風力発電の支援はFIT/FIPが中心で、設備費の補助は2/3以内だ
メリット
- FIT/FIP制度の調達期間・交付期間は20年間。陸上風力は2026年度で14円/kWh(50kW未満のFIT。50kW以上は入札で上限14円)
- 環境省の地域脱炭素推進交付金は、自治体の計画にもとづく風力発電設備(1事業37,500kW未満)に2/3以内を交付する
- 北海道は新エネルギーの調査・設計・設備導入、秋田県は風力関連産業への参入(補助率1/2以内)に独自の補助を設けている(2026年度)
- 浮体式洋上風力(再エネ海域利用法の適用外)の価格は36円/kWhで、2027年度まで同じ価格が決まっている
デメリット・課題
- 洋上風力ラウンド1(供給価格11.99〜16.49円/kWh)の3海域は、費用の増加で2025年8月に事業者が撤退した。入札の価格競争と市場リスクは事業者が負う
- 補助金は毎年改定されるため制度変更リスクが高く、事業計画策定時点から制度終了までの見通しが不確実
- 再エネ賦課金(2026年度:1kWhあたり4.18円)は電力消費者全体の負担となり、月300kWh使用の家庭で月約1,254円を負担する
- 補助金申請から採択・交付まで手続きが煩雑で、中小事業者には申請コストと人材確保が障壁になるケースがある
風力発電への公的な支援の中心は、売電価格を20年間支えるFIT/FIP制度です。2026年度の価格は陸上風力が14円/kWh(50kW以上は入札の上限価格)、浮体式洋上風力が36円/kWhです。設備費そのものへの補助は、環境省の地域脱炭素推進交付金が2/3以内を交付しますが、FIT/FIPの認定を取らないことが条件で、売電価格の支援とは併用できません。ほかに固定資産税の特例、NEDOの技術開発支援、自治体独自の制度があります。制度は毎年改定されるため、最新の公募情報の確認が欠かせません。
- FIT/FIP制度:2026年度の陸上風力(50kW以上)は入札で上限価格14円/kWh、50kW未満はFITで14円/kWh。洋上着床式(再エネ海域利用法の適用外)は入札で上限価格は事前非公表、浮体式は36円/kWh(資源エネルギー庁・2026年4月現在)
- 環境省の地域脱炭素推進交付金:自治体の計画にもとづく風力発電設備に2/3以内。FIT/FIPの認定を取らないことが条件
- 自治体の制度:北海道(新エネルギーの調査・設計・設備導入)、秋田県(風力関連産業への参入支援)など。内容と公募期間は年度ごとに変わる
補助金の全体像
風力発電に利用できる補助金は大きく4種類に分類されます。第一にFIT/FIP制度(売電価格の保証)、第二に設備導入補助金(初期費用の補助)、第三に税制優遇(固定資産税の軽減等)、第四に研究開発補助金(新技術の開発支援)です。これらを組み合わせることで、風力発電プロジェクトの経済性を大きく改善できます。
補助金と融資の違い
補助金は返済不要の資金提供です。融資(低利融資を含む)は返済義務があります。日本政策金融公庫の「環境・エネルギー対策資金」やDBJ(日本政策投資銀行)のグリーンローンは、補助金と併用可能な融資制度として利用されています。補助金で初期費用を圧縮し、残りを低利融資で賄うのが標準的な資金調達スキームです。
FIT/FIP制度は風力発電の収益基盤だ
FIT(固定価格買取制度)/FIP(フィードインプレミアム制度)は再生可能エネルギーの売電価格を一定期間保証する制度です。風力発電の買取価格は出力規模と発電方式(陸上/洋上)によって異なります。
2026年度・2027年度のFIT/FIP買取価格
2026年度の風力発電のFIT/FIP価格は以下のとおりです(資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」2026年4月現在)。陸上風力(50kW以上)は入札で決定し上限価格14円/kWh、陸上風力(50kW未満)はFITで14円/kWh、リプレースは13円/kWh、洋上風力(着床式・再エネ海域利用法の適用外)は入札で決定し上限価格は事前非公表、浮体式洋上風力は36円/kWhです。2025年度の陸上風力は13円/kWhで、2026年度に1円引き上げられました。2027年度は陸上風力が13.7円/kWh、浮体式は36円/kWhと決まっています。調達期間・交付期間は20年間です。50kW未満のFITは、地域活用要件を満たす設備だけが対象です(沖縄・離島などを除く)。FIPでは市場価格にプレミアムを上乗せする形で収入が決まるため、市場価格の変動リスクを一部負います。
| 発電方式 | 規模 | 価格(円/kWh) | 制度 |
|---|---|---|---|
| 陸上風力 | 50kW未満 | 14 | FIT(地域活用要件あり) |
| 陸上風力 | 50kW以上 | 入札で決定(上限14) | 入札 |
