか決める3ステップ
  1. 車がV2Hに対応しているか確かめる

    V2H機器のメーカーの対応車種一覧で、持っている車(買う予定の車)の年式・型式まで確かめます。あわせて、車のメーカーの保証書で、V2Hでの充放電の扱いを見ておきます。

  2. 補助の条件と申込の順番を確かめる

    住んでいる都道府県と区市町村の制度を確かめます。東京都は機器の契約の前に事前申込が要ります。国のV2H補助金の次の公募の有無は、次世代自動車振興センター(cev-pc.or.jp)で確かめてください。

  3. 見積もりと電気料金プランを並べて比べる

    V2Hの施工に対応した業者2〜3社から見積もりを取り、本体と工事の内訳を比べます。夜の単価が安いプランかどうかで得が変わるため、いまの料金プランも確かめます。自宅充電の電気代はEV自宅充電の電気代ガイドで計算しています。

出典: 経済産業省 V2H充放電設備の導入補助金の概要(令和7年度補正)・次世代自動車振興センター・クール・ネット東京 戸建住宅におけるV2H普及促進事業・東京電力エナジーパートナー スマートライフS・同 再エネ買取標準プラン・環境省 家庭でのエネルギー消費量について・日産リーフ・トヨタ bZ4X FAQ(2026年10月22日確認)

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この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:電気自動車

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