洋上風力と陸上風力のコスト差は約1.9倍ある
メリット
- 国の2040年の試算は洋上(着床式)の設備利用率を40.2%と置いており、陸上の29.6%より高い(2023年のモデルは洋上30%・陸上29.6%)
- 大型化が進み、日本の公募で選ばれた計画の風車は1基12.6〜18MW(2025年に世界で設置された洋上風車の平均は10.3MW)
- 住宅地から離れた海上への設置で騒音・景観問題が少なく、大規模開発に適した立地を確保しやすい
- 政府は2030年までに10GW、2040年までに浮体式も含む30〜45GWの案件を形成する目標を掲げている
デメリット・課題
- 洋上風力(着床式)の発電コストは2023年に新設した場合の試算で30.9円/kWhと、陸上(16.3円)の約1.9倍(資源エネルギー庁・2025年2月)
- 三菱商事などは2025年8月にラウンド1の3海域の開発を取り止めた。国の分析では、風車・洋上工事・陸上工事の費用がいずれも公募参加時の見込みの2倍以上に増えていた
- 着床式の資本費の内訳は風車55%・施工32%・基礎6%・ケーブル5%(国の資料)。施工の比率が高く、海域の条件で費用が変わる
- 運転維持費は国の試算の前提で2.25万円/kW/年と陸上(1.11万円)の約2倍で、長期運営コストが高い
洋上風力発電(着床式)のLCOE(均等化発電原価)は、2023年に新設した場合の試算で1kWhあたり30.9円です。陸上風力の16.3円と比べると約1.9倍の水準です(資源エネルギー庁「発電コスト検証に関するとりまとめ」2025年2月・政策経費あり)。試算の前提の建設費は洋上51.5万円/kW・陸上31.9万円/kWで約1.6倍、運転維持費は洋上2.25万円/kW/年・陸上1.11万円/kW/年で約2倍です。定期報告の実績では、着床式の商用機4件の資本費の平均は77.9万円/kWです(調達価格等算定委員会・2026年2月)。建設費、維持管理費、送電コストの3要素に分解すると、日本固有のコスト構造が見えてきます。
- 洋上風力の建設費は陸上比約1.6倍(国の試算の前提で51.5万円/kW対31.9万円/kW)。施工・基礎・海底ケーブルが主因
- 国の2040年の試算は設備利用率を洋上40.2%(陸上は29.6%)と置く。発電量で差を取り戻せる
- 日本の公募で選ばれた計画の風車は1基12.6〜18MW。大型化によるコスト低下が見込まれている
LCOEで見る洋上と陸上の発電コスト
LCOEは発電所の生涯コストを総発電量で割った指標です。設備の建設費・運転維持費・燃料費・廃棄費用をすべて含むため、異なる電源を公平に比較できます。資源エネルギー庁が2025年2月にまとめた試算では、2023年に新設した場合のLCOEが洋上風力(着床式)30.9円/kWh、陸上風力16.3円/kWhとなりました(政策経費を除くと21.1円と12.1円)。差額の14.6円/kWhが洋上特有のコスト上乗せ分にあたる。同じ試算の2040年は洋上13.5〜14.3円/kWh、陸上12.6〜14.5円/kWhで、差はほぼなくなる見通しです。
コスト差を生む3つの構造的要因
洋上風力のコストが高くなる要因は明確です。第一に基礎工事費用、第二に海底ケーブルの敷設費用、第三に海上での維持管理費用です。陸上では不要なこれらのコストが、洋上風力の発電原価を押し上げています。逆に言えば、この3要素のコスト削減が洋上風力の経済性改善に直結します。
建設費の内訳を比較する
国の発電コスト検証が試算の前提に置いた建設費は、洋上風力(着床式)が1kWあたり51.5万円、陸上風力が31.9万円で、約1.6倍の開きがあります。再エネ特措法の定期報告では、着床式の商用機4件の資本費の平均は77.9万円/kW、陸上風力の中央値は35.4万円/kWでした(調達価格等算定委員会・2026年2月)。この差の大部分は、海上特有の基礎構造物と施工コストから生じています。
| 項目 | 陸上風力 | 着床式洋上 | 浮体式洋上 |
|---|---|---|---|
| 建設費(万円/kW) | 31.9 | 51.5(2040年は32.5〜33.7) | 48.8 |
| LCOE(円/kWh) | 16.3 | 30.9(2040年は13.5〜14.3) | 21.6〜21.7 |
