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【2026年版】停電の備えは家電の優先順位で決まる|独自計算の早見表

執筆: Japan Energy Times 編集部
再生可能エネルギー
【2026年版】停電の備えは家電の優先順位で決まる|独自計算の早見表

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防災メディアが並べる「停電時にあると便利な家電リスト」は、電源の容量が無限にある前提で書かれています。実際に守れるのは、用意した電源の容量で決まる数台だけです。判断の軸は重要度ではなく「その家電を1日動かすのに必要な電力量」の小さい順で、上から4つ積み上げても1日261Whに収まります。261Whなら定格1,000Wh級のポータブル電源で約3.2日もちますが、ここに冷蔵庫を1台足すだけで861Whへ跳ね上がり、同じ電源が約1日で空になります。守る順番と必要容量を、家電別の実数値から計算しました。

停電の備えで守る家電の優先順位|4段階の判定基準【2026年版】

停電時に守る対象は、命・情報・食・快適の4段階で決まります。上の段ほど代わりが利かず、下の段ほど電気を使わない手段に置き換えられます。判定は「電気が止まったとき、この機能を電気以外で代替できるか」の一点で行ってください。

停電の備えで守る家電を命・情報・食・快適の4段階で判定する基準
段階守る対象該当する機器電気を使わない代替1日の消費電力量
第1段階在宅医療機器、夏の冷房(高齢者・乳幼児のいる世帯)なし機種・条件による
第2段階情報と連絡スマートフォンの充電乾電池ラジオ(受信のみ代替可)26Wh
第3段階安全と食照明、冷蔵庫乾電池ランタン、クーラーボックスと保冷剤40Wh/600〜960Wh
第4段階快適性エアコン、IH、電子レンジ、洗濯機扇風機、カセットコンロ、厚着1,000〜5,440Wh
この表の読み方

第1段階の在宅医療機器だけは、電源を用意しても自助では完結しません。市町村の制度側で備える必要があり、根拠は災害対策基本法にあります。詳しくは本記事の「在宅医療機器がある家庭が最初にやること」で扱います。

第4段階は電気で維持しようとした瞬間に必要容量が一桁変わります。快適性の家電は、停電中は電気以外の手段へ移すのが前提です。

優先順位は消費電力量の小さい順に決まる|守る対象別の独自計算

守る順番は「1日あたり何Whを食うか」の小さい順に確保するのが最も効率的です。同じ1,000Whの電源でも、何を守ると決めるかで持ち時間が30倍以上変わります。当サイトが家電別の電気代記事で使っている実数値を、そのまま積み上げました。

積み上げの順番追加する家電その家電の1日分累計(1日)1,000Wh級で何日
1スマートフォン充電(2回)26Wh26Wh約32.7日
2LED照明・ランタン(8時間)40Wh66Wh約12.9日
3ノートPC(3時間)75Wh141Wh約6.0日
4DC扇風機(12時間)120Wh261Wh約3.2日
5冷蔵庫(400L級)600Wh861Wh約1.0日
6エアコン6畳用・冷房(8時間)5,440Wh6,301Wh約3.2時間

上から4つは合計しても261Whで、5番目の冷蔵庫1台の半分にも届きません。優先順位の議論が実務的に意味を持つのは、5番目と6番目をどうするかだけです。

守る家電を1台ずつ足したときの1日の消費電力量 スマホ充電のみ 26Wh +照明 66Wh +ノートPC 141Wh +DC扇風機 261Wh +冷蔵庫 861Wh +エアコン冷房8時間 6,301Wh 濃い緑=1,000Wh級のポータブル電源で3日以上もつ範囲 ※Japan Energy Times 編集部が家電別の実数値から算出(2026年8月・実効係数0.85)
守る家電を1台ずつ足したときの1日あたり消費電力量(編集部独自計算・2026年8月)
計算の前提と、冷蔵庫の2つの数値について

電源から取り出せる電力量は、カタログの定格容量に実効係数0.85を掛けた値としています。この係数は当サイトの蓄電池・ポータブル電源の記事すべてで共通です。家電の消費電力は省エネルギーセンターの家庭の省エネ大事典の目安値と、当サイトの機種別集計をそろえた値を使っています。

