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【2026年版】太陽光パネルの影で発電量はどれだけ落ちる?損失額を独自計算

執筆: Japan Energy Times 編集部
太陽光発電
【2026年版】太陽光パネルの影で発電量はどれだけ落ちる?損失額を独自計算

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屋根の1割が影に入れば発電量も1割減る——太陽光パネルではこの計算が成り立ちません。パネルのセルは直列につながっており、影に入った1枚が同じ回路のパネル全体を引き下げるためです。影の損失は「何%落ちるか」までは他の解説記事も扱っていますが、それが年間いくらの損失なのかを示した記事は見当たりません。既築5kW・年間5,000kWh・2026年度FIT価格の共通前提で、損失率別の年間損失額と、対策にかけてよい費用の上限を独自計算しました。気象庁の日射量平年値から、影が最も効く季節も特定しています。

影による発電量の低下は面積比では決まりません

太陽光パネルの影による損失は、影がかかった面積の割合とは一致しません。パネル内部のセルは直列に接続されており、直列回路では最も電流の小さいセルが回路全体の電流を決めます。影に入ったセルは電流を絞りますので、日が当たっている残りのセルも本来の力を出せなくなります。

影の面積比と発電量の低下が一致しない住宅用太陽光パネルの直列接続

この巻き添えを抑える部品がバイパスダイオードです。影に入ったセルのまとまりを迂回して電流を流し、そのブロックだけを回路から切り離します。パネル1枚は複数のブロックに分かれていますので、影が1ブロックに収まればそのブロック分の損失で止まります。

影のかかり方巻き添えになる範囲損失の出方
1枚の一部(1ブロック内)そのブロックのみ面積比に近い
1枚をまたぐ帯状の影そのパネルの複数ブロック面積比より大きい
同じ回路の複数枚その回路(ストリング)全体面積比を大きく上回る
複数の回路にまたがる設備全体面積比とほぼ無関係

影の損失を左右するのは、影の面積ではなく影がどの回路を横切るかです。細い電柱の影でも、パネルの並びを横切る向きにかかれば複数枚を巻き込みます。同じ面積の影でも、1枚の隅に収まるか列を横断するかで結果が変わります。

「屋根の何%が影か」を測っても損失率は出ません。必要なのは、影が同じ回路のパネルを何枚横切るかという情報です。回路の分け方は設計図面か施工店の資料で確認できます。

パネルの仕様を比べるときも同じで、公称最大出力と変換効率だけでは影の影響は読み取れません。機種ごとの比較軸は単結晶・多結晶・N型・P型の違いで扱っています。

影の損失を金額に直す独自計算【2026年版】

影で失う発電量は、その時期のFIT売電価格によって金額が変わります。発電量が1kWh減ったときに失う金額を先に出し、そこから損失率別の年間損失を計算します。

計算に使う前提

項目根拠
設備容量5kW(既築)当サイト共通の試算前提
年間発電量5,000kWh1kWあたり年1,000kWh
自家消費率50%当サイト共通の試算前提
電気料金の単価31.00円/kWh家電公取協の目安単価
売電単価(FIT1〜4年目)24.00円/kWh2026年度の調達価格
売電単価(FIT5〜10年目)8.30円/kWh2026年度の調達価格
売電単価(卒FIT後)8.50円/kWh東京電力EPの買取単価

売電単価は資源エネルギー庁のFIT買取価格、卒FIT後の単価は東京電力エナジーパートナーの再エネ買取標準プラン、電気料金の目安単価は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWhによります。

発電量が1kWh減ったときに失う金額

減った発電量の半分は買う電気が増えた分、半分は売れなかった分です。売電単価が時期で変わりますので、同じ1kWhでも失う金額が違います。

時期自家消費分(0.5kWh)売電分(0.5kWh)1kWhの価値
FIT1〜4年目15.50円12.00円27.50円
FIT5〜10年目15.50円4.15円19.65円
卒FIT後15.50円4.25円19.75円

損失率別の年間損失額と10年合計

影による年間の損失率を3%から30%まで振って計算しました。10年合計はFIT1〜4年目を4年、5〜10年目を6年として積み上げた値です。

年間の損失率失う発電量FIT1〜4年目FIT5〜10年目10年合計
3%150kWh4,125円2,948円34,185円
5%250kWh6,875円4,913円56,975円
10%500kWh13,750円9,825円113,950円
15%750kWh20,625円14,738円170,925円
20%1,000kWh27,500円19,650円227,900円
30%1,500kWh41,250円29,475円341,850円

損失率10%の設備は、10年で11.4万円を失います。20%なら22.8万円です。既築の設置費用は30.1万円/kWですので、5kWで150.5万円になります。10年で22.8万円の損失は、その設備費の15.1%にあたります。費用の内訳は太陽光発電の設置費用の相場で確認できます。