| 資本費の実績(万円/kW) | 35.4(定期報告の中央値) | 77.9(商用機4件の平均) | — |
| 設備利用率 | 29.6% | 30%(2040年は40.2%) | 42.2% |
| O&M費(万円/kW/年) | 1.11 | 2.25 | 1.81 |
出典: 資源エネルギー庁「発電コスト検証に関するとりまとめ」(2025年2月)・調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月)
陸上風力の建設費構成
陸上風力の建設費は、国の試算の前提で1kWあたり31.9万円です(7,500kW以上の2021〜2023年設置の案件の中央値から接続費を除いた額)。IRENAによると、陸上風力の発電コストは2010年から71%下がりました。基礎工事はコンクリート基礎が主流で、工期も比較的短いです。
洋上風力の建設費構成
国の資料(NEDOの着床式コストモデル)では、着床式洋上風力の資本費の構成比は風車55%、施工32%、基礎6%、ケーブル(アレイ・エクスポート)5%です。陸上と比べて施工の比率が高い点が特徴です。基礎構造物は水深や海底地質に応じて設計が変わるため、コストの振れ幅が大きいです。
施工コストの違い
洋上での施工にはSEP船(自己昇降式作業台船)やケーブル敷設船といった特殊船舶が必要です。天候による作業中断リスクも加わる。国の分析では、ラウンド1の3海域で風車調達費用・洋上工事費用・陸上工事費用のすべてが公募参加時の見込みの2倍以上に増えていました。陸上ではクレーンと大型トレーラーで施工できます。
海底ケーブルが洋上風力のコストを押し上げる
海底ケーブルの敷設費用は洋上風力特有のコスト要因です。国の資料では、着床式の資本費に占めるケーブル(アレイ・エクスポート)の割合は約5%です。距離と水深に比例してコストが増大するため、沿岸から遠い海域ほど経済性が悪化します。
海底ケーブルの敷設コスト
海底ケーブルの敷設費用は、電圧・距離・水深で大きく変わります。規模の違う例ですが、北海道〜本州間に計画されている海底直流送電(200万kW・約760km)は、電力広域的運営推進機関の基本要件で海域工事が8,700〜11,000億円程度、1kmあたりに直すと約11〜14億円です(当サイトの計算)。国の資料によると、送電ケーブルの価格は2024年1月から2026年3月までに約67%上がりました。
洋上変電所の費用
大規模洋上ウィンドファームでは、海上に変電所を設置して電圧を昇圧してから陸上に送電します。近年はHVDC(高圧直流送電)の採用が増えており、送電損失を抑えられる一方、変電設備のコストは交流方式より高いです。
維持管理費は洋上が陸上の約2倍かかる
国の試算の前提では、洋上風力(着床式)の年間運転維持費(O&M費)は1kWあたり2.25万円です。陸上風力の1.11万円/kWと比べると約2倍の水準になる(発電コスト検証・2025年2月)。定期報告の実績は、着床式の商用機4件の平均が2.6万円/kW/年、陸上風力の中央値が1.36万円/kW/年です。海上アクセスの困難さと塩害対策が主な要因です。
海上アクセスのコスト
洋上風車へのアクセスにはCTV(乗員移送船)やSOV(サービス運用船)を使用します。CTVの運航費は1日あたり50〜100万円、SOVは1日あたり500〜1,000万円です。波高1.5m以上で作業が制限されるため、日本海側では冬季の稼働率が大幅に低下します。
塩害と腐食対策
海上環境では塩分による腐食が避けられません。タワーや基礎構造物には重防食塗装が必要で、5〜10年ごとの塗り替えが発生します。ブレードも塩分の付着により表面が劣化し、発電効率が年1〜2%低下します。これらの補修費用が陸上にはない追加コストとなります。
遠隔監視による効率化
O&M費の削減策として、遠隔監視システムとAIを活用した予知保全が普及しつつあります。振動センサーや油中粒子分析によりギアボックスの異常を早期検知し、計画外停止を減らす取り組みです。日本では、能代港・秋田港(2023年1月に全面運転開始)、石狩湾新港(2024年1月)、北九州港(2026年3月)の港湾区域内の洋上風力が運転を始めています。
世界の洋上風力市場は急拡大している
