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太陽光パネルの設置で近所の電波が悪くなる?電波障害の実態

更新: 2026/10/07執筆: Japan Energy Times 編集部
太陽光発電
太陽光パネルの設置で近所の電波が悪くなる?電波障害の実態

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ポイント
  • 太陽光パネル自体は電波を出さない。原因はパワコンの高周波スイッチングノイズ
  • 総務省の公表事例では、個人宅のパワコンが約75m・約150m離れた無線局に混信した。CISPR 11第6.2版以降に適合した機種では障害事例がない
  • 障害発生時は①切り分け②施工業者連絡③総合通信局の窓口への連絡の順で対処する

電波障害の原因はパワコンのスイッチングノイズである

メリット

  • 国際規格CISPR 11第6.2版以降の基準に適合したパワコンを選べば、妨害を起こすおそれは低い(総務省。これまでの障害事例に該当機種なし)
  • 総務省が公表している事例では、EMIフィルタやフェライトコアの挿入、基板交換で対策できている
  • 総務省の代表事例は2MHz帯と60MHz帯で、WiFi(2.4GHz/5GHz帯)の事例は挙げられていない

デメリット・注意点

  • パワコンの不要電波が防災行政無線や消防・救急デジタル無線などに障害を与えた事例があり、総務省は令和元年度以降、疑わしいものを含め約100件を把握している
  • 個人宅のパワコンでも、約75m・約150m離れた無線局に混信した事例がある。パワコンから交流線・直流線に高い周波数の電流が流れ、配線から不要電波が出るケースもある
  • 基準に適合していない機種では、フィルタの追加や基板交換などの対策が必要になる場合がある

太陽光パネル自体は電波障害を起こしません。主な原因はパワーコンディショナ(パワコン)から出る不要電波です。総務省は令和元年度以降、太陽光発電システムが原因と特定したものと疑わしいものを合わせて、約100件の妨害事例を把握しています。

パワコンはDC(直流)をAC(交流)に変換する際、20〜100kHzの高周波でスイッチングを行う。この過程で発生する不要電波が、周辺の無線通信に干渉する可能性があります。総務省のページに約100件の内訳は示されておらず、テレビやラジオの受信障害は代表事例に含まれていません。総務省が公表している代表事例は2MHz帯と60MHz帯の無線局への混信です。WiFiへの影響を心配する声も多いが、同省の事例にWiFi帯(2.4GHz・5GHz)のものは挙げられていません。

電波障害が発生するメカニズム

パワコンからの不要輻射は、主に3つの経路で周囲に伝わる。

1. 伝導ノイズ

パワコンから電力線を通じてノイズが家庭内の配線に伝わる。配線がアンテナの役割を果たし、電波として輻射されます。特にDC側ケーブル(パネルからパワコンまで)が長いほど伝導ノイズの影響は大きくなります。

2. 放射ノイズ

パワコン本体から直接空間に放射される電磁波です。筐体のシールド不良やケーブル接続部の隙間から漏れ出す。設置場所がテレビアンテナやラジオの近くだと影響が顕著になります。

3. 接地不良によるノイズ

パワコンや架台のアース接続が不十分だと、筐体電位が不安定になりノイズが増大します。施工時に、メーカーの施工説明書どおりに接地工事が行われているかを確認する必要があります。

総務省が公表している電波障害事例3件

総務省が代表的な事例として公表している3件を紹介します。

事例1:漁業指導用無線局への混信(2MHz帯)

漁業指導用の海岸局(2MHz帯)が混信を受けました。原因は約770m離れた太陽光発電所のパワーコンディショナです。パワーコンディショナの製造事業者が、パワーコンディショナとソーラーパネルに不要輻射防止のEMIフィルタを挿入して対策しました。

事例2:放送番組伝送用無線局への混信(60MHz帯)

放送番組を伝送する無線局(60MHz帯)が混信を受けました。原因は約150m離れた個人宅の太陽光発電システムのパワーコンディショナです。住宅販売業者と太陽光発電システムの販売業者が、フェライトコアを挿入して対策しました。

事例3:防災行政無線への混信(60MHz帯)

デジタル防災行政無線(60MHz帯)が混信を受けました。原因は約75m離れた個人宅の太陽光発電システムのパワーコンディショナです。パワーコンディショナの製造業者が、基板交換と配線へのフェライトコア挿入で対策しました。

電波障害は数十m〜数百m離れた無線局でも起きている

上の3件を表にまとめます。

総務省が公表している事例の周波数帯・距離・対策
混信を受けた無線局 周波数帯 原因設備と距離 実施した対策
漁業指導用無線局 2MHz帯 太陽光発電所のパワーコンディショナ(約770m) EMIフィルタを挿入
放送番組伝送用無線局 60MHz帯 個人宅のパワーコンディショナ(約150m) フェライトコアを挿入
デジタル防災行政無線 60MHz帯 個人宅のパワーコンディショナ(約75m) 基板交換、配線へのフェライトコア挿入

※出典:総務省 電波利用ポータル「太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について」。WiFi帯(2.4GHz・5GHz)の事例は挙げられていない。

不要電波がどこまで届くかは一律には言えません。総務省の事例では、個人宅のパワコンから約75m・約150m、太陽光発電所から約770m離れた無線局で混信が起きています。届く範囲は次の条件で変わります。