計算の前提と限界

損失率は影の位置と回路構成で決まりますので、この表は「損失率がわかったあとに金額へ変換する道具」です。損失率そのものを推定する部分は、モニタの時間帯別カーブか施工店のシミュレーションに頼ります。売電単価は2026年度にFIT認定を受けた設備の値で、認定年度が違えば単価も変わります。

影が最も効くのは冬ではなく春から夏です【独自計算】

同じ障害物でも、影がかかる季節によって年間の損失は1.66倍違います。冬は太陽高度が低く影が長く伸びますが、その時期はもともと日射量が少ないためです。気象庁の東京の平年値にある全天日射量から、年間発電量の月別配分を出しました。

年間に占める配分5kW設備の期待発電量その月が影で全損したときの損失(FIT1〜4年目)
1月6.29%315kWh8,663円
2月6.95%348kWh9,570円
3月8.90%445kWh12,238円
4月10.43%521kWh14,328円
5月11.58%579kWh15,923円
6月9.58%479kWh13,173円
7月10.44%522kWh14,355円
8月10.57%529kWh14,548円
9月7.71%385kWh10,588円
10月6.56%328kWh9,020円
11月5.57%278kWh7,645円
12月5.42%271kWh7,453円
年間発電量の月別配分(東京・気象庁平年値から算出) 6.29 1月 6.95 2月 8.90 3月 10.43 4月 11.58 5月 9.58 6月 10.44 7月 10.57 8月 7.71 9月 6.56 10月 5.57 11月 5.42 12月 濃い緑=3〜8月(年間の61.5%)。影の対策はこの6か月に効くかどうかで判断する ※気象庁「東京」全天日射量平年値(1991〜2020年)から当編集部が算出。単位は年間発電量に占める%
5月の配分は12月の2.14倍。冬に長く伸びる影より、春夏の影のほうが年間損失は大きい

12月・1月・2月の3か月を合計しても年間の18.66%にしかなりません。3月・4月・5月の3か月は30.91%です。冬だけ影に入る設備と春だけ影に入る設備では、同じ「3か月の影」でも損失が1.66倍違います。

25,658円 冬の3か月が影(年間18.66%)
42,501円 春の3か月が影(年間30.91%)
この配分からわかること

冬至の日に影が長く伸びる様子を見て慌てる必要はありません。判断すべきは3〜8月に影がかかるかどうかで、この6か月だけで年間の61.5%を占めます。冬の正午前後にだけ影が届く障害物は、年間損失への寄与が小さく、伐採や機器追加の費用に見合わないことがあります。

月別の期待発電量を使った診断手順は発電量が落ちた原因の診断にまとめています。

影の発生源を切り分けるチェック手順

影の発生源は、時間帯別の発電カーブを見れば絞り込めます。モニタで1日の発電の推移を表示し、へこみが出る時刻を記録してください。影は毎日ほぼ同じ時刻に同じ形のへこみを作りますので、雲による変動とは区別できます。

発生源へこみが出る時間帯季節による変化対応の方向
電柱・アンテナ・煙突朝夕の決まった時刻冬に長く伸びる回路の組み替え・機器追加
隣家・自宅の別棟午前または午後に固定冬に範囲が拡大設置位置の再検討
樹木年ごとに時間帯が広がる落葉樹は冬に消える剪定・所有者との相談
パネル同士の相互影朝夕の低い太陽高度冬に顕著架台の傾斜・間隔の調整
落ち葉・鳥のフンの堆積時刻に関係なく一定季節性なし付着物の除去
  • へこみが毎日同じ時刻に出るなら、固定された障害物の影です。
  • 時刻に関係なく全体が低いなら、影ではなく汚れか機器の不調を疑います。
  • へこみの深さが年々増しているなら、樹木の成長が原因です。
  • 落葉樹の場合は、冬にへこみが消えるかどうかで判別できます。
  • まとまった雨のあとに戻るなら、影ではなく付着物です。

付着物との切り分けはパネル洗浄の必要性と費用で扱っています。経年劣化と混同しやすい場合は太陽光パネルの寿命を先に確認してください。

設置前に影の有無を調べる場合は、NEDOの日射量データベースで自宅に近い地点の日射量を確認できます。地点ごとのデータが公開されており、施工店のシミュレーションが妥当かを自分で照合する材料になります。

影対策にかけてよい費用の上限【独自計算】

影対策の可否は「回復できる発電量 × 1kWhの価値」で判断します。パワーオプティマイザーやマイクロインバーターは、影に入ったパネルを個別に制御して巻き添えを減らす機器です。追加費用がかかりますので、回収できるかどうかを先に確かめます。

