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【2026年版】蓄電池の全負荷型と特定負荷型の違い|停電時の持ち時間を独自計算

執筆: Japan Energy Times 編集部
再生可能エネルギー
【2026年版】蓄電池の全負荷型と特定負荷型の違い|停電時の持ち時間を独自計算

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見積書に「全負荷型」と「特定負荷型」の2案が並び、容量も価格帯も近いのにどちらへ丸を付けるか決めきれない——蓄電池の契約が直前で止まる理由の多くはここにあります。

2つの違いは停電したときに電気を送る範囲の1点です。全負荷型は家じゅうの回路へ、特定負荷型はあらかじめ指定した回路だけへ送ります。停電していない普段の動きは同じで、電気代の削減額も型では変わりません。

金額よりも効いてくるのが持ち時間です。同じ6.5kWhの蓄電池でも、特定負荷の使い方なら約154時間、全負荷で真夏に冷房を8時間動かすと約18時間まで縮みます。同じ容量で8.4倍の開きが生まれます(編集部独自計算・算出根拠は本文)。

この記事でわかること

①全負荷型と特定負荷型の違いを6軸で並べた早見表 ②同一容量6.5kWhでの持ち時間3シナリオの独自計算(8.4倍差) ③全負荷型でも同時使用できない理由=自立出力の上限 ④特定負荷型の回路を分電盤で指定する手順 ⑤2026年版の補助金と型の関係

全負荷型と特定負荷型の違い早見表|2026年版

判断に必要な違いは6項目に収まります。停電時の給電範囲が起点で、そこから200V機器の可否・持ち時間・工事範囲が連動して決まります。

比較軸 全負荷型 特定負荷型
停電時に電気が届く範囲 家じゅうの回路(分電盤の全系統) あらかじめ指定した回路のみ
200V機器(IH・200Vエアコン・エコキュート) 200V回路を含めて給電可能 原則100V回路のみで対象外
停電時の持ち時間(同一容量) 短い(家じゅうの負荷を同時に背負うため) 長い(負荷を絞り込むため)
工事の範囲 分電盤の全系統を切り替える配線が必要 指定回路だけを非常用分電盤へ振り分け
普段(停電していないとき)の動き 家じゅうへ放電(型による差なし) 家じゅうへ放電(型による差なし)
導入後の変更しやすさ 切り替え対象の指定が不要 回路の変更に再工事が必要

表の5行目が見落とされがちな点です。電気代の削減効果を生むのは通常時の充放電で、ここに型の差はありません。型が効いてくるのは停電した瞬間からで、それ以外の日は同じ働きをします。

全負荷型と特定負荷型の違いを比較するセクションの補足画像

「負荷」とは分電盤の回路のこと|給電経路で何が変わるか

「負荷」は電気を使う側、つまり分電盤から各部屋へ伸びる回路とその先の家電を指します。住宅の分電盤には10〜20程度の回路があり、リビングのコンセント、キッチンの100V、IH用の200V、エアコン専用回路などに分かれています。

特定負荷型では、このうち1〜2回路を非常用の分電盤へ振り分け、停電時はそこだけに蓄電池から電気が流れます。全負荷型では分電盤の入口で系統ごと切り替えるため、どの部屋のコンセントもそのまま生きます。

200V機器が特定負荷型で使えない理由

特定負荷型が100V回路を前提にしているためです。IHクッキングヒーター・200Vエアコン・エコキュートは単相200Vで動きます。非常用回路へ振り分けられるのは通常15〜20Aの100V回路で、200V機器の回路はそこに含められません。

全負荷型は200Vを出力できる構成になっており、この制約を受けません。オール電化住宅で調理と給湯を電気に寄せている場合、停電時に何も調理できない状態になるかどうかが型で分かれます。

自宅がオール電化かどうかは、分電盤に200V用の2極ブレーカー(幅が2つ分あるブレーカー)が並んでいるかで判別できます。IH・エコキュート・200Vエアコンの3つが該当します。