| 陸上風力(リプレース) | — | 13 | FIT/FIP |
| 洋上風力(着床式) | 再エネ海域利用法の適用外 | 入札で決定(上限は事前非公表) | 入札 |
| 洋上風力(浮体式) | 再エネ海域利用法の適用外 | 36 | FIT/FIP選択可 |
出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」(2026年4月現在)・調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月)
FITからFIPへの移行
2022年4月のFIP制度導入以降、大規模風力発電はFIPが標準となりました。FITは発電した電力を固定価格で全量買取する仕組みだが、FIPは市場価格+プレミアムの構造で、発電事業者に市場への参加を促す。FIPの基準価格(プレミアムの算定基準)はFIT価格と同水準で設定されるが、市場価格が基準価格を上回った月はプレミアムがゼロになります。事業者は卸電力市場や相対契約で電力を売却する必要があり、FITより事業運営の難易度が上がる。
入札制度の仕組み
大規模洋上風力はFIP入札制度で買取価格が決まる。事業者が希望する売電価格を入札し、低い価格を提示した事業者が落札します。ラウンド1(2021年12月選定・秋田県沖2区域と千葉県銚子市沖)の供給価格は11.99〜16.49円/kWhで、公募で定めた供給価格の上限額29円/kWh(FIT)を大幅に下回りました(国土交通省・経済産業省)。入札制度は価格競争を促しますが、ラウンド1の3海域は費用の増加で事業計画が成り立たなくなり、事業者が2025年8月に開発を取り止めました。国は公募制度を見直したうえで再公募する方針です。
再エネ賦課金の仕組みと負担
FIT/FIP制度の原資は電力消費者が負担する再エネ賦課金です。2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円(2025年度は3.98円)で、一般家庭(月300kWh使用)の負担額は月約1,254円になります。風力発電の買取価格が下がれば再エネ賦課金の上昇も抑制されるため、入札による価格低下は消費者にもメリットがあります。
国の設備導入支援は環境省の交付金が中心で、交付率は2/3以内だ
風力発電の設備費に使える国の支援は、環境省の地域脱炭素推進交付金が中心です。交付率は2/3以内で、自治体を通じて交付されます。経済産業省の支援はFIT/FIP制度による売電価格の支援が柱で、NEDOは技術開発と実証を支援しています。
経済産業省の支援
経済産業省の風力発電への支援は、FIT/FIP制度による20年間の価格支援が柱です。FIT/FIPの認定を受けて売電する設備は、この価格支援の中で建設費を回収する仕組みで、設備費を直接補助する制度とは別建てです。税制の特例と技術開発の支援は、後の章で整理します。
環境省の補助金
環境省の「地域脱炭素推進交付金」(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)は、自治体が主体となる再エネ導入を支援します。脱炭素先行地域づくり事業と重点対策加速化事業のどちらでも、風力発電設備の交付率は2/3以内です。対象は1事業あたり発電出力37,500kW未満で、FIT/FIPの認定を取得しないことが要件です(実施要領・2026年7月改正)。事業者や個人が受けるには、自治体の計画に位置づけられる必要があります。環境省にはこのほか、離島で風力発電などの再エネ設備をまとめて制御する取組を支援する「離島の脱炭素化推進事業」や、浮体式洋上風力の導入計画づくりを1/2で補助する事業があります(2026年度)。
NEDOの技術開発支援
NEDOは風力発電の新技術開発に対する補助金・委託費を交付しています。グリーンイノベーション基金の「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトは国費の上限が2,109.7億円で、このうち浮体式洋上風力の実証事業に上限850億円が充てられています。マグナス式風力発電を開発するチャレナジーは、2016年にNEDOのスタートアップ向け支援に採択されています。事業者単独では負担できない技術リスクを公的資金で吸収する役割を果たしています。
自治体独自の補助金は地域によって大きく異なる
都道府県・市町村レベルでも風力発電に関わる独自の制度があります。中身は設備費の補助に限らず、調査・設計の補助や関連産業への参入支援などさまざまです。
秋田県の支援制度