  • 設備の規模:総務省の事例で最も離れていたのは太陽光発電所(約770m)
  • 周波数帯:総務省の公表事例は2MHz帯と60MHz帯
  • DC側ケーブル長:長いケーブルは効率的なアンテナとして機能し、伝導ノイズを遠方に放射する
  • 機種と施工:CISPR 11第6.2版以降の基準に適合しているか、シールドケーブルなどの対策をしているか

近くに防災行政無線の受信設備やアンテナがある場所では、設置前にパワコンの機種と設置位置、ケーブルルートを慎重に検討すべきです。契約アンペアと太陽光の関係も含め、電気系統全体の設計を考慮する必要があります。

CISPR 11第6.2版以降の適合品は障害事例がない

総務省によると、国際規格CISPR 11(工業・科学及び医療用装置からの妨害波の許容値及び測定法)の第6.2版以降の基準に適合したパワコンは、不要電波の強度が一定値以下になることが確認されており、これまでの障害事例に該当する機種はありません。

CISPR11の2つのクラス

クラス 対象 許容レベル 適用場所
クラスA 産業用機器 クラスBより緩い 工業地域向け
クラスB 家庭用機器 クラスAより厳しい 住宅地向け

機種を選ぶときは、メーカーの仕様書でCISPR 11のどの版・どのクラスに適合しているかを確認します。総務省は、基準に適合していない機器を設置する場合でも、施工時にシールドケーブルを使うなどの工夫で妨害を防げるとしています。

古いシステムのパワコンは、第6.2版以降の基準に適合していない可能性があります。交換の時期が来たら、適合品を選ぶと安心です。

電波障害が発生した場合の対処5ステップ

電波障害が疑われる場合、以下の5ステップで対処します。

電波障害に対処するための5ステップ
  1. 1
    障害の切り分け

    パワコンの電源を切って障害が消えるか確認する。日中のみ発生・夜間は消える症状は、太陽光発電を疑う手がかりになる。

  2. 2
    施工業者への連絡

    設置業者に現地調査を依頼する。配線不良や接地不良が原因なら施工保証の範囲内で対応してもらえることが多い。

  3. 3
    総合通信局の窓口に連絡

    無線通信への障害に気づいたら、地域の総合通信局(沖縄県は沖縄総合通信事務所)の混信・妨害に関する窓口に連絡する。

  4. 4
    EMCフィルタの追加

    フェライトコアやノイズフィルタを配線に取り付けて不要電波を抑える。作業は施工業者・メーカーに依頼する。

  5. 5
    パワコンの交換

    上記で改善しない場合は、CISPR 11第6.2版以降に適合した機種への交換を検討する。

ステップ1:障害の切り分け

太陽光発電システムが原因かどうかを特定します。パワコンの電源を切り、障害が消えるか確認します。日中のみ発生し夜間は消える症状は、太陽光発電を疑う手がかりになります。

ステップ2:施工業者への連絡

設置業者に連絡し、現地調査を依頼します。配線の取り回し不良や接地不良が原因であれば、施工保証の範囲内で対応されるケースが多いです。

ステップ3:総合通信局の窓口に連絡

無線通信への障害に気づいた場合の連絡先は、お住まいの地域の総合通信局(沖縄県は沖縄総合通信事務所)の混信・妨害に関する窓口です。総務省は、太陽光発電システムが妨害を与えていると分かった場合、施工業者に連絡して追加の対策を取るよう導入者に求めています。

ステップ4:EMCフィルタの追加

パワコンのAC側・DC側にフェライトコアやラインフィルタを追加することで、伝導ノイズを抑制できます。総務省の公表事例でも、EMIフィルタやフェライトコアの挿入で対策しています。関東総合通信局の資料は、機器を個人で開けたり改造したりせず、メーカーに対策を取らせるよう求めています(有償の場合があります)。

ステップ5:パワコンの交換

上記で改善しない場合は、CISPR 11第6.2版以降の基準に適合した機種への交換を検討します。配線の美観と機能を同時に見直す機会にもなります。

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よくある質問

太陽光パネル自体が電波障害を起こすことはあるか

パネル自体は受動的な半導体デバイスであり、電波を発しません。不要電波の主な発生源はパワーコンディショナです(総務省)。

WiFiに影響はあるか

総務省が公表している代表事例は2MHz帯と60MHz帯で、WiFi(2.4GHz/5GHz帯)の事例は挙げられていません。WiFiの不調がある場合は、ルーターの配置やチャンネルの混雑、回線品質を先に確認すべきです。

近隣から電波障害のクレームを受けた場合どうするか

まずパワコンの電源を切って症状が改善するか確認します。太陽光が原因と判明した場合は、施工業者と相談のうえフェライトコア追加やパワコン移設で対処します。無線局の通信に障害が出ている場合は、地域の総合通信局の混信・妨害に関する窓口が連絡先です。

電波障害を理由に設置を拒否されることはあるか

総務省のページに、電波障害を理由に設置そのものを制限する制度は示されていません。管理規約でアンテナ設備への影響を制限しているマンション等では、管理組合の承認が必要になる場合があります。戸建住宅でも、CISPR 11第6.2版以降の基準に適合した機種を選び、施工説明書どおりに施工することが基本です。

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この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:太陽光発電

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