同じ6.5kWhで持ち時間は8.4倍違う|3シナリオの独自計算

給電範囲を広げるほど持ち時間は短くなります。容量6.5kWhの蓄電池を条件に固定し、給電する家電の組み合わせだけを変えて3シナリオを計算しました。

計算の前提

定格容量6.5kWhに実効係数0.85を掛けた5,525Whを、実際に取り出せる電力量とします。0.85は変換ロスと放電下限を織り込んだ係数で、ポータブル電源の容量計算と同じ値をそろえて使っています。家電の消費電力は省エネルギーセンター「家庭の省エネ大事典」の目安値と、当サイトが機種別に整理してきた値を用いました。

家電別の消費電力(計算に使った値)

家電 消費電力 1日あたりの想定 1日の消費電力量
冷蔵庫(400L級) 平均31〜40W/実稼働時100W 間欠運転で実稼働6時間 600Wh
LEDランタン・照明 5W 8時間 40Wh
DC扇風機 10W 12時間 120Wh
ノートPC 25W 3時間 75Wh
スマートフォン充電 13Wh/回 2回 26Wh
エアコン(6畳用・定格580W) 1時間あたり680Wh 冷房3時間または8時間 2,040Whまたは5,440Wh
IHクッキングヒーター(中火) 1,000W 調理1時間 1,000Wh

上5行の合計861Whが、特定負荷型で守れる範囲の1日分です。冷蔵庫の値は冷蔵庫の電気代で算出した年間消費電力量からの換算値、エアコンの680Whはエアコンの電気代、IHの1,000WはIHクッキングヒーターの電気代で使っている値と同じです。

シナリオ別の持ち時間

シナリオ 給電する家電 1日の消費電力量 5,525Whで持つ時間
A:特定負荷の使い方 冷蔵庫・照明・扇風機・PC・スマホ 861Wh 約154時間(6.4日)
B:全負荷・冷房を3時間に絞る Aに6畳用エアコン3時間とIH中火1時間を追加 3,901Wh 約34時間(1.4日)
C:全負荷・普段どおり冷房8時間 Aに6畳用エアコン8時間とIH中火1時間を追加 7,301Wh 約18時間
同じ6.5kWhで持ち時間はどこまで変わるか A 特定負荷の使い方 約154時間 B 全負荷・冷房3時間 約34時間 C 全負荷・冷房8時間 約18時間 前提:定格6.5kWh×実効係数0.85=取り出せる電力量5,525Wh A=冷蔵庫・照明・扇風機・PC・スマホ(1日861Wh) B・C=Aに6畳用エアコンとIH中火1時間を追加 ※Japan Energy Times 編集部が家電別消費電力から算出(2026年8月)
同一容量6.5kWhにおける給電範囲別の持ち時間(編集部独自計算・2026年8月)
約154時間 特定負荷の使い方
約18時間 全負荷で冷房8時間

差は8.4倍です。ここで読み違えやすいのが「全負荷型を買うと18時間しか持たない」という理解で、正確には全負荷型でも使い方を絞ればAに近づきます。全負荷型は選択肢を広げる装置で、絞る判断は停電中の住人が下します。

特定負荷型は絞り込みが構造として組み込まれているため、判断を挟まずにAの持ち時間が出ます。全負荷型を選ぶなら、停電中に何を止めるかを家族で決めておかないと容量の意味が変わります。必要な容量そのものの決め方は蓄電池の容量の選び方で世帯別に整理しています。

全負荷型でも家じゅうを同時には使えません|自立出力という第2の制約

全負荷型の制約は持ち時間だけではありません。停電時に蓄電池が一度に出せる電力(自立時定格出力)に上限があり、給電範囲が家全体でも、同時に動かせる家電の合計ワット数はその上限までです。

住宅用の全負荷型は自立時定格出力をkVAで表記します。同時に使いたい家電を積み上げると、上限へ届く組み合わせが現実的な範囲で出てきます。

同時に動かす家電 消費電力 積み上げ合計
冷蔵庫(実稼働) 100W 100W
照明・通信機器 50W 150W
エアコン(6畳用・起動時の最大) 840W 990W
電子レンジ(実消費電力) 1,200W 2,190W
IHクッキングヒーター 中火2口 2,000W 4,190W
IHクッキングヒーター 3口フル運転 5,800W 7,990W