世界の洋上風力発電の累計設置容量は2025年末時点で92.5GWに達した(GWEC「Global Offshore Wind Report 2026」)。2025年の新規導入は9.3GWで、洋上は世界の風力全体の7.1%を占めます。IRENAによると、洋上風力の発電コストは2010年から63%下がりました。
欧州の先行事例
欧州は洋上風力の先進地域で、累計設置容量は2025年末に38GWを超えました(GWEC、2026年)。国別ではドイツが約9.5GW、オランダが4.9GWで、英国は世界全体の18.4%を占めます。英国のCfD(差額決済契約)制度では、2022年のラウンド4で洋上風力の落札価格が37.35ポンド/MWh(2012年価格)まで低下しました。2023年のラウンド5は洋上風力の落札がなく、上限価格を引き上げた2024年のラウンド6は58.87ポンド/MWh、2026年1月に結果が出たラウンド7は65.45ポンド/MWh(いずれも2012年価格)で約6.9GWが落札されました(別枠のスコットランドは64.23ポンド/MWhで約1.4GW)。落札価格は上昇に転じています。
中国・アジアの動向
中国は2025年に6.6GWを新設し、累計48.4GWで世界首位です(GWEC、2026年)。IRENAによると、2025年の中国の洋上風力の発電コストは1MWhあたり49ドル(1ドル150円で約7.4円/kWh)でした。韓国は2030年までに14.3GWとしていた目標を、2025年12月に10.5GW(運転中と建設中の合計)へ改めました。台湾の累計は2025年末で約3.6GWです。
北欧諸国の再エネ比率との比較
デンマークは電力供給の約55%を風力で賄い、洋上風力だけで2.3GWの容量を持つ(2023年、Danish Energy Agency)。人口あたりの洋上風力容量は世界最大で、コスト削減のモデルケースとなっています。ノルウェーはHywind Tampenプロジェクト(94.6MW)で浮体式洋上風力を石油・ガスプラットフォームの電力供給に活用しています。
日本の洋上風力はラウンド入札で本格化する
日本の洋上風力は再エネ海域利用法に基づくラウンド入札で推進されています。ラウンド1では着床式の3海域(合計約1.7GW)で事業者が選ばれましたが、事業者は2025年8月に3海域とも開発を取り止めました。コスト面では世界水準との差が課題です。
ラウンド1の入札結果
2021年12月に結果が公表されたラウンド1では、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖(479MW)、秋田県由利本荘市沖(819MW)、千葉県銚子市沖(391MW)の3海域すべてを三菱商事を中心とするコンソーシアムが落札しました。供給価格は11.99〜16.49円/kWhで、公募の供給価格上限額29円/kWhを大幅に下回りました。三菱商事は2025年8月27日、サプライチェーンのひっ迫、インフレ、為替、金利上昇などで実行可能な事業計画を立てることは困難として、3海域の開発取り止めを発表しました。国は公募制度を見直したうえで3海域を再公募する方針で、2026年6月に公募の運用指針を改訂しています。2026年10月上旬の時点で、再公募の開始は発表されていません。
ラウンド2以降の展望
ラウンド2は秋田県八峰町・能代市沖、秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖、新潟県村上市・胎内市沖、長崎県西海市江島沖の4海域が対象で、2023年12月と2024年3月に事業者が選定されました。供給価格は3海域が3円/kWh(ゼロプレミアム水準)、西海市江島沖が22.18円/kWhです。ラウンド3(青森県沖日本海南側・山形県遊佐町沖)は2024年12月に事業者が選定されました。北海道松前沖と檜山沖は2025年7月に促進区域に指定され、公募はこれからです。政府は2030年までに10GW、2040年までに浮体式も含む30〜45GWの案件を形成する目標を掲げています。排他的経済水域(EEZ)へ設置を広げる改正法は2026年4月に施行されました。
日本特有のコスト課題