冷蔵庫の1日分には2つの帯があります。停電時の持ち時間計算に使う600Wh(実稼働100W×6時間)は、扉の開閉を抑えた命綱運用の下限です。冷蔵庫の電気代で算出した400〜500L級の年間消費電力量271〜350kWhから換算すると744〜960Wh/日となり、通常使用ではこちらの帯に入ります。備えの容量を決めるときは960Wh側で見積もると安全側に寄ります。

装備の段階別に何日守れるか|モバイルバッテリーから蓄電池まで徹底比較

装備を1段上げるごとに守れる範囲が変わります。判断に必要なのは製品名ではなく、どの段階でどの家電が入るかの境界です。定格容量から実効容量を出し、上の積み上げ表と突き合わせました。

装備定格容量実効容量261Wh/日861Wh/日(+冷蔵庫)6,301Wh/日(+冷房8時間)
モバイルバッテリー10,000mAh37Wh31Wh約2.9時間
ポータブル電源1,000Wh級1,000Wh850Wh約3.2日約1.0日約3.2時間
ポータブル電源3,000Wh級3,000Wh2,550Wh約9.8日約3.0日約9.7時間
家庭用蓄電池10kWh10,000Wh8,500Wh約32.6日約9.9日約32時間

モバイルバッテリー10,000mAhの表示は電池セル基準の容量で、電力量に直すと3.7V×10Ah=37Whです。スマートフォンの充電1回を13Whとすると、実効31Whで約2.4回にとどまります。モバイルバッテリーで守れるのは連絡手段だけで、照明を足した時点で1日ももちません。

1,000Wh級と3,000Wh級の差は、価格ではなく「冷蔵庫を守るかどうか」で決まります。冷蔵庫を諦めてクーラーボックスへ移すなら1,000Wh級で3日を超え、冷蔵庫を電源で維持するなら3,000Wh級が最低ラインです。容量そのものの決め方はポータブル電源の容量計算で用途別に整理しています。

あわせて読みたい 【2026年版】ポータブル電源と蓄電池の違い|停電時間で比較

優先順位を狂わせる2つの壁|出力(W)の壁と容量(Wh)の壁

優先順位は2段階で判定します。第1に「そもそも起動できるか」(定格出力W)、第2に「何時間もつか」(容量Wh)です。この2つを混ぜると、容量は足りているのに動かない状況が起きます。

家電連続運転時起動・最大時必要な定格出力の目安
LED照明・ランタン5W5W数十W級で足ります
スマートフォン充電10〜20W同左数十W級で足ります
DC扇風機10W同左数十W級で足ります
冷蔵庫(圧縮機)実稼働100W起動の一瞬は定格の2〜3倍瞬間最大出力で受け止めます
電子レンジ1,200W1,200W1,500W級
IHクッキングヒーター中火1,000W3口フルで5,800W1,500W級で中火まで
エアコン6畳用・冷房106〜190W719〜852W1,000W級
エアコン6畳用・暖房106〜161W1,174〜1,481W1,600W級

優先順位の上位4つは、出力の壁に一切当たりません。壁が立つのは冷蔵庫から下だけです。出力で悩む必要があるのは、快適性の家電を停電中も使うと決めた場合に限られます。畳数別の必要スペックはポータブル電源でエアコンは動かせるかで検証しました。

  • 守る家電を書き出し、1日の消費電力量を合計してください。
  • 同時に動かす家電の合計Wが、電源の定格出力を超えないか確認してください。
  • 圧縮機やモーターを持つ機器は、瞬間最大出力の欄も見てください。
  • 合計Whともたせたい日数から、必要な定格容量を逆算してください。

季節で優先順位が入れ替わる条件|夏の熱中症と冬の起動電力の事例

冷暖房は通常は第4段階ですが、条件によって第1段階へ繰り上がります。境界は世帯の年齢構成と気温です。

消防庁の令和5年の集計では、熱中症による救急搬送のうち高齢者が50,173人で全体の54.9%を占めています(消防庁「令和5年の熱中症による救急搬送状況」)。高齢者や乳幼児のいる世帯では、夏の停電で冷房を最初に切る判断は取れません。この場合は6,301Wh/日を前提に容量を決めるか、涼しい場所へ移動する計画を先に立てる必要があります。