3口IHの定格消費電力の上限は5,800W前後で、これだけで自立出力の大半を占めます。自立時定格出力が6.0kVAに満たない機種では、IHを3口フルで使った時点で上限を超えます。エアコンの840Wは起動直後の最大値で、定格の580Wだけを見て積算すると立ち上がりで足りなくなります。

カタログで確認する欄は「自立時定格出力」または「停電時出力」です。ここが記載されていない見積書では、停電時に何と何を同時に使えるかを判定できません。数値と単位(kVAまたはkW)を書面で求めてください。

全負荷型を選んでも「家じゅうのすべてを制限なく使える」状態にはなりません。給電範囲・持ち時間・自立出力の3つが同時に効き、どれか1つが先に上限へ当たります。

特定負荷型は回路の指定で9割決まります|分電盤の確認手順

特定負荷型の満足度は、どの回路を非常用に割り当てるかでほぼ決まります。契約後に選ぶのでは遅く、見積り段階で自宅の分電盤を見ながら決めるべき項目です。

分電盤の扉裏には回路番号と行き先(リビング、洗面所など)を書いたラベルが貼られています。ここを起点に次の手順で候補を絞ります。

  • 分電盤の扉を開け、回路番号と行き先の対応表を写真に撮る
  • 幅が2つ分ある2極ブレーカー(200V回路)に印を付け、候補から外す
  • 冷蔵庫のコンセントがどの回路にあるかをブレーカーを1つずつ落として特定する
  • 情報機器(Wi-Fiルーター・充電場所)の回路を同じ方法で特定する
  • 冷蔵庫と情報機器が別回路なら、割り当てが1回路で足りるか業者に確認する
  • 割り当て回路の変更に何が必要か(再工事の可否と費用)を契約前に書面で受け取る
冷蔵庫と情報機器が別回路になっているケース

キッチンの冷蔵庫とリビングのルーターは別回路であることが多く、非常用に1回路しか割り当てられない構成では両方を同時に守れません。この時点で全負荷型か、割り当て回路数を増やせる機種へ検討が移ります。分電盤を見ずに型だけを決めると、この分岐に契約後に気づくことになります。

指定した回路の合計が15〜20Aに収まるかも確認点です。1回路あたりのブレーカー容量が20Aなら、同時使用の合計は2,000W程度が上限になります。

補助金は型では決まりません|2026年版の制度状況

全負荷型のほうが補助金を多く受け取れる、という関係はありません。補助の対象になるかどうかは、事業ごとに定められた対象機種や性能要件で判定されます。

国の家庭用蓄電池向け事業では、令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業が2026年5月29日に交付申請額の合計が予算へ達したとして公募を終了しています。国の枠を当て込んだ資金計画は、この点を確認してから組む必要があります。

残る受け皿は自治体の制度で、要件は自治体ごとに異なります。申請前に見るべきは型の名称ではなく、対象機種リストと性能要件です。国・都道府県・市区町村の三層の重ね方は蓄電池の補助金で試算しています。

停電への備えを考える前提として、内閣府は家庭備蓄について南海トラフ巨大地震では1週間以上の備蓄が望ましいと示しています。1週間という長さに対して6.5kWhの蓄電池が何日もつかは、前章の3シナリオがそのまま答えになります。

