Japan Energy Times

【2026年版】防災用ポータブル電源は3日分で何Wh必要?世帯人数別の独自計算

執筆: Japan Energy Times 編集部
再生可能エネルギー
【2026年版】防災用ポータブル電源は3日分で何Wh必要?世帯人数別の独自計算

※ 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

防災備蓄の「3日分」は、内閣府の防災情報が家庭備蓄の最低ラインとして示している基準です。ただしこれは救助と支援物資が届き始めるまでの日数であって、停電が3日で復旧するという意味ではありません。ポータブル電源で3日分をまかなうのに必要な容量は、世帯人数と冷蔵庫の扱いによって約920Whから約6,220Whまで7倍近く動きます。Japan Energy Times が家電別の電気代記事で使ってきた実消費電力データと、気象庁の日射量平年値をもとに、72時間の時間軸に沿って必要量を積み上げました。

この記事でわかること
  • 世帯人数別・冷蔵庫の有無別に見た3日分の必要容量(2026年版の早見表)
  • 主要5サイトの推奨値が600Wh〜9,000Whと15倍ばらつく4つの理由
  • 過去3災害の停電復旧実績から見た「3日」という前提の限界
  • 72時間タイムラインで積み上げると必要容量が約半分になる独自計算
  • ソーラー併用時の必要容量が季節で1.2倍変わる独自試算

防災3日分に必要な容量は約920〜6,220Wh|2026年版・世帯人数別の早見表

防災3日分の必要容量は、1〜2人世帯で冷蔵庫を対象外にすれば約920Wh、5人以上世帯で冷蔵庫を守るなら約6,220Whです。世帯人数そのものより、冷蔵庫を電力供給の対象に含めるかどうかのほうが必要容量を大きく動かします。

世帯人数冷蔵庫なし冷蔵庫あり差額
1〜2人約920Wh約3,040Wh+約2,120Wh
3〜4人約1,570Wh約4,390Wh+約2,820Wh
5人以上約2,690Wh約6,220Wh+約3,530Wh
この早見表の計算前提

消費電力はLEDランタン5W・DC扇風機10W・サーキュレーター(DC強)21W・ノートPC25W・冷蔵庫100W(間欠運転の実稼働1日6〜10時間)を使用しました。いずれも Japan Energy Times の家電別電気代記事で採用している実データです。スマホ充電1回13Wh。積み上げた電力量をインバーターの変換効率0.85で割った値を必要容量としています。1〜2人と3〜4人の冷蔵庫ありの値は、用途別の容量早見表を作成した記事と同一の積み上げです。

冷蔵庫が必要容量の6〜7割を占めます

冷蔵庫は3日分で1,800〜3,000Whを消費し、必要容量全体の6〜7割を占めます。100Wの冷蔵庫を1日6時間の実稼働で見積もると1日600Wh、3日で1,800Whです。開閉が増える5人以上世帯では1日10時間相当まで伸び、3日で3,000Whに達します。

この一点を決めないまま「防災用は何Whか」を検索しても、答えは出ません。冷蔵庫の消費電力を年式別に比較した記事のとおり、2020年以降の省エネモデルなら年間消費電力量は250〜300kWh台まで下がっており、同じ100W級でも実稼働時間には差が出ます。手元の機種の年間消費電力量を24時間365日で割れば、平均消費電力(W)が求められます。

主要5サイトの推奨値が600Wh〜9,000Whと15倍ばらつく理由【徹底比較】

同じ「防災用ポータブル電源は何Wh必要か」という問いに対して、上位表示されている5サイトの答えは600Whから9,000Whまで15倍の開きがあります。2026年8月時点で Japan Energy Times が上位5サイトの記載値を調査し、前提条件ごとに整理しました。

サイト種別3〜4人・3日分の提示値置いている前提
防災用品の販売系600Wh以上スマホ・照明・扇風機のみ。冷蔵庫と熱系家電を含めない「最低限ライン」
太陽光メディア1人1日100〜150Wh基準の早見表通信と照明の維持のみ。冷蔵庫を含めない
蓄電池系メディア2,550〜4,110Wh冷蔵庫を1日500〜800Whで算入。熱系家電は含めない
防災計算系サイト約4,200〜4,700Wh冷蔵庫を年間消費電力量から逆算して3日2,310Whで算入。電子レンジ等も加算
アウトドア系メディア9,000Wh電子レンジ・テレビを含む1日3,000Whの「快適ライン」を単純に3倍
3〜4人・3日分の推奨容量(主要5サイト比較) 防災用品の販売系 600Wh 太陽光メディア 1,350Wh 蓄電池系メディア 3,330Wh 防災計算系サイト 4,450Wh アウトドア系メディア 9,000Wh 本記事の72時間設計 2,240Wh ※中間値のあるものは中央値で表示。棒の長さは9,000Whを基準に比例 ※2026年8月時点・Japan Energy Times 調べ
3〜4人世帯・3日分の推奨容量は情報源によって15倍の開きがある(2026年8月・Japan Energy Times 調べ)

