- 設置後は検針票が「買電」と「売電」の2枚に分離する
- 4人家族・5kWシステムでは、売電単価24円の1〜4年目は売電収入が買電額とほぼ同じになる(5年目以降の実質電力コストは月約4,700円)
- 売電収入のピークは春(3〜5月)。年間売電収入の30〜35%がこの時期に集中する

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設置前の電気代明細は5項目で構成される
メリット
- 4人家族・5kWシステムで買電額が月約14,650円から約7,190円に半減し、売電収入(1〜4年目 約7,200円)を合算すると実質電力コストは月ほぼ0円、5年目以降(売電 約2,490円)でも月約4,700円まで圧縮できる
- 売電収入のピークは春(3〜5月)に年間売電収入の30〜35%が集中するため、春の入金で設備投資の心理的負担を軽減しやすい
- オール電化+蓄電池(7kW)構成で自家消費率70%以上を実現すれば年間合計メリットが1〜4年目で約24.3万円(5年目以降は約20.3万円)得られ、電気代削減効果が最大化する
デメリット・注意点
- 設置後は検針票が「買電」と「売電」の2種類に分離するため、電気代の正確な把握には両方の合算計算が必要になる手間が増える
- 2025年度下期以降の認定では売電単価が5年目から8.3円/kWhに下がり(10年のFIT期間後は各社の卒FIT買取単価)、売電中心のメリット構造が崩れるため蓄電池追加や卒FITプランへの切り替え判断が必要になる
- 単身世帯(3kW)は自家消費率30%と低く投資回収に約13〜15年かかり、月間使用量が少ないほど買電削減効果が小さく経済メリットを得にくい
太陽光発電を設置する前の電気代請求書(検針票)は、以下5つの項目で構成されています。
- 基本料金:契約アンペア数に応じた固定費。東京電力の従量電灯Bで30Aなら935.25円/月である(2026年10月時点)
- 電力量料金:使用量に応じた3段階の従量課金。第1段階(120kWhまで)は29.80円/kWh、第2段階(120〜300kWh)は36.40円/kWh、第3段階(300kWh超)は40.49円/kWhとなる(2026年10月時点)
- 燃料費調整額:原油・LNG・石炭の価格変動を反映します。東京電力の従量電灯Bでは2025年1〜12月分が▲6.19〜▲9.90円/kWh(国の支援の値引きを含む月がある)、2026年11月分は▲5.33円/kWhと、差し引く形になっている
- 再エネ賦課金:再生可能エネルギーの固定買取費用を全需要家で負担するもの。2026年度は4.18円/kWh(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)である
- 消費税:上記すべてに10%が課税される
一般的な4人家族(月間使用量400kWh)の場合、月額の電気代は約14,000〜16,000円になります。この内訳を正確に把握しておくことが、設置後の変化を理解する前提条件です。一人暮らしの電気代相場と比較すると、世帯人数による差が明確になります。
設置後は検針票が2種類に分離する
太陽光発電を設置し系統連系が完了すると、電力会社から届く検針票は「買電」と「売電」の2種類に分離します。
買電の検針票
電力会社から購入した電力量と料金が記載されます。太陽光で自家消費した分だけ購入量が減るため、従量料金の高い第3段階の使用量が大幅に圧縮されます。基本料金は変わりません。
売電の検針票
余剰電力を電力会社に売った量と金額が記載されます。FIT制度による住宅用(10kW未満)の買取価格は、2025年度上期(4〜9月)の認定までは15円/kWhで10年間固定でしたが、2025年度下期(10月)以降の認定は4年目まで24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWhの2段階です。売電金額は指定口座に振り込まれるため、電気代の請求書とは別の入金になります。
この分離により、「電気代がいくら下がったか」を正しく把握するには、買電の請求額だけでなく売電の入金額も合算して計算する必要があります。
明細項目の変化を比較する
設置前後で各項目がどう変化するかを整理します。4人家族・5kWシステム・月間発電量500kWhの想定です(東京電力の従量電灯B・30A、2026年10月時点の単価、燃料費調整額は2026年11月分の▲5.33円/kWh、売電は300kWh×24円で計算)。