型別のメリット・デメリット整理

ここまでの内容を型ごとに並べます。デメリットには打ち手を添えました。

全負荷型のメリット
  • 停電中もいつものコンセントがそのまま使えます
  • IH・200Vエアコン・エコキュートを継続できます
  • 非常用に使う回路を事前に決めなくて済みます
  • 家族の在宅状況が変わっても運用を変えずに済みます
全負荷型のデメリットと打ち手
  • 持ち時間が短い → 停電時に止める家電を家族で決めておきます
  • 自立出力の上限で同時使用が制限される → 自立時定格出力を書面で確認します
  • 分電盤の全系統切替で工事範囲が広い → 電気工事費の内訳を分けてもらいます
  • 設置スペースが大きくなりやすい → 屋外設置の寸法と離隔距離を現地で確認します
特定負荷型のメリット
  • 同じ容量でも持ち時間が長くなります(本記事の計算で最大8.4倍)
  • 守る対象が固定され、停電中に判断を迫られません
  • 工事範囲が限定され、機器も小型になりやすいです
  • 容量を大きくしなくても数日単位の停電に耐えられます
特定負荷型のデメリットと打ち手
  • 200V機器が使えない → 調理をカセットコンロで代替する前提を作ります
  • 指定回路の外は停電したまま → 冷蔵庫と情報機器の回路を優先して割り当てます
  • 後から回路を変えにくい → 変更手順と費用を契約前に書面化します
  • 指定回路のブレーカー容量が同時使用の上限になる → 合計2,000W程度で運用を組みます

オール電化住宅で調理と給湯を電気に依存しているほど全負荷型の価値が上がり、ガス併用で調理を確保できるほど特定負荷型で足ります。導入そのものを迷っている段階なら蓄電池はやめたほうがいいかの判断材料を先に確認してください。

よくある質問

全負荷型と特定負荷型で電気代の削減額は変わりますか?

変わりません。電気代の削減は停電していない日の充放電で生まれ、その動きは両者とも家じゅうへの放電で同じです。差が出るのは停電時の給電範囲だけです。削減額の試算は蓄電池で電気代はいくら安くなるかで容量別に出しています。

特定負荷型で200Vのエアコンを使う方法はありますか?

ありません。特定負荷型が非常用へ振り分けるのは100V回路で、200V回路をそこへ含める構成にはなっていません。停電時に冷暖房を確保したい場合は、全負荷型を選ぶか、100Vの機器(DC扇風機や電気毛布)で代替する設計にします。

後から全負荷型へ変更できますか?

蓄電池本体とパワーコンディショナの入れ替えが必要になります。特定負荷型から全負荷型への切り替えは配線の変更だけでは済まず、機器そのものが200V出力に対応している必要があるためです。既設の太陽光へ蓄電池を足す場合の機器構成は太陽光に蓄電池を後付けする費用で扱っています。

ポータブル電源で代用できませんか?

守る対象に冷蔵庫を含めないなら代用できる場合があります。照明・通信・スマートフォン充電だけなら3日分で約920Whに収まり、ポータブル電源の容量帯です。冷蔵庫を含めると約3,040Wh必要になり、判断が変わります。比較はポータブル電源と蓄電池の違いにまとめました。

どの容量なら全負荷型でも1日以上持ちますか?

本記事のシナリオC(1日7,301Wh)の条件では、実効係数0.85で逆算して定格8.6kWh以上が必要です。冷房を3時間へ絞るシナリオBなら定格4.6kWh以上で1日を超えます。使い方の想定を先に固めてから容量を決めてください。

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型を決めるための3ステップ

全負荷型か特定負荷型かを決める3ステップ
  1. 停電中に守りたい家電を書き出して1日分のWhを出す

    冷蔵庫・照明・通信は共通で861Wh前後です。ここへ調理と冷暖房を足すかどうかで型が分かれます。合計が1,000Whを大きく超えるなら全負荷型が前提になります。

  2. 分電盤の写真を撮り、200V回路と冷蔵庫の回路を特定する

    2極ブレーカーの有無で200V機器の有無がわかります。冷蔵庫と情報機器が別回路なら、特定負荷型では1回路に収まらない可能性を業者へ先に伝えます。

  3. 見積書で自立時定格出力と工事内訳を並べて比較する

    型の名称だけでなく、自立時定格出力(kVA)・切替対象の回路・電気工事費の内訳の3点を各社そろえて出してもらいます。この3点がそろって初めて2案が同じ土俵に乗ります。

型は容量より先に決める項目です。守る範囲が決まらないまま容量だけを議論すると、必要なkWhも自立出力も定まりません。分電盤の写真を1枚撮るところから始めてください。

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この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:再生可能エネルギー

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