インクジェットは1枚約0.1円、レーザーは約1円である
メリット
- インクジェットの印刷電気代は1枚約0.1円とレーザー(約1円)の10分の1で、月100枚印刷でも年間差額は約1,080円とコスト差が明確
- スリープ移行時間を初期設定の5〜15分から1〜3分に短縮するだけで年間100円程度の節約になり、設定変更のみで実現できる
- コンセントを抜くことで待機電力をゼロにでき、月10枚以下しか印刷しない家庭では待機電力(月67〜179円)が印刷電力(月1〜10円)を大幅に上回るため効果が大きい
デメリット・注意点
- 月10枚のみ印刷するインクジェットでは待機電力(3W・月67円)が印刷電力(0.1円×10枚=1円)の67倍に達し、コンセントを挿したままにすると印刷しなくても年間800円以上かかる
- スリープ時でもインクジェットで年間217〜271円、レーザーで約408円の電気代が発生し、完全にゼロにするにはコンセントを抜く必要がある
- レーザーのウォームアップ時は消費電力が800〜1,200Wに達し(小型電子レンジと同等)、月50枚印刷・24時間通電では年間5,280円(インクジェットの1.7倍)がかかる
プリンターの印刷1枚あたりの電気代は、方式によって10倍の差があります。インクジェットは約0.1円、レーザーは約1円です。
この差は加熱方式の違いに起因します。インクジェットはインクを微細なノズルから噴射するだけで熱源を必要としません。一方、レーザープリンターはトナーを紙に定着させるために約200℃の定着ローラーを加熱する必要があります。
具体的な計算根拠を示す。電力単価は31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)で統一しました。
| プリンター方式 | 印刷時消費電力 | 1枚あたり印刷時間 | 1枚あたり電気代 |
|---|---|---|---|
| インクジェット(A4カラー) | 15W | 約15秒 | 約0.002円 |
| インクジェット(A4モノクロ) | 12W | 約8秒 | 約0.001円 |
| レーザー(A4モノクロ) | 400W | 約6秒 | 約0.7円 |
| レーザー(A4カラー) | 600W | 約8秒 | 約1.3円 |
インクジェットの1枚あたり電気代は厳密には0.001〜0.002円だが、ヘッドクリーニングやインク乾燥防止の通電を含めると実質約0.1円になります。キヤノンの技術資料によると、ヘッドクリーニング1回で約0.5Whの電力を消費します。100枚印刷するごとに1回のクリーニングが入ると仮定すると、1枚あたり約0.015円が加算されます。
月100枚印刷する家庭での電気代は、インクジェットで月約10円、レーザーで月約100円です。電気代の差は小さいが、年間では1,080円の差になります。インク・トナー代のほうが圧倒的に大きいとはいえ、電気代も無視はできません。
待機電力が印刷電力を上回る逆転現象が起きている
プリンターの電気代で見落とされがちなのが待機電力です。多くの家庭でプリンターは月に数回しか使わないが、コンセントは常に挿したままです。この「使っていない時間」の電気代が、実は印刷時の電気代を大幅に上回る。
逆転現象を具体的な数値で示す。
月10枚印刷するインクジェットプリンターの場合を想定します。
- 印刷時の電気代:0.1円 × 10枚 = 1円/月
- 待機電力(レディ状態):3W × 24時間 × 30日 = 2,160Wh = 約67円/月
- 待機電力は印刷電力の67倍
レーザープリンターの場合はさらに顕著です。
- 印刷時の電気代:1円 × 10枚 = 10円/月
- 待機電力(レディ状態):8W × 24時間 × 30日 = 5,760Wh = 約179円/月
- 待機電力は印刷電力の約18倍
資源エネルギー庁の「家庭の省エネ徹底ガイド」でも、プリンターは待機電力が大きい家電として注意喚起されています。一人暮らしの電気代平均を見ると、こうした「見えない電気代」の積み重ねが月額に影響していることがわかる。
- インクジェット1枚約0.1円・レーザー約1円と10倍の電気代差がある
- 月10枚しか印刷しなくてもレディ待機電力(3W)で印刷電力の67倍かかる
- スリープモードでも年間217〜271円発生し、コンセントを抜けばゼロにできる
スリープモードでも年間271円のコストが発生する
最新のプリンターにはスリープモード(ディープスリープ)が搭載されています。待機電力を大幅に削減する機能だが、完全にゼロにはなりません。
主要メーカーのスリープ時消費電力を比較する(各メーカーの2024年モデル公式仕様書より)。