ばらつきを生む4つの要因

15倍という差は、どれかが間違っているから生じているわけではありません。前提条件の置き方が4か所で分かれているためです。

  • 冷蔵庫を含めるかどうか。含めると3日で1,800〜3,000Wh増え、これだけで必要量が4倍前後動きます。
  • 電子レンジ・電気ケトルなど熱を作る家電を含めるかどうか。1日あたり300〜600Whが上乗せされます。
  • 3日分を「1日分×3」で計算するか、ソーラーや車からの再充電を織り込むか。前者は再充電をゼロと置いた最も厳しい前提です。
  • 変換ロス係数を0.7・0.8・0.85のどれで割るか。同じ積み上げでも最大2割の差が出ます。

自分が必要とする容量を決めるには、この4つを先に決めるだけで足ります。逆にこの4つを決めずに他サイトの推奨値を採用すると、過剰投資か容量不足のどちらかになります。

「3日分」は停電復旧の日数ではない|過去3災害の復旧実績データ

内閣府が示す備蓄「3日分」は、救助と支援が届き始めるまでの日数の目安です。停電の復旧日数はこれとは別で、被害の型によって2日から1か月以上まで分かれます。

停電の復旧日数と備蓄3日分の関係を検証するセクションのイメージ
災害最大停電戸数復旧までの日数被害の型
北海道胆振東部地震(2018年9月)約295万戸約2日で99%復旧需給バランス崩壊によるブラックアウト
令和元年房総半島台風(2019年9月)約93万戸(うち千葉県約64万戸)解消まで約2週間電柱・配電線の広域損壊
能登半島地震(2024年1月)約4万戸1月中におおむね完了(約1か月)半島地形+道路寸断による復旧遅延

出典は電力広域的運営推進機関の北海道胆振東部地震検証委員会、経済産業省の令和元年災害対応資料、電気事業連合会の能登半島地震復旧報告です。

3日でカバーできるのは系統事故型だけです

2日で99%が復旧した北海道の事例は、発電所と送電線の需給バランス崩壊が原因で、設備そのものの損壊が限定的でした。一方、電柱2,160本が傾き約500本が折損した能登半島地震では復旧に約1か月かかっています。戸建てが多い半島部・山間部・離島に住んでいる場合、3日という前提は楽観的です。ソーラーパネルによる再充電手段を組み合わせて、日数の上限をなくす設計にしてください。

復旧の順番はライフラインごとに違います

電気は水道やガスより早く復旧するのが通例です。電気・ガス・水道の復旧順序を過去実績でまとめた記事で整理したとおり、電気は仮復旧の手段が多く、ガスは安全確認のため戸別訪問が必要になります。電力復旧の優先順位を解説した記事のとおり、病院や避難所などの重要施設が先に通電するため、一般住宅は後回しになる点も見込んでおいてください。

72時間タイムラインで積み上げる必要Wh【独自計算】

時間帯ごとに使う家電を切り替えると、3〜4人世帯でも必要容量は約2,240Whに収まります。「1日分×3」で計算した約4,390Whの約半分です。停電中の電力需要は72時間ずっと一定ではなく、時間の経過とともに守るべき対象が変わるためです。

経過時間この時間帯の状況電力を使う対象消費電力量累計
0〜3時間冷蔵庫は扉を開けなければ冷えが保たれる照明2灯・情報収集約60Wh約60Wh
3〜12時間庫内温度が上がり始める。間欠通電を開始冷蔵庫3時間+照明+スマホ約400Wh約460Wh
12〜24時間復旧見込みが判明。長期化なら消費を絞る冷蔵庫3時間+送風+照明約470Wh約930Wh
24〜48時間冷蔵室の食材を優先的に消費する段階冷蔵庫4時間+送風+照明・通信約670Wh約1,600Wh
48〜72時間給水・給電拠点が稼働。自力供給を縮小冷凍室維持2時間+照明・通信約300Wh約1,900Wh
約4,390Wh 1日分×3で計算
約2,240Wh 72時間タイムライン設計

積み上げた1,900Whを変換効率0.85で割ると約2,240Whです。市販の主力帯である2,000Wh級が射程に入り、3〜4人世帯でも1台で完結します。容量を積むのではなく時間軸で設計を組み替えるほうが、費用対効果は高くなります。

最初の3時間は冷蔵庫に通電しないのが正解です

停電直後に冷蔵庫をポータブル電源につなぐ必要はありません。パナソニックが公開している停電時の冷蔵庫に関する解説によれば、扉を開けなければ2〜3時間程度は冷えが保たれます。冷凍室は詰まり具合しだいで数時間から半日もちます。