秋田県は2026年度、「秋田県風力発電等関連産業参入支援事業補助金」を募集しています(募集期間は2026年4月2日〜2027年2月12日)。風力発電などの建設工事・メンテナンスや部品製造に参入する県内事業者が対象で、人材育成(上限50万円/人)と参入体制の構築(上限250万円/件)の経費を1/2以内で補助します。発電設備の設置費を補助する制度ではありません。風力発電の適地が多い秋田県では、能代港・秋田港の港湾区域内の洋上風力が2023年1月に全面運転を始めています。
北海道の支援制度
北海道は、ゼロカーボン北海道推進基金などを活用して新エネルギーの導入を支援しています。2026年度は、計画段階の「地域新エネルギー導入加速化調査支援事業」、導入段階の「新エネルギー設計支援事業」(市町村)と「新エネルギー設備導入支援事業」(市町村・法人事業者)などがあります。風力に限らず、地産地消の新エネルギー全般が対象です。
その他の自治体の取り組み
長崎県五島市沖では、国内初の浮体式洋上ウィンドファーム(16.8MW)が2026年1月に商用運転を始めました。建設工事には地元企業が参画し、発電した電気は地域の小売電気事業者に優先して供給されます。自治体の制度は、小水力発電や太陽光など他の再エネと共通になっている例があります(北海道の制度は新エネルギー全般が対象です)。
自治体補助金の探し方
自治体の補助金情報は各都道府県のエネルギー政策担当部署のウェブサイトで確認できます。環境省の「地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト」や、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会のデータベースも参考になります。年度ごとに制度が変更・廃止されるため、最新の公募情報を定期的にチェックすることが重要です。
税制優遇で風力発電のランニングコストを下げられる
風力発電には複数の税制優遇措置が適用されます。固定資産税の軽減、即時償却、税額控除が主な制度です。これらを活用すれば、補助金と合わせて投資回収期間をさらに短縮できます。
固定資産税の特例措置
再生可能エネルギー発電設備には、固定資産税の課税標準を最初の3年間軽減する特例があります(地方税法附則第15条)。風力発電で対象になるのはFIT/FIPの認定設備で、2026年4月1日〜2029年3月31日に取得したものです。再エネ海域利用法の公募で選ばれた計画の洋上風力は課税標準が3/5(市町村の条例で1/2〜7/10)、港湾区域内の洋上風力と、地球温暖化対策推進法の認定地域脱炭素化促進事業計画・農山漁村再エネ法の認定設備整備計画に記載された設備は2/3(同1/2〜5/6)が基準です。評価額3億円・税率1.4%の設備で課税標準が2/3になる場合、軽減額は初年度で約140万円です(3億円×1/3×1.4%)。評価額は減価償却で毎年下がるため、3年間の合計は420万円より小さくなります。
中小企業経営強化税制
中小企業が自家消費を主な目的に風力発電設備を導入する場合、「中小企業経営強化税制」により即時償却(取得年度に全額を経費計上)または取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選べます。主に売電のために取得する発電設備は対象外です(中小企業等経営強化法施行規則第16条)。適用期限は2027年3月31日です。即時償却を選べば導入初年度のキャッシュフローが大幅に改善されます。対象は資本金1億円以下の法人または従業員数1,000人以下の個人事業主で、経営力向上計画の認定が条件です。
カーボンプライシングとの関係
GX推進法にもとづき、2026年度に排出量取引制度が始まりました。2028年度からは、化石燃料の輸入事業者などに化石燃料賦課金が課されます。化石燃料のコストが上がれば、発電時にCO2を出さない風力発電の相対的な競争力は高まります。J-クレジット制度には再エネ発電のクレジットがありますが、FIT制度の認定設備で発電して電気事業者に買い取られた電力は、認証の対象になりません。
グリーン電力証書とコーポレートPPA
風力発電のもう一つの収入源がグリーン電力証書です。RE100(再エネ100%を目指す企業連合)に参加する日本企業もあり、再エネ電力の需要は広がっています。コーポレートPPA(電力購入契約)を通じて企業に直接電力を販売すれば、FIT/FIPに頼らない安定的な収益基盤を構築できます。PPA契約の期間は10〜20年が一般的で、長期の収益予測が可能になります。
グリーンイノベーション基金が洋上風力を重点支援する
グリーンイノベーション基金は、経済産業省がNEDOに造成した基金です。当初の総額は2兆円で、2022年度第2次補正予算で3,000億円、2023年度当初予算で4,564億円が積み増されました。「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトの国費の上限は2,109.7億円です(2025年11月改定の研究開発・社会実装計画)。