再エネ特措法の定期報告では、着床式洋上風力の商用機4件の資本費の平均は77.9万円/kWで、調達価格の想定値56.5万円/kWを上回っています(調達価格等算定委員会・2026年2月)。国の分析では、ラウンド1の3海域で風車・洋上工事・陸上工事の費用が公募参加時の見込みの2倍以上に増えました。物価、為替、金利の上昇が要因です。産業界は国内調達比率を2040年までに65%にする目標を掲げています(洋上風力産業ビジョン第2次・2025年8月)。
| 指標 | 日本 | 欧州 | 差の要因 |
|---|---|---|---|
| LCOE(円/kWh) | 30.9(2023年に新設した場合の国の試算) | 約12(IRENA・2024年の欧州平均0.080ドル/kWh) | 物価・為替・金利、サプライチェーン |
| 設置費(万円/kW。欧州の列は世界平均) | 51.5(国の試算の前提) | 約43(IRENA・2024年の世界平均2,852ドル/kW) | 施工・基礎の条件 |
| 直近の入札価格 | 3〜22.18円/kWh(ラウンド2の供給価格) | 英国ラウンド7:65.45ポンド/MWh(2012年価格) | 制度の違い(日本はFIP、英国はCfD) |
出典: 資源エネルギー庁「発電コスト検証に関するとりまとめ」(2025年2月)・IRENA「Renewable Power Generation Costs in 2024」・国土交通省・英国政府の公表資料。円換算は1ドル150円
スケールメリットで洋上コストは2040年に半減する見込みだ
国の発電コスト検証は、着床式洋上風力の発電コストが2023年の30.9円/kWhから2040年に13.5〜14.3円/kWhへ下がると試算しています(政策経費あり)。産業界は2020年の洋上風力産業ビジョン(第1次)で「着床式の発電コストを2030〜2035年までに8〜9円/kWhにする」目標を掲げましたが、2025年8月の第2次ビジョンは、世界的なインフレによる費用の増大を踏まえてこの目標を早急に見直すとしています。スケールメリット、技術革新、サプライチェーンの成熟が3つの推進力です。
| 時期 | LCOE | 内容 |
|---|---|---|
| 2023年(新設した場合の国の試算) | 30.9円/kWh | 建設費51.5万円/kW・設備利用率30% |
| 2030〜2035年(産業界の目標・見直し予定) | 8〜9円/kWh | 第1次ビジョンの目標。第2次ビジョンで早急に見直すとされた |
| 2040年(国の試算) | 13.5〜14.3円/kWh | 建設費32.5〜33.7万円/kW・設備利用率40.2% |
出典: 資源エネルギー庁「発電コスト検証に関するとりまとめ」(2025年2月)・洋上風力産業ビジョン(第1次・第2次)
タービンの大型化
タービン1基あたりの出力は急速に拡大しています。2015年時点では3〜6MWが主流だったが、2024年にはVestas V236-15.0MWやSiemens Gamesa SG 14-236 DDなど15MW級が登場しました。GWECによると、2025年に世界で設置された洋上風車の平均は10.3MWで、初めて10MWを超えました。タービンの大型化は基数削減を通じて基礎工事・ケーブル敷設・O&Mのコストを下げる効果があります。
浮体式洋上風力の可能性
浮体式洋上風力は水深50m以上の深海域に設置可能で、着床式では開発できなかった海域を利用できます。日本の排他的経済水域の大部分は水深50m以上であり、浮体式の技術確立は日本にとって極めて重要です。国の2040年の試算(参考値)は浮体式21.6〜21.7円/kWhで、着床式13.5〜14.3円/kWhの約1.5倍です。政府は2040年までに15GW以上の浮体式の案件を形成する目標を掲げています。
サプライチェーンの効果
産業界は国内調達比率を2040年までに65%にする目標を掲げています。国内サプライチェーンが成熟すれば、輸送コストの削減と競争による価格低下が期待できます。英国政府の試算では、2025年に運転を始める洋上風力の発電コストは44ポンド/MWh(2021年価格)です。その後の入札では落札価格が上がっており、コストが一方向に下がり続けるとは限りません。
陸上風力は低コストだが立地制約がある