この2〜3時間を使わずに通電を始めると、3日で約300Whを無駄にします。庫内温度が上がってきたタイミングから間欠的に通電する運用に切り替えると、同じ容量で守れる日数が1日近く伸びます。

冷凍室に保冷剤やペットボトルの氷を詰めておくと熱容量が増え、通電なしで保てる時間が延びます。日常的に冷凍室を8割以上埋めておくのは、電気を使わない防災対策として最も費用対効果が高い方法です。

ソーラー併用なら必要容量は夏で1段下がる|季節別の3日間収支を独自試算

ソーラーパネルを併用すると、必要な本体容量は最大で半分近くまで下がります。ただし下がり幅は季節によって変わり、8月と12月では同じパネル出力でも必要容量が約1.2倍違います。

気象庁の東京の全天日射量平年値をもとに算出した100Wパネル1枚の1日発電量は、5月が約360Wh、8月が約305Wh、12月が約180Whです。この数値はソーラー充電の所要日数を月別に試算した記事で使用したものと同一です。3〜4人世帯のタイムライン運用(初日1,084Wh・2日目788Wh・3日目355Wh)に、この発電量を差し引いた必要容量を計算しました。

パネル構成8月に必要な容量12月に必要な容量季節差
パネルなし約2,230Wh約2,230Wh
100Wパネル1枚約1,620Wh約1,870Wh約1.15倍
200Wパネル1枚約1,260Wh約1,510Wh約1.20倍
400W相当(200W×2枚)約1,080Wh約1,150Wh約1.06倍

200Wパネルを1枚組み合わせるだけで、8月なら必要容量が約2,230Whから約1,260Whへ下がります。2,000Wh級を1台買うより、1,000Wh級と200Wパネルの組み合わせのほうが総額を抑えられます。重量も分散するため、避難所へ持ち出せる可能性が残ります。

冬の停電では発電を当てにできません

12月の1日発電量は5月のちょうど半分です。さらに停電は台風・大雪・地震とセットで起きるため、実際の日射量は平年値を下回ります。積雪でパネルが覆われた状態の発電量はほぼゼロです。冬季の停電に備えるなら、パネルによる補充を計算に入れず、パネルなしの約2,230Whを基準に容量を選んでください。

容量が足りても動かない熱系家電|定格出力1,000W以上が必要な4機種

容量(Wh)が足りていても、定格出力(W)が不足すると熱を作る家電は動きません。電気ケトル・電子レンジ・ドライヤー・電気ヒーターの4機種は、いずれも1,000W以上の定格出力を要求します。

家電実際の消費電力必要な定格出力3日分の消費電力量
電気ケトル1,250W1,250W以上約940Wh(1日3回・各5分)
電子レンジ1,000〜1,400W(出力600W機)1,400W以上約600Wh(1日2回・各5分)
ドライヤー1,200W1,200W以上約600Wh(1日1回・10分)
セラミックヒーター(強)1,200W1,200W以上約7,200Wh(1日2時間)

電子レンジの「600W」は定格高周波出力であり、消費電力ではありません。マグネトロンの変換効率が50〜60%程度のため、実際の消費電力は表示の約2倍になります。定格出力1,000Wのポータブル電源では保護回路が働いて停止します。

熱系家電をカセットコンロに置き換えると
  • 電気ケトルと電子レンジの3日分(約1,540Wh)が丸ごと不要になります
  • 必要な定格出力の条件が1,400W以上から600W程度まで下がります
  • 容量クラスを1段下げられ、本体価格を10万円前後抑えられます
カセットコンロ側の注意点
  • ボンベは1本で約60〜90分。3日分なら6本以上が必要です
  • 屋内使用では換気が必須で、一酸化炭素中毒のリスクがあります
  • ボンベの使用期限はおおむね製造から7年です。備蓄品の入れ替えが要ります

エアコンを動かす前提で選ぶ場合は条件がさらに厳しくなります。畳数別に必要な定格出力と稼働時間をまとめた記事のとおり、起動時には定格の2〜3倍の電力が流れ、冷房と暖房で必要な出力が最大1.7倍変わります。

世帯人数別に選ぶべき容量帯と現実的な構成【2026年版】

3日分の備えは「大容量1台」と「中容量+パネル」の2通りで組めます。5人以上の世帯で冷蔵庫を守る前提なら、1台構成は成立しません。

世帯人数1台で完結させる構成中容量+パネル構成推奨
1〜2人・冷蔵庫なし1,000Wh級1台500Wh級+100Wパネル1台構成
1〜2人・冷蔵庫あり3,000Wh級1台1,500Wh級+200Wパネル中容量+パネル
3〜4人・冷蔵庫あり2,000Wh級1台(72時間設計)1,000Wh級+200Wパネル中容量+パネル
5人以上・冷蔵庫あり5,000Wh級1台(重量50kg超)2,000Wh級+400W相当パネル中容量+パネル