浮体式洋上風力の技術開発
プロジェクトの目標は、2030年までに浮体式洋上風力を国際競争力のあるコスト水準で商用化する技術を確立することです。フェーズ1で風車・浮体基礎・電気システム・運転保守の要素技術を開発し、フェーズ2では浮体式洋上風力の実証事業(上限850億円)と、過酷海域での実証事業(上限350億円)を行います。
風車部品の国産化
洋上風力のコスト削減には国産サプライチェーンの構築が不可欠です。グリーンイノベーション基金はブレード・ナセル・タワー等の主要部品の国産化を支援しています。産業界は、ライフタイム全体での国内調達比率を2040年までに65%にする目標を掲げています(洋上風力産業ビジョン第2次・2025年8月。2020年の第1次の目標は60%)。国内メーカーでは日本製鋼所がタワーやフランジの製造で実績を持ち、三菱重工はVestas社との合弁会社MHI Vestas(現Vestas)を通じて大型タービンの開発に関与してきました。サプライチェーンの国産化が進めば、輸入依存によるコスト増と納期リスクの軽減が期待できます。
次世代送電技術への投資
洋上風力の大量導入には送電インフラの革新も必要です。グリーンイノベーション基金は、洋上風力に関連する電気システムの技術開発(上限24.3億円)にも予算を配分しています。海底ケーブルの敷設コストは洋上風力の経済性を大きく左右するため、送電技術の進歩はプロジェクト全体の収益性に直結します。
初期投資支援スキーム(2025年度下半期〜)は屋根設置太陽光の制度
2025年度下半期から始まった「初期投資支援スキーム」は、屋根設置太陽光発電の導入を加速するための制度です。住宅用太陽光は24円(〜4年)・8.3円(5〜10年)、事業用太陽光(屋根設置)は19円(〜5年)・8.3円(6〜20年)の階段型の買取価格で、風力発電は対象ではありません(経済産業省 2025年3月21日報道発表)。
| 規模 | 主な制度 | 補助率/価格 |
|---|---|---|
| 小型(50kW未満) | FIT売電・自治体の制度 | FIT14円/kWh(2026年度。地域活用要件あり) |
| 自家消費・地域供給が主の設備 | 地域脱炭素推進交付金・中小企業経営強化税制(売電が主の設備は対象外) | 交付金は2/3以内(FIT/FIPの認定は取らない)・即時償却 |
| 陸上(50kW以上) | FIP入札・固定資産税特例(一部の設備) | 入札(上限は2026年度14円・2027年度13.7円/kWh) |
| 洋上(着床式) | FIP入札・グリーンイノベーション基金(技術開発) | 入札(上限は事前非公表) |
| 洋上(浮体式) | FIT/FIP・グリーンイノベーション基金(上限2,109.7億円) | 36円/kWh(2026年度・FIT/FIP選択可) |
出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」・環境省「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領」(2026年7月改正)・グリーンイノベーション基金「洋上風力発電の低コスト化」の研究開発・社会実装計画(2025年11月改定)
補助金申請の実務的なポイント
補助金を確実に獲得するには、制度の理解だけでなく申請実務のノウハウが重要です。採択率を高めるポイントと、よくある失敗パターンを整理します。
申請スケジュールの管理
国の補助金は年度単位で公募されます。公募期間は1〜2ヶ月と短いため、事前準備が不可欠です。環境省の重点対策加速化事業は、2025年度分の募集要領が2025年2月18日に出て、応募の受付は3月10日〜18日でした。応募するのは地方公共団体です。公募開始前から事業計画書の素案を準備し、公募開始と同時に提出できるようにするのが採択率を高めるコツです。
| フェーズ | 内容 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 事前調査・計画策定 | 風況調査・系統連系確認・事業計画書作成 | 3〜6ヶ月 |
| 公募申請 | jGrantsまたは所管省庁へ申請書提出 | 公募期間1〜2ヶ月 |
| 審査・交付決定 | 書類審査・ヒアリング・交付決定通知 | 2〜4ヶ月 |
| 設備発注・施工 | 交付決定後に発注(事前発注は補助対象外) | 6〜18ヶ月 |
| 実績報告・補助金受領 | 工事完了後に報告書提出、精算払い | 1〜3ヶ月 |
事業計画書のポイント
採択審査では経済性(投資回収計画の妥当性)、地域貢献度(地元雇用・地域経済への波及効果)、技術的実現性(風況データに基づく発電量予測の根拠)が評価されます。NEDO風況マップだけでなく実測データを添付すると、発電量予測の信頼性が高まり採択率が向上します。