日本の風力発電適地は北海道・東北・九州に集中しています。陸上風力はコスト面で有利だが、騒音規制・景観保全・送電網の制約が導入拡大を阻んでいます。
陸上風力の立地制約
風力発電の騒音は住居から600m以上の離隔距離が推奨されており、人口密度の高い地域では適地が限られます。環境影響評価(環境アセスメント)には3〜5年を要し、開発期間の長期化がプロジェクトのリスクとコストを押し上げます。景観条例による建設制限も各地で強化されています。
送電網の課題
北海道・東北は風力資源が豊富だが、大消費地である関東・関西への送電容量が不足しています。北海道と本州を結ぶ北本連系線の容量は現在90万kWで、2027年度末に120万kWへ増強する計画が進行中です。さらに北海道〜本州間に200万kWの海底直流送電を新設する計画も、2024年4月に基本要件が決まり、実施案の提出期限は2026年12月です(電力広域的運営推進機関)。
陸上風力の今後
陸上風力の新規開発は適地の減少により鈍化する見通しだが、既存サイトのリプレース(建て替え)需要が増加します。リプレースでは既存の送電線・道路インフラを活用できます。調達価格等算定委員会の2026年度の想定では、リプレースの資本費は26.5万円/kWで、新設の27.5万円/kWより約4%低い水準です。日本の風力発電の累積導入量は2025年12月末時点で約6.4GWです(日本風力発電協会)。
洋上・陸上の投資判断に必要な3つの指標
洋上と陸上のどちらに投資するかは、LCOE・IRR(内部収益率)・設備利用率の3指標で判断できます。それぞれの指標が示す意味と、現時点での数値を整理します。
LCOE(均等化発電原価)
LCOEは発電コストの総合指標です。2023年に新設した場合の試算で洋上30.9円/kWh、陸上16.3円/kWhだが、風力発電の補助金やFIT/FIP制度を考慮した実質コストは異なります。FIPプレミアムや税制優遇を加味した実質LCOEで比較することが重要です。
IRR(内部収益率)
投資家にとってはIRRが最も重要な指標です。国の発電コスト検証は、政策経費の計算に使うIRRを洋上風力(着床式)10%、陸上風力7%と置いています。洋上の方がリスクが大きいぶん、高いIRRが求められます。ラウンド1の3海域は、費用の増加で事業計画が成り立たなくなり、2025年8月に開発が取り止められました。
設備利用率
設備利用率(キャパシティファクター)は、理論上の最大発電量に対する実際の発電量の比率です。IRENAによると、2025年に運転を始めた設備の世界平均は洋上風力が41%、陸上風力が36%です。日本の国の試算は、陸上29.6%、洋上(着床式)は2023年のモデルで30%、2040年で40.2%と置いています。洋上は海上の安定した強風を受けられるため、陸上より高い設備利用率を実現できます。この差がLCOEの計算に大きく影響します。
洋上・陸上風力の投資判断に必要な情報源
洋上と陸上の風力発電コストは、技術進歩と市場拡大により急速に変化しています。正確な投資判断には、最新データへの継続的なアクセスが欠かせません。
国内の公的データソース
資源エネルギー庁の「調達価格等算定委員会」資料は、FIT/FIP価格の算定根拠となるコストデータを公開しています。経済産業省の「洋上風力産業ビジョン」は日本の洋上風力戦略の全体像を示す。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の風況マップと技術レポートは、立地選定やコスト試算に活用できます。
国際機関のレポート
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の「Renewable Power Generation Costs」は毎年更新され、世界各地のLCOEを比較できます。GWECの「Global Wind Report」は洋上風力市場の最新動向を網羅しています。IEAの「World Energy Outlook」は中長期のコスト見通しを提供します。これらのレポートはすべて無料でダウンロード可能です。
業界団体の情報