5,000Wh級は市販品の最大クラスですが、重量は50kgを超え価格も50万円前後になります。持ち運びは実質的に不可能で、避難所への持ち出しという選択肢が消えます。ポータブル電源と家庭用蓄電池を停電時間で比較した記事のとおり、この容量帯まで必要なら据え置きの家庭用蓄電池を検討したほうが、1kWhあたりの単価も設置後の使い勝手も有利になります。

備蓄用は保管方法が寿命を決めます

防災備蓄として年に数回しか使わない場合、寿命を決めるのはサイクル数ではなく保管中の温度と充電残量です。リン酸鉄ポータブル電源の寿命を用途別に試算した記事のとおり、満充電・高温で保管すると実質寿命は13.3年から6.7年へ半減します。備蓄品は残量50〜80%・冷暗所で保管し、3か月に1度は充電状態を確認してください。

よくある質問

1,000Whのポータブル電源があれば3日間もちますか?

冷蔵庫を対象に含めない1〜2人世帯であれば足ります。必要量が約920Whのため、1,000Wh級1台で3日間の照明・通信・送風をまかなえます。冷蔵庫を守る場合は約3,040Whが必要になるため、200Wパネルの併用か2台構成が前提です。

3日分ではなく1週間分を備えるべきですか?

半島部・山間部・離島にお住まいなら1週間分の設計をおすすめします。能登半島地震では復旧に約1か月かかりました。ただし1週間分を容量だけでまかなうのは非現実的なため、ソーラーパネルによる再充電を前提にした設計へ切り替えてください。パネルがあれば日数の上限はなくなります。

車から充電できれば容量は小さくても大丈夫ですか?

シガーソケットからの充電は出力が120W前後にとどまるため、1,000Whを充電するのに8時間以上かかります。ガソリンの残量にも左右されます。補助手段としては有効ですが、これを前提に容量を1段下げる判断はおすすめしません。

停電中にスマホは何回充電できますか?

1,000Wh級なら理論上は65回程度です。スマホ1回の充電に必要な電力量を13Whとし、変換ロスを見込むと1回あたり約15Whを消費します。ただし実際は照明や冷蔵庫と併用するため、スマホ専用に使える容量は全体の1割前後です。

エアコンを3日間動かすことはできますか?

できません。6畳用の冷房でも1時間あたり400〜600Whを消費するため、3日間の連続運転には20,000Wh以上が必要です。市販の最大クラス5,000Wh級でも1日もちません。夏の停電対策は、エアコンではなく消費電力10W前後のDC扇風機と保冷剤の併用で組んでください。

冷凍庫の食材はどのタイミングで諦めるべきですか?

扉を開けずに半日を超えたら、庫内温度を確認してから判断してください。冷凍室は詰まり具合しだいで数時間から半日もちます。半解凍の状態であれば再冷凍せずに加熱調理して消費するのが安全です。

あわせて読みたい 【2026年版】ポータブル電源の容量は何Wh必要?用途別の独自計算と早見表 あわせて読みたい 【2026年版】ポータブル電源と蓄電池の違い|停電時間で比較

3日分の電力を確保するための3ステップ

必要容量は自分で確定できます。以下の3ステップを順番に実行してください。

防災3日分の容量を確定する3つのアクション
  1. 冷蔵庫を守るかどうかを先に決める

    必要容量の6〜7割を冷蔵庫が占めます。守るなら3日で1,800〜3,000Whを上乗せし、守らないなら照明・通信・送風だけで1〜2人約920Wh、3〜4人約1,570Whが基準です。この判断を先送りにすると容量が決まりません。

  2. 72時間を4つの時間帯に分けて積み上げる

    0〜3時間は冷蔵庫に通電せず、3時間以降は間欠通電に切り替えます。48時間以降は冷凍室の維持だけに絞ります。この設計にすると3〜4人世帯でも約2,240Whに収まり、2,000Wh級1台が射程に入ります。

  3. 200Wパネルを併用して日数の上限をなくす

    8月なら200Wパネル1枚で必要容量が約1,260Whまで下がります。冬季と悪天候では発電を当てにできないため、パネルなしの数値でも許容できる容量を選び、パネルは日数を延ばす保険として組み合わせてください。

最新の備蓄方針は内閣府の防災情報ページで確認できます。お住まいの自治体が公表しているハザードマップで、地域の停電リスクと復旧の想定日数も併せて確認してください。

X でシェアFacebook でシェアLINE でシェア
この記事の執筆: Japan Energy Times 編集部
電気代・再生可能エネルギー・省エネの一次情報(公式統計・料金表・制度資料)を確認して記事を制作しています。
カテゴリ:再生可能エネルギー

関連記事