よくある失敗パターン
補助金申請で最も多い失敗は、公募要件の読み込み不足です。対象設備の範囲、補助対象経費の定義、併用可能な他の補助金との関係を正確に理解していないと、申請が不備で返戻されたり、交付後に返還を求められるリスクがあります。専門のコンサルタントや自治体の担当課に早めに確認するのが確実です。
補助金と売電制度の組み合わせ方
制度の組み合わせには制約があります。環境省の交付金はFIT/FIPの認定を取らないことが条件で、売電価格の支援と設備費の補助を同じ設備で両方受けることはできません。固定資産税の特例はFIT/FIPの認定設備が対象なので、売電価格の支援と組み合わせて使う制度です。売電を主にするならFIT/FIP、自家消費や地域への供給を主にするなら交付金、という切り分けが出発点です。太陽光発電の導入でも、制度の選び方は同じ考え方です。
風力発電の補助金申請に必要な情報源
風力発電の補助金制度は毎年改定されるため、最新情報を継続的に追跡する仕組みが重要です。主要な情報源を整理します。
国の補助金情報
経済産業省の「補助金・税制」ページ、環境省の「地球温暖化対策・脱炭素」ページ、NEDOの「公募・調達情報」ページが国の補助金の一次情報源です。「jGrants」(経済産業省の補助金申請システム)では補助金の検索・申請がオンラインで完結します。
FIT/FIP制度の情報
資源エネルギー庁の「固定価格買取制度」ページでは、最新の買取価格・入札結果・制度改正情報が公開されています。「調達価格等算定委員会」の議事録と資料は、翌年度の買取価格の方向性を事前に把握するのに有用です。垂直軸風車のような新型風車もFIT/FIPの対象となるため、出力区分と価格を確認しておくとよい。
業界団体と専門家ネットワーク
日本風力発電協会(JWPA)は風力発電に関する政策提言を行い、国内の導入実績を公表しています。地域の再エネ推進協議会や商工会議所のネットワークも、自治体補助金の情報収集に有用です。
- 1FIT/FIPか交付金かを決める
売電が主ならFIT/FIP(50kW以上の陸上風力は入札)。自家消費・地域への供給が主なら環境省の交付金(FIT/FIPの認定は取らない) - 2税制の特例を確認
固定資産税の特例(2026年4月〜2029年3月に取得するFIT/FIP認定の風力発電設備の一部)と、中小企業経営強化税制(2027年3月末まで。売電が主の設備は対象外)の対象になるかを確かめる - 3都道府県補助との併用確認
国補助との重複制限がある場合が多い。都道府県の担当部署(エネルギー政策課など)に事前相談することで取りこぼしを防ぐ
よくある質問
個人でも風力発電の補助金を受けられるか
受けられる場合があります。50kW未満の陸上風力はFIT(2026年度14円/kWh)の対象ですが、自家消費や地域での活用といった地域活用要件を満たす必要があります(沖縄・離島などを除く)。自治体によっては住宅用の小型風力発電に対する補助金制度を設けている場合もあります。自作の小型風力発電はFIT認定の対象外だが、自家消費目的であれば自治体の省エネ補助金が活用できることがあります。
補助金とFIT/FIPは併用できるか
国の設備費補助とFIT/FIPは、同じ設備では併用できないのが基本です。環境省の地域脱炭素推進交付金は、風力発電設備の交付要件に「FITの認定又はFIP制度の認定を取得しないこと」を挙げています。売電価格の支援と設備費の補助のどちらが有利かを試算して選ぶことになります。
補助金の申請から交付までどのくらいかかるか
国の補助金は公募開始から交付決定まで3〜6ヶ月が目安です。交付決定後に設備の発注・建設を行い、事業完了後に実績報告を提出して補助金が支払われます。事業完了までの期間は補助金により異なるが、単年度事業なら翌年度3月末、複数年度事業なら2〜3年が一般的です。
洋上風力の補助金は陸上より手厚いか
価格と技術開発の面では手厚いです。グリーンイノベーション基金の「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトは国費の上限が2,109.7億円です。買取価格も浮体式洋上風力は36円/kWh(2026年度)で、陸上風力(14円/kWh)より高く設定されています。国の試算の前提では、着床式洋上風力の建設費は陸上の約1.6倍です(51.5万円/kW対31.9万円/kW)。
補助金を受けた風力発電設備を売却できるか
原則として補助金の「処分制限期間」内(通常10〜17年)は、所管官庁の承認なしに売却・転用・廃棄できません。承認なく処分した場合、補助金の全額または一部の返還を求められます。事業譲渡やM&Aの際にはこの制約を考慮する必要があります。
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