冷房を電源で維持する判断が成立する条件
  • 高齢者・乳幼児・体調不良者が在宅している
  • 3,000Wh級以上の電源、または蓄電池がある
  • 太陽光発電で日中に充電できる
  • 停電が数時間から1日程度と見込める
冷房を諦めて移動を選ぶべき条件
  • 電源が1,000Wh級以下しかない
  • 冷房を入れると3.2時間で残量が尽きる
  • 広域停電で復旧の見込みが立たない
  • 近隣に電源が生きている避難所・施設がある
冬は容量より先に出力で止まります

6畳用エアコンの暖房は、起動直後に1,174〜1,481Wを要求します。冷房の起動時(719〜852W)のおよそ1.7倍です。夏を想定して選んだ1,000W級のポータブル電源では、冬の暖房が立ち上がりません。冬の停電は石油ストーブ・寝袋・カセットコンロなど電気を使わない手段を主に置き、電源は照明と通信に回してください。

在宅医療機器がある家庭が最初にやること|災害対策基本法が定める市町村の義務

在宅医療機器を使う家庭の備えは、電源の購入より先に市町村への登録から始めてください。災害対策基本法は、自力避難が困難な人の名簿を市町村長が作ることを義務づけています。

市町村長は、当該市町村に居住する要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの(以下「避難行動要支援者」という。)の把握に努めるとともに、地域防災計画の定めるところにより、避難行動要支援者について避難の支援、安否の確認その他の避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために必要な措置(以下「避難支援等」という。)を実施するための基礎とする名簿(以下この条及び次条第一項において「避難行動要支援者名簿」という。)を作成しておかなければならない。

災害対策基本法 第49条の10第1項(e-Gov法令検索

名簿は義務ですが、一人ひとりの避難手順を決める個別避難計画は義務の強さが違います。

市町村長は、地域防災計画の定めるところにより、名簿情報に係る避難行動要支援者ごとに、当該避難行動要支援者について避難支援等を実施するための計画(以下「個別避難計画」という。)を作成するよう努めなければならない。ただし、個別避難計画を作成することについて当該避難行動要支援者の同意が得られない場合は、この限りでない。

災害対策基本法 第49条の14第1項(e-Gov法令検索
制度根拠条文市町村の義務の強さ本人の同意放置したときに起きること
避難行動要支援者名簿第49条の10第1項作成しなければならない(義務)名簿の作成自体には不要把握の対象から漏れる可能性があります
個別避難計画第49条の14第1項作成するよう努めなければならない(努力義務)同意が得られない場合は作成されない停電時に誰が電源を届けるかが決まらないままになります

条文の差が意味するのは、本人が同意を示さない限り、個別避難計画は作られないという一点です。在宅酸素や人工呼吸器を使っている家庭は、市町村の防災担当または福祉担当の窓口へ、機器の名称・1日の使用時間・停電時に必要な電力を伝えて登録の意思を示してください。機器ごとの停電時対応と予備電源の有無は、購入元・レンタル元の事業者に確認するのが確実です。

何日分を備えるか|内閣府「1週間以上」と装備の突き合わせ

備える日数の基準は、内閣府防災情報が備蓄について示している考え方に合わせます。

これまで、備蓄は3日分あれば十分と言われていましたが、非常に広い地域に甚大な被害が及ぶ可能性のある南海トラフ巨大地震では、「1週間以上」の備蓄が望ましいとの指摘もあります。

内閣府防災情報のページ「できることから始めよう!防災対策 第3回

この基準を必要容量に直すと、次のようになります。式は「1日の消費電力量 × 日数 ÷ 0.85 ÷ 1,000」です。

守る範囲1日の消費電力量3日分に必要な定格容量7日分に必要な定格容量
連絡・照明・扇風機・ノートPC261Wh約0.9kWh約2.1kWh
上記+冷蔵庫861Wh約3.0kWh約7.1kWh
上記+エアコン冷房8時間6,301Wh約22.2kWh約51.9kWh
6,301Wh/日 冷房と冷蔵庫を電源で維持
261Wh/日 冷房を扇風機・冷蔵庫をクーラーボックスへ