| メーカー・機種 | 方式 | レディ時(W) | スリープ時(W) | スリープ年間電気代 |
|---|---|---|---|---|
| キヤノン PIXUS TS3530 | インクジェット | 2.5 | 0.8 | 約217円 |
| エプソン EW-056A | インクジェット | 3.0 | 1.0 | 約271円 |
| ブラザー DCP-J926N | インクジェット | 3.5 | 0.9 | 約244円 |
| キヤノン Satera LBP621C | レーザー | 8.0 | 1.5 | 約408円 |
スリープモードでもインクジェットで年間217〜271円、レーザーで約408円の電気代が発生します。コンセントを抜けば0円だが、スリープモードであれば印刷指示を受けた際に自動復帰するという利便性があります。
スリープまでの移行時間設定も重要です。初期設定では5〜15分に設定されている機種が多いが、1〜3分に短縮することで年間100円程度の節約になります。モニターの電気代と同様、スリープまでの時間短縮は手軽で効果的な省エネ策です。
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1
スリープ移行時間を短縮する
初期設定の5〜15分を1〜3分に変更します。設定変更だけで年間100円程度の節約になります。「プリンター名 スリープ設定」で機種別の変更手順を検索できます。
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2
使わない時はコンセントを抜く
月10枚以下の印刷なら印刷時の電気代は月1円以下ですが、待機電力は月67〜179円にもなります。スイッチ付きタップでまとめてOFFにする方法が最も効果的です。
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3
買い替えは年間消費電力量で選ぶ
省エネ性能カタログに記載の年間消費電力量(kWh/年)で比較します。2024年最新モデルの最小は約17kWh/年(約527円)で、旧機種の45kWh/年(約1,395円)と比べて年間868円の差があります。
レーザープリンターの消費電力はインクジェットの約10倍である
レーザープリンターとインクジェットプリンターの消費電力差は、すべての動作モードで顕著に現れます。印刷時だけでなく、待機時やウォームアップ時を含めた総合的な比較が重要です。
| 動作モード | インクジェット(W) | レーザー(W) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 印刷時 | 15 | 400〜600 | 約27〜40倍 |
| ウォームアップ時 | なし | 800〜1,200 | — |
| レディ(待機) | 2.5〜3.5 | 6〜10 | 約2〜3倍 |
| スリープ | 0.8〜1.0 | 1.2〜2.0 | 約1.5〜2倍 |
レーザーの消費電力が突出するのはウォームアップ時です。電源投入後や長時間スリープからの復帰時に、定着ローラーを200℃まで加熱する必要があります。この間の消費電力は800〜1,200Wに達し、小型電子レンジと同等です。
家庭での年間総電気代を比較します。月50枚印刷、24時間通電(スリープ自動移行)の条件で計算します。
- インクジェット:印刷60円 + 待機3,065円 = 年間約3,125円
- レーザー:印刷600円 + 待機4,680円 = 年間約5,280円
- 年間差額:約2,155円
ここで注目すべきは、両方式とも待機電力が総電気代の大部分を占めるという事実です。使わない時にコンセントを抜けば、インクジェットは年間約60円、レーザーは年間約600円まで下がる。
電気代月3,000円生活を実現するなら、プリンターは使う時だけ電源を入れる運用が最も効果的です。Wi-Fi接続でスマートフォンから印刷指示を出す場合でも、電源ボタンを押してから30秒以内に印刷可能な機種がほとんどです。わずかな手間で年間数千円の節約ができます。
出典:経済産業省「省エネ性能カタログ2024年版」、資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド」、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価」、キヤノン・エプソン・ブラザー各社2024年モデル製品仕様書
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