10年で回収する前提に置くと、年間の回復量ごとに許容できる追加費用の上限が決まります。

年間の回復量年間の回復額(FIT1〜4年目)10年で回収できる追加費用の上限
100kWh(年2%)2,750円22,790円
250kWh(年5%)6,875円56,975円
500kWh(年10%)13,750円113,950円
750kWh(年15%)20,625円170,925円
1,000kWh(年20%)27,500円227,900円

見積書に書かれた追加費用が、この上限を超えていれば10年では回収できません。施工店に確認すべき数字は機器の性能ではなく、導入前後で年間発電量が何kWh増えるかです。この1つがわかれば、上の表で自分で判定できます。

費用をかけずにできる対策
  • 影の向きに合わせた回路(ストリング)の組み替え
  • アンテナや物干し金具など移設できる障害物の撤去
  • 自宅の樹木の剪定
  • 落ち葉・付着物の除去
追加費用がかかる対策
  • パワーオプティマイザーの後付け
  • マイクロインバーターへの変更
  • 架台の傾斜・間隔の変更
  • パネル配置そのものの見直し
回収年数を見誤らないための注意

上の上限額はFIT1〜4年目の単価で計算した最良のケースです。FIT5〜10年目に入ると1kWhの価値は19.65円に下がり、回復額は28.5%減ります。設置から5年以上経った設備で機器を追加する場合、同じ回復量でも回収に必要な年数が伸びます。

回収年数の考え方全体は太陽光発電は何年で元が取れるか、自家消費の比率を動かして1kWhの価値そのものを上げる方法は自家消費率を上げる方法で扱っています。

設置前に影を確認するときの業者への聞き方

設置前なら、影の損失はレイアウトと回路設計で減らせます。契約前の見積もり段階で次の4点を書面で確認してください。口頭で「影の影響は少ない」と言われた場合は、根拠となる数字を求めます。

確認項目求める回答の形
影を考慮した年間発電量影なしの想定値と影ありの想定値の両方をkWhで
影がかかる時間帯と月月別・時間帯別の影の範囲(3〜8月を含むか)
回路(ストリング)の分け方どのパネルが同じ回路かがわかる図面
将来の変化への想定樹木の成長・隣地の建築計画をどう見込んだか

4つ目は見落とされやすい項目です。設置時に影がなくても、隣地に建物が建てば条件が変わります。屋根の面積が限られていて枚数を減らせない場合は、狭小住宅の設置事例で配置の考え方を確認できます。屋根への固定方法と構造の要件は建築基準法の太陽光設置基準にまとめています。

影の損失を織り込まない発電量シミュレーションは、実績と乖離します。提示された年間発電量が5kWで5,000kWhを大きく上回る場合、影と損失係数をどう扱ったかを確認してください。

よくある質問

パネル1枚が影に入ると設備全体が止まりますか

止まりません。バイパスダイオードが影のブロックを迂回しますので、発電は続きます。低下する範囲は、その影が同じ回路の何枚を横切るかで決まります。1枚の隅にかかるだけなら影響は限定的です。

時間帯別のカーブはどこで見られますか

パワーコンディショナに接続されたモニタか、メーカーのアプリで確認できます。1日の推移をグラフ表示にすると、影によるへこみが出る時刻がわかります。表示の切り替え方法は取扱説明書に記載されています。

影のせいでパネルが故障することはありますか

部分的な影が長期間続くと、影に入ったセルが発熱するホットスポットになることがあります。バイパスダイオードはこれを防ぐための部品でもあります。同じ場所に濃い影が固定されている場合は、施工店に点検を依頼してください。

設置後に回路の組み替えはできますか

パネルの枚数と配置によっては可能です。同じ影がかかるパネルを1つの回路にまとめると、影響を受けない回路を切り離せます。施工店に現在の回路図と組み替えの可否を確認してください。

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影の損失を数字に変える3ステップ

影の影響を金額で把握するための3つのアクション
  1. 時間帯別カーブでへこみの時刻を記録する

    モニタで1日の推移を表示し、へこみが出る時刻を1週間分メモします。毎日同じ時刻なら影です。この確認に費用はかかりません。

  2. へこむ月が3〜8月に入るか確かめる

    年間発電の61.5%はこの6か月に集中します。冬の正午前後だけの影なら、年間損失への寄与は小さくなります。月別配分の表で自分の設備の期待値と比べてください。

  3. 損失率を金額に直して対策費と比べる

    年間の損失率がわかったら、5,000kWhに掛けて1kWhの価値27.50円(FIT1〜4年目)を掛けます。対策の追加費用がこの10年分を超えるなら、回収できません。

影の損失は「発電量が何%落ちるか」で止めると判断できません。金額に直して初めて、剪定や機器追加にいくらまで出してよいかが決まります。設備全体の維持費のなかでの位置づけはパワーコンディショナの寿命と交換費用で確認できます。

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この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:太陽光発電

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