電気を使わない手段へ2つ移すだけで、1日の消費電力量は95.9%減ります。7日分の必要容量は51.9kWhから2.1kWhへ下がり、家庭用蓄電池の最大級を並べる話が、定格3,000Wh級のポータブル電源1台の話に変わります。1週間を埋める道は、容量を増やす方向ではなく守る対象を絞る方向にしかありません。停電がどれくらい続くかの実績は電気・ガス・水道の復旧順番と日数に、復旧が進む順序は電力復旧の優先順位にまとめています。世帯人数別の必要量は防災用ポータブル電源は3日分で何Wh必要かが対応しています。

よくある質問

停電時に真っ先に確保すべき家電は何ですか?

在宅医療機器がある家庭はそれが最優先で、ない家庭ではスマートフォンの充電です。スマートフォンは1日2回の充電でも26Whしか使わず、10,000mAhのモバイルバッテリー1つで足ります。情報と連絡は代替手段が乏しく、消費電力量も最小ですから、最初に確保する対象として合理的です。

冷蔵庫は停電時に電源へつなぐべきですか?

電源の容量が1,000Wh級までなら、つながない判断が合理的です。冷蔵庫は1日600〜960Whを消費し、1,000Wh級の電源をほぼ1日で使い切ります。扉を閉じたままなら冷蔵室は2〜3時間、冷凍室は満杯で半日から丸1日もちますので、その間にクーラーボックスへ移す方が電力を節約できます。判断の詳細は停電で冷蔵庫は何時間もつかで条件別に整理しています。

ポータブル電源と蓄電池はどちらを備えるべきですか?

1日の消費が900Wh以下に収まるならポータブル電源で足ります。冷暖房を停電中も維持したい、200VのエアコンやIHを使いたい、太陽光発電と連携して毎日充電したいという条件が入ると蓄電池が必要になります。容量別の持ち時間は蓄電池は停電時に何時間使えるかで計算しました。

優先順位を決めておかないと何が起きますか?

残量が半分を切ってから判断することになり、選べる幅が狭まります。冷房を8時間使うと6畳用でも5,440Whを消費し、これは冷蔵庫9日分に相当します。停電が始まった直後の数時間で何を使うかが、その後の数日を決めます。使う順番を紙に書いて電源本体に貼っておいてください。

待機電力は停電の備えに関係しますか?

関係します。全負荷型の蓄電池は家全体へ給電しますので、使っていない機器の待機電力が流れ続けます。家庭の待機電力は年間消費電力量の5.1%を占めますので、停電中は使わない回路のブレーカーを落としてください。機器別の待機電力は待機電力ランキングで計算しています。

あわせて読みたい 【2026年版】ポータブル電源の容量は何Wh必要?用途別の独自計算と早見表

停電に備えるための3ステップ

今日から着手できる3つのアクション
  1. 守る家電を4つ以内に決めて紙に書く

    連絡・照明・扇風機・ノートPCの4つなら1日261Whです。この紙を電源本体か分電盤の前に貼っておくと、停電した直後に迷いません。在宅医療機器がある家庭は、この紙の一番上に機器名と1日の必要電力を書いてください。

  2. 電気を使わない代替を2つ用意する

    カセットコンロとクーラーボックス(保冷剤つき)の2点で、1日の消費電力量は6,301Whから261Whまで下がります。必要容量が最も大きく減る投資はこの2点で、電源を1段階大きくするより費用対効果が高くなります。

  3. 市町村の窓口へ登録の意思を伝える

    在宅医療機器を使う家庭は、災害対策基本法第49条の14の個別避難計画が本人の同意を前提としています。市町村の防災担当または福祉担当へ、機器名・使用時間・必要な電力を伝えて登録してください。同意を示さない限り計画は作られません。

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この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:再生可能エネルギー

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