| 項目 | 設置前(400kWh使用) | 設置後(200kWh購入) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 基本料金 | 935円 | 935円 | 変化なし |
| 電力量料金 | 約14,180円 | 約6,490円 | ▲7,690円 |
| 燃料費調整額 | ▲2,132円 | ▲1,066円 | +1,066円 |
| 再エネ賦課金 | 1,672円 | 836円 | ▲836円 |
| 売電収入 | ― | +7,200円(1〜4年目) | +7,200円 |
上記の場合、買電額は約14,650円から約7,190円に半減します。さらに売電収入約7,200円(1〜4年目)を差し引くと、実質的な電力コストは月ほぼ0円です。5年目以降は売電単価が8.3円/kWhに下がり、売電収入は約2,490円、実質的な電力コストは月約4,700円になります。
3パターンのシミュレーション
| パターン | 設備容量 | 月間電力使用量 | 自家消費率 | 年間買電削減額 | 年間売電収入 (FIT前半) |
年間合計メリット | 投資回収年数の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単身世帯 | 3kW | 150kWh | 約30% | 約3.3万円/年 | 約6.0万円/年(24円/kWh) | 約9.4万円/年(5年目以降 約5.4万円/年) | 約13〜15年 |
| 4人家族(標準) | 5kW | 400kWh | 約40% | 約7.4万円/年 | 約8.6万円/年(24円/kWh) | 約16.1万円/年(5年目以降 約10.4万円/年) | 約9〜12年 |
| 4人家族(オール電化) | 5kW | 600kWh | 約55% | 約10.2万円/年 | 約6.5万円/年(24円/kWh) | 約16.7万円/年(5年目以降 約12.5万円/年) | 約9〜11年 |
| オール電化+蓄電池 | 7kW+蓄電池10kWh | 700kWh | 約70% | 約18.2万円/年 | 約6.0万円/年(24円/kWh) | 約24.3万円/年(5年目以降 約20.3万円/年) | 約11〜14年(蓄電池込み) |
※年間発電量は1kWあたり1,200kWh(調達価格等算定委員会が住宅用太陽光に置く設備利用率の想定値13.7%)、自家消費の単価は31円/kWh(家電公取協の目安単価)、売電単価は1〜4年目24円/kWh、5年目以降8.3円/kWh(2025年度下期以降の認定。11年目以降も8.3円と仮定)で試算。自家消費率は表の各行の値で、年間買電削減額=発電量×自家消費率×31円、年間売電収入=発電量×(1−自家消費率)×売電単価です。投資回収年数は、設置費を単身 約85〜100万円・4人家族 約115〜145万円・オール電化 約135〜150万円・オール電化+蓄電池 約240〜300万円とし、1〜4年目の合計を差し引いた残りを5年目以降の年額で割って計算しています(維持費・パワコン交換は含めない)。この表と下のパターン別の月額(表の年額÷12)は、上の明細表(東京電力の従量電灯Bの単価)とは別の物差しです。いずれも記事の試算上の目安で、実際の設置費は見積もりで変わります。実際の収支は設置地域・屋根条件・電力使用パターンにより異なる。
世帯構成と設備容量による差を3パターンで比較します。
- 1単身世帯(3kW)
自家消費率30%と低く余剰売電中心。表の年額÷12で、買電の削減は月約2,790円、売電収入は月約5,040円(1〜4年目)・約1,740円(5年目以降)。
- 24人家族(5kW)
自家消費率40%程度で買電と売電のバランスが取れる。電気代削減+売電収入で月の実質コストは1〜4年目でほぼ0円、5年目以降は約4,700円。
- 3オール電化+蓄電池(7kW)
蓄電池で自家消費率70%以上に引き上げ。買電の削減は月約15,190円(表の年額÷12)。トータルの経済効果が最も大きいパターン。
パターン1:単身世帯(3kW・月間使用150kWh)
自家消費率が30%と低いため、余剰売電が中心になります。表の年額÷12で、買電の削減は月約2,790円、売電収入は月約5,040円(1〜4年目)・約1,740円(5年目以降)です。ただし設備投資の回収に約13〜15年かかる(5年目以降の売電単価8.3円/kWhで計算)。