日本風力発電協会(JWPA)は国内の風力発電データと政策提言を公開しています。日本の洋上風力に関する最新の入札情報は、一般海域の公募占用指針として経済産業省・国土交通省から公示されます。欧州のWindEuropeや米国のACP(American Clean Power Association。旧AWEA)のデータベースは、海外の先行事例を調査する際に有用です。
- 1海域の風況・水深を確認
水深50m以下なら着床式が有利。それ以上は浮体式になりコストが跳ね上がる。NEDOの洋上風況マップで確認 - 2FIP収入の試算
ラウンド2は4海域のうち3海域の供給価格が3円/kWh(ゼロプレミアム水準)で、収入の柱は市場や相対契約での売電になる。国の試算の設備利用率(2040年で40.2%)と稼働年数25年を目安に収入を概算する - 3送電インフラのコストを忘れない
国の資料では、着床式の資本費に占めるケーブルの割合は約5%、施工は32%。陸揚げ地点から系統連系点までの距離が採算を左右する
よくある質問
洋上風力と陸上風力のコスト差は今後縮まるのか
国の試算では縮まる見通しです。2023年に新設した場合は洋上30.9円/kWh・陸上16.3円/kWhですが、2040年は洋上13.5〜14.3円/kWh・陸上12.6〜14.5円/kWhとほぼ並びます。タービンの大型化、サプライチェーンの成熟、施工技術の標準化が主な要因です。足元では物価や金利の上昇で建設費が上がっており、ラウンド1の3海域は事業者が開発を取り止めました。
日本の洋上風力は世界と比べて高いのか
現時点では高いです。日本の洋上風力(着床式)は2023年に新設した場合の試算で30.9円/kWh(資源エネルギー庁、2025年)で、IRENAによる2025年の世界平均は78ドル/MWh(1ドル150円で約11.7円/kWh)、中国は49ドル/MWh(約7.4円/kWh)です。物価・為替・金利の上昇とサプライチェーンの未成熟が主因です。
洋上風力の建設費はどのくらいの期間で回収できるか
売電価格と建設費で大きく変わります。国の試算の前提(建設費51.5万円/kW・運転維持費2.25万円/kW/年・設備利用率30%)で計算すると、年間の発電量は1kWあたり2,628kWhです。売電価格が30円/kWhなら年間の収入は約7.9万円/kW、運転維持費を引いた残りは約5.6万円/kWで、建設費の回収に約9年かかります(金利・税・廃棄費用を除いた当サイトの計算)。売電価格が16円/kWhなら残りは約2.0万円/kWで、回収に約26年かかり、稼働年数25年に収まりません。一方、第3ラウンド公募の上限額(18円/kWh)の算定に使われた想定(資本費38.8万円/kW・運転維持費1.32万円/kW/年・設備利用率39.3%)で同じ計算をすると、16円/kWhでも残りは約4.2万円/kWで、回収は約9年です。前提の置き方で結論が大きく変わります。ラウンド1の3海域(供給価格11.99〜16.49円/kWh)は、事業者が2025年8月に開発を取り止めています。
陸上風力のリプレース(建て替え)は新規開発より有利か
費用の面ではやや有利です。既存の送電線・アクセス道路を活用でき、調達価格等算定委員会の2026年度の想定では資本費が26.5万円/kWと、新設の27.5万円/kWより約4%低い水準です。日本では2000年代初頭に導入された風車が耐用年数(20年)を迎えつつあり、リプレース市場が拡大しています。
個人や中小企業が風力発電に投資する方法はあるか
小型風力発電は個人・中小企業でも導入可能です。FITの調達価格は50kW未満の区分で2026年度14円/kWh、2027年度13.7円/kWh(2025年度は13円)で、自家消費や地域消費などの地域活用要件を満たす設備が対象です。小型風力は設備利用率が10〜20%と低く、投資回収には15〜20年かかるケースが多いです。
洋上風力の環境への影響はどの程度か
主な影響は水中騒音による海洋哺乳類への影響、鳥類の衝突リスク(バードストライク)、漁業への影響です。建設時の杭打ち作業では水中音圧レベルが180dB以上に達し、イルカやクジラの行動に影響を与えます。バブルカーテン(気泡幕)による騒音低減技術や、渡り鳥のルートを避けた配置設計が対策として採用されています。
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