パターン2:4人家族(5kW・月間使用400kWh)
自家消費率が40%程度で、買電と売電のバランスが取れます。前述の比較表のとおり、実質コストは月ほぼ0円(1〜4年目)・約4,700円(5年目以降)です。投資回収は約9〜12年が目安となります(5年目以降の売電単価8.3円/kWhで計算)。契約アンペアの見直しを組み合わせると、基本料金もさらに削減できます。
パターン3:オール電化+蓄電池(7kW・月間使用700kWh)
蓄電池を併用して自家消費率を70%以上に高めるパターンです。買電の削減は月約15,190円です(表の年額÷12)。売電収入は少ないものの、昼に発電して蓄電池に貯めた電気を夕方から夜に使うため買電が大きく減り、トータルの経済効果が最も大きいです。
売電収入のピークは春である
月別の売電収入と自家消費による削減額は、季節によって大きく変動します。
- 春(3〜5月):日射量が多く冷暖房需要が少ないため、余剰電力が最大化します。年間売電収入の30〜35%がこの時期に集中する
- 夏(6〜8月):日射量は多いが冷房需要も高いため、自家消費率が上がり売電量は減少します。ただし電気代削減効果は最大になる
- 秋(9〜11月):日射量が低下し始めるが、冷暖房需要が少ないため比較的安定している
- 冬(12〜2月):日照時間が短く暖房需要が高いため、売電量は最少になります。買電量が増え、電気代削減効果も年間で最も低い
年間を通じた経済効果を正確に評価するには、最低でも12ヶ月分の実績データが必要です。電気代3,000円生活の実態と照らし合わせると、太陽光の季節変動の影響が実感できます。
その月の発電量が平年並みかどうかは、NEDOの日射量データベース(東京・南向き・傾斜30度)から出した期待値と比べると判定できます。月別の期待発電量の表は太陽光の発電量が落ちた原因の診断に掲載しています。
FIT初期投資支援スキームで売電単価は5年目から変わる
住宅用太陽光(10kW未満)のFITは、2025年度下期(2025年10月)以降の認定から「初期投資支援スキーム」に変わりました。2026年度の認定も同じスキームで、買取価格は運転開始から4年目までが24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。
請求書への影響
FIT認定を受けると、認定年度の買取条件が10年間適用されます。このスキームでは5年目から売電単価が24円/kWhから8.3円/kWhに下がるため、売電の入金額は5年目以降に大きく減ります。前半4年間の入金額をそのまま10年分の収入として見込まないようにしてください。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせを検討中なら、蓄電池の導入判断ガイドで容量別のコスト比較と補助金情報を掲載しています。
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よくある質問
設置後に電気代が増えることはあるか
買電額が増えることは通常ありません。ただし、太陽光設置を機にオール電化に切り替えた場合、ガス代がゼロになる一方で電気の使用量が増加します。トータルの光熱費で比較すべきです。
売電収入は確定申告が必要か
給与所得者の場合、売電収入を含む雑所得が年間20万円以下なら確定申告は不要です。5kWシステムの年間売電収入は、この記事の試算で1〜4年目 約6.5〜8.6万円・5年目以降 約2.2〜3.0万円のため、ほとんどの家庭で申告不要となります。
検針票がペーパーレスになった場合はどこで確認するか
各電力会社のWebサービス(東京電力の「くらしTEPCO」など)で月別の買電量・売電量・料金をすべて確認できます。CSV形式でデータをダウンロードすれば、年間の収支分析も容易です。
FIT期間終了後の請求書はどうなるか
2025年度下期以降の認定では、売電単価は5年目から8.3円/kWhに下がり、FIT期間(10年)の終了後は各社の卒FIT買取単価になります。売電の検針票は継続するが、金額が大幅に減少するため、蓄電池を導入して自家消費率を高めるか、新電力の卒FITプランに切り替えるかの判断が必要になります。再エネの専門知識を体系的に身につけたい方は、再生可能エネルギー発電技術者の資格も